油しぼり機は「種子やナッツを押しつぶして油分を取り出す」装置ですが、現場で選定するときは“搾る”より先に“分ける(油とカス)”をどう実現しているかを見ると失敗しにくいです。
家庭用〜小規模で多いのはスクリュー式で、らせん状の軸が回転しながら原料を奥へ押し込み、筒の隙間を小さくして圧を高め、油を孔から滲ませ、搾りかすを出口側へ排出する考え方です。参考として、家庭用搾油機の解説でもスクリュープレス式が一般的だと整理されています。
また、圧搾装置の説明では、農産物などを投入してプレスし、液分・油分を搾り取る工程として整理されており、油しぼり機を「圧搾工程の道具」として捉えると、前処理(破砕・乾燥・焙煎)や後処理(ろ過・充填)まで見通しが立ちます。
搾油の効率は、機械スペックよりも「原料の状態」で大きく揺れます。例えば同じゴマでも、乾燥が甘い・粒度が揃わない・皮が硬いまま、だと圧が逃げて歩留まりが落ち、逆に無理に締めると摩擦熱で香味が変わったり焦げ臭が出やすくなります。
この“摩擦熱”が厄介で、低温圧搾を狙っていても、連続運転や詰まりで局所的に温度が上がりやすい点は、現場の盲点になりがちです。
低温圧搾は、香りの立ち方が穏やかで、原料由来の青さ・甘さ・草っぽさが残りやすい一方、油の香味が繊細なので酸化の影響が出やすいのが特徴です。油脂の劣化は、酸素・光・加熱などで進み、その程度の指標として酸度や過酸化物価(POV)が用いられる、という整理がされています。
一方、焙煎は「香りを作り、搾りやすくする」方向に働きます。ごま油の解説でも、焙煎の有無や程度で色や風味が変わり、焙煎したゴマは香ばしさが増す、と明記されています。
焙煎の現場メリットは、油の流動性が上がって搾りやすくなることです。実際に搾油機メーカーのFAQでも、焙煎しぼりは可能で、炒り過ぎ(焦げ)に注意しつつ、温かいうちに搾ると油が流れやすい、という実務的な注意が示されています。
参考)ゴマ油を搾油機 油しぼり機SHiBOROで搾る
ただし焙煎は、香りの「当たり」は出しやすい反面、失敗も同じくらい分かりやすく出ます。焦げは苦味になり、過加熱は酸化を進め、焙煎ムラはロット差になります。農業従事者が販売まで考えるなら、焙煎条件(鍋・火力・時間・攪拌の癖)を“レシピ化”して、再現性を確保するのがコツです。
原料によって「狙う油の使い道」が違うため、油しぼり機の運用も変わります。例えば亜麻仁油(アマニ油)はα-リノレン酸(オメガ3)が豊富で、酸化しやすいので“仕上げがけ”向き、という使い分けが紹介されています。
さらに、亜麻仁油は脂肪酸組成としてリノレン酸が多い(40〜61%など)ことが資料に整理されており、高度不飽和であるほど酸化管理が重要、という判断にもつながります。
このタイプの油は「搾る技術」より「守る技術」が売り物になります。遮光容器、充填時の空気巻き込み低減、小分け、冷暗所保管、販売単位を小さくするなど、出荷設計そのものが品質設計です。
逆に、ごま油は焙煎による香味設計がしやすく、料理用途が明確でリピートを作りやすい一方、焙煎条件のブレがブランドのブレになります。ごま油の製造方法として圧搾法と抽出法があることも説明されているので、「溶剤を使わない圧搾」を前面に出すなら、焙煎と圧搾の管理をセットで語れると説得力が増します。
参考)【ごま油は健康にいい?】不飽和脂肪酸の働きとアマニ油との使い…
「なたね」は地場原料としてストーリー化しやすいですが、種子の乾燥度や夾雑物の混入で搾油性が変わりやすいので、ふるい分け・水分管理・保管袋(防湿)まで含めて工程表を作るとロスが減ります。
また、搾りかす(油かす)は“副産物”ではなく“商品候補”です。ゴマならふりかけ・和え物・菓子材料、なたねなら肥料・飼料など、地域の販路と結びつくことが多いので、最初から用途を決めておくと処分費が利益に変わります。
搾りたてを売るときに効くのは「おいしい」だけでなく「品質を数字で語れる」ことです。油脂の劣化指標として酸価・過酸化物価が用いられる、という整理があり、過酸化物価は油脂中の過酸化脂質量(酸化の進行)を示す指標、と説明されています。
さらに、厚生労働省の資料には、菓子等で「製品中に含まれる油脂の酸価が3を超え、かつ過酸化物価が30を超えるものは不可」等の規定例や、原材料の成分規格として油脂類の酸価・過酸化物価の目安が示されています。
ここから読み取れる現場の要点は、「酸価だけ」「過酸化物価だけ」では片手落ちになりやすいことです。酸価は加水分解や遊離脂肪酸の増加に関係し、過酸化物価は酸化の初期〜中期の進行を捉えます(どちらも“劣化”でも性質が違う)。
参考)https://www.viebon.com/words.html
意外に重要なのが、官能(香り・味)と数値の“ズレ”です。搾りたて直後は香りが強くて酸化臭が隠れやすい一方、数日で急に「段ボール臭」「絵の具臭」へ振れます。特に亜麻仁のような高度不飽和は変化が速いので、ロットごとに少量を抜き取り、遮光・冷暗の比較保管をして“変化速度”を掴むと、販売期限や保管指示を現実的に決められます。
農業者の直売で現実的なのは、まずは「酸価・過酸化物価を外注検査できる体制」を作り、初年度は季節ごとに代表ロットを測って傾向を掴むことです。検査結果が手元にあると、取引先(飲食店、加工業者)との会話が一段上がり、値決めもしやすくなります。
検索上位では「搾れるか」「味はどうか」に寄りがちですが、実は一番のボトルネックは清掃です。家庭用搾油機の製品説明でも、油が接触する部分は取り外して洗える、食器用洗剤で洗浄する、という具体的な清掃方法が明記されています。
また別の電動搾油機の説明でも、搾油後に部品を食器用洗剤で洗浄する、と片付けの導線が示されており、実運用では“毎回洗える設計”が継続性を左右します。
農業従事者が直売や小規模加工に進むときの落とし穴は、「油は水と違って落ちにくい」ことと、「油膜が残ると酸化臭が次ロットへ移る」ことです。清掃不足は衛生だけでなく、香味の“混ざり”として売り物の信用を削ります。
さらに、食品衛生法の審査基準(自治体公開の例)では、食品や器具を清潔に洗える洗浄設備が求められることや、搾油設備・精製設備などの設置に触れている箇所があり、販売形態によっては設備要件の確認が重要になります。
参考)申請に対する処分に関する審査基準・標準処理期間 (保健衛生課…
独自視点として強く勧めたいのは、「清掃を作業ではなく工程として設計する」ことです。具体的には、(1)分解に要する時間、(2)洗剤と湯温、(3)乾燥(拭き取りか自然乾燥か)、(4)組み立て後の異物混入対策(部品置き場)、(5)記録(いつ誰が洗ったか)を最初に決めます。
この5点を決めておくと、人が変わっても品質が変わりにくく、繁忙期でも「搾油をやめない」状態が作れます。結果として、油しぼり機そのものの性能より、現場の再現性が利益を作ります。
権威性のある「酸価・過酸化物価の規定」参考(品質基準の根拠として)。
厚生労働省資料:酸価・過酸化物価に関する規定等(測定式や規格例)
権威性のある「設備要件の当たりを付ける」参考(許可・届出検討の起点として)。
青森県:食品衛生法の審査基準例(洗浄設備・搾油設備の記載)

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