苗箱播種機と播種量と覆土調整のコツ

苗箱播種機で播種量や覆土を安定させるための調整・点検・トラブル対策を、密播も含めて現場目線で整理します。苗ムラや詰まりを減らすには、どこを優先して見直しますか?

苗箱播種機と播種量と覆土

苗箱播種機の全体像と調整の要点
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最初にやるべきは試し播き

目盛りは計算値なので、種子だけで必ず試し播きを行い、実際の播種量で合わせ込みます。

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床土・覆土の厚さが苗質を決める

床土16〜18mm、覆土5〜7mm(高密度では6〜8mm等)の目安を基準に、播種量に応じて床土側で逃がします。

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播種ムラの多くは清掃と隙間

ロールガイド周りの残留種籾・カス、隙間不良、回転ブラシの水平不良がムラの典型原因です。

苗箱播種機の播種量調節と試し播き


苗箱播種機の「播種量調節」は、最初に“目盛りどおりに出る”と思わないことが最大のコツです。密播の解説でも、播種機の目盛りはあくまで計算値であり、本番前に種子だけで必ず試し播きをして調整するよう明記されています。
実際の現場では、種籾の状態(脱水の具合、芽出し具合、表面の水分)や、ロール・ブラシ周辺の摩耗で、同じ設定でも出方が変わります。播種ムラの診断資料でも、種籾の水分量が不適切だとムラ要因になること、脱水後に陰干しして「手で握って離したとき手に付かない程度」を目安にすることが示されています。
試し播きのやり方は、難しく考えるほどハマりやすいです。ポイントは「1箱分だけ本番と同条件で通し、重さ(g)で確かめる」ことです。密播では乾籾220〜250gを目安にし、催芽籾は水分を含むため乾籾の約1.25倍重量として、乾籾220gなら催芽籾275gになるよう調整する、という整理が参考になります。


参考)https://www.suzutec.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/04/hasyu_manual.pdf

また、機種によっては“催芽籾で80〜250g”のように播種量レンジがカタログで示されているため、自分の狙う播種量が機械の守備範囲にあるかも事前確認が効きます。


参考)https://agriculture.kubota.co.jp/img_sys/catalog/7-00-2-0013-08.pdf

現場でありがちな失敗は、播種量を上げたい一心で「床土も覆土も厚くして、結果的に重くてハンドリングが辛い」ケースです。密播の解説では、播種量を増やすと種子層が厚くなり覆土が溢れることがあるため、その場合は床土を薄くして調整する、と明確に書かれています。

つまり、播種量を増やすほど“土の配分設計”が重要になり、播種量だけ合わせても苗が揃わないことがあります。


作業を安定させる小ワザとしては、試し播きの段階で「箱の左右差」も同時に見ます。片側だけ厚播きになる場合、資料では播種部回転ブラシの水平不良や、播種機自体の水平不良が原因になり得るとされています。


水平は“床の水平”ではなく“機械の搬送部基準での水平”が大事で、脚の調整や設置面の見直しは、地味でも収量に効く作業です。


苗箱播種機の床土と覆土と厚さ目安

苗箱播種機で苗を揃えるには、「床土」と「覆土」を数値で管理する発想が近道です。密播の育苗ポイントでは、床土16〜18mm、覆土5〜7mmを目安として提示しています。
さらに自治体の高密度播種の解説でも、床土は16〜18mm程度と薄め、覆土は6〜8mm程度として“種もみが完全に隠れるようにする”という目安が示されています。
ここで重要なのは、覆土を減らして帳尻を合わせないことです。高密度播種対応の育苗マニュアルでは、播種量が増えて覆土が溢れるなら床土を少し減らす一方で、「覆土は減らさない」旨が強調されています。


参考)https://www.pref.nagasaki.jp/e-nourin/nougi/manual/ikubyo-manual.pdf

覆土が不足すると出芽時に覆土が持ち上がって揃いが悪くなる、という考え方は、苗箱播種機の調整順序(床土側で調整して、覆土は“種籾を確実に隠す”を守る)を支える実務知識です。

覆土の“多すぎ・少なすぎ”には、どちらにもはっきりしたデメリットがあります。育苗培土メーカーの解説では、覆土量が多すぎると通気性悪化などで生育不良につながり、少なすぎると根上がりや徒長の原因になり得る、と整理されています。


参考)水稲育苗培土の種まき方法と管理方法

この「通気性」と「根上がり」は、苗箱播種機の設定ミスが最も見えやすい症状で、原因の切り分けにも使えます。

また、酒米や飼料用米など大粒品種は千粒重が重く、播種量(g)を多くしないと籾数が確保できず、思ったほど箱数が減らないことがあるとも説明されています。

ここは意外と盲点で、「gで合わせたのに苗が薄い」場合、千粒重や品種特性の影響を疑うと、苗箱播種機のせいにして無限調整ループに入るのを防げます。

参考:密播の播種量、床土・覆土厚さ(16〜18mm、5〜7mm)と試し播きの考え方
https://www.iseki.co.jp/einou/mippa01/

苗箱播種機の播種ムラとロールガイドと回転ブラシ

苗箱播種機のトラブルで精神的に削られるのが「播種ムラ」です。故障診断資料では、播種ムラの原因として、ホッパー側で種もみが手前に来ていない、回転ブラシの平行が出ていない、種籾の水分量や脱芒・芽出しが不適切、ロールガイドの状態不良などが具体的に列挙されています。
“原因が多い”こと自体がポイントで、ムラは一発で直そうとせず、上流(種籾)→機械(隙間・摩耗)→設置(水平)の順で潰すと再発しにくいです。
とくに効くのが、ロールガイドと播種ローラー周辺の「隙間」です。診断資料では、播種ローラーとロールガイドの隙間を0〜0.5mmに調整(軽く触れる程度)する、と具体値が示されています。


一方でメーカーFAQでは、隙間0.5〜1mmを確認し、広すぎる場合は0.5〜1mmに調節する、と案内されており、機種や設計で推奨レンジが揺れることもわかります。


参考)Q3.播種精度が悪くなってしまいました。

この“推奨値の揺れ”が、意外な落とし穴です。現場では、取扱説明書・メーカーFAQ・部品摩耗の実態が三すくみになり、最適点が変わります。

対策はシンプルで、同じ種籾状態・同じ箱・同じ作業速度で「隙間を触ったら必ず試し播きで結果を確認」し、播種量(g)だけでなく“分布の均一性”で判断します。

もう一つ、地味に効くのが回転ブラシです。資料では回転ブラシの平行不良(左右高さ違い)や摩耗・毛の絡みがムラ原因になると明記され、調整や交換が対策として提示されています。


回転ブラシは“壊れたら交換”と思われがちですが、実際は「水平が狂って片側厚播き」など症状が出るため、交換前に水平調整を確認するだけで直ることもあります。


苗箱播種機のムラ対策を、作業者のチェック項目としてまとめるなら以下です。


✅ 播種ムラのチェックリスト
・ホッパー内シャッターを開け、ブラシ手前に種もみが常に供給されているか。


・種籾の脱水・乾きが適切か(手に付かない程度の目安)。


・ロールガイド周りに残留種籾やカスが噛み込んでいないか。


・回転ブラシが左右で水平か、毛先が摩耗していないか。


・機械が水平か(設置脚の調整)。


参考:播種ムラ、隙間調整、回転ブラシ、清掃ポイント(故障診断の一覧)
https://www.suzutec.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/mente_m02.pdf

苗箱播種機の清掃とメンテナンスと詰まり対策

苗箱播種機は「清掃=片付け」ではなく、「清掃=次の播種精度の仕込み」です。故障診断資料では、播種ローラーの動きが悪い・回転しない原因として、ロールガイドとローラーの間に残留種籾が食い込む、溝部にカスや土・ゴミが溜まって負荷になる、などが挙げられ、ロールガイドの取り外し清掃や溝部清掃が対策として示されています。
つまり、播種精度が乱れたときに「設定を触る前に清掃」が合理的で、清掃で直るものを調整で迷子にしないのがコツです。
さらに、潅水ノズルの詰まりも、播種作業全体のリズムを崩します。資料には、ノズルブラシで掃除する、ノズル穴は針などで掃除する、減圧弁内のストレーナーを清掃する、という具体策が書かれています。


播種機は“播種部だけの機械”ではなく、床土・潅水・播種・覆土が連動しているので、潅水不良が出ると床土の締まりや覆土の落ち方も変わり、結果として苗が揃いにくくなります。


詰まり対策で意外に重要なのが「隙間の作り方」です。診断資料では、播種ホッパーやウシロ板と播種ローラー(またはハシュローラー)の隙間を0.5〜1.0mmに調整する、とあり、接触でも離れすぎでも不具合になることが示されています。


この“0.5〜1.0mm”は、紙一枚では足りず、名刺一枚では厚い…という微妙な範囲で、現場ではシックネスゲージがなくても「薄い樹脂板」や「既知厚のゲージ」を決めて運用すると再現性が上がります(ここを曖昧にすると、作業者が変わるたびに苗が変わります)。


✅ 日々のメンテ(最低ライン)
・作業終わりにロールガイドを外して清掃し、破け・摩耗があれば交換判断をする。


・播種ローラー溝部のカスを除去し、回転が重い状態で使い続けない(モーター焼損リスクにつながる可能性が示唆される)。

・ノズル・ストレーナーを定期清掃し、潅水の出方が弱い兆候を放置しない。


苗箱播種機の密播と高密度播種と苗箱

苗箱播種機の活用で、近年インパクトが大きいのが「密播(高密度播種)」です。密播は1箱あたりの播種量を増やして使用箱枚数を削減できる低コスト技術で、育苗が特に重要だと説明されています。
また自治体の解説では、慣行の乾籾換算150g/箱程度に対し、高密度播種では250〜300g/箱程度播種する例が示され、箱数削減の効果も具体的に触れられています。
密播で難しくなるのは、「播けるか」より「植えられるか」です。密播の育苗ポイントでは、植付時のかき取り量が少なくなるため十分なマット強度が必要で、両手で持って崩れない、巻いたときにヒビが入らない、という目安が提示されています。

この“巻いてヒビが入らないか”は、育苗ハウス内で誰でも再現できる簡易テストなので、苗箱播種機の設定評価に使うと判断が早くなります。

苗箱そのものも、密播では軽視できません。密播の解説では、穴の少ない稚苗用苗箱を使う、穴の多い中苗用しかない場合は遮根シートで根を箱内に張らせてマット形成を早める、といった具体策が書かれています。

つまり密播の成否は、苗箱播種機単体ではなく「苗箱の規格・底面構造・根の張り方」まで含めた設計で決まります。

ここで、検索上位の話題になりがちな“播種量の数字”以外の独自視点として、苗箱播種機の密播は「播種作業の上限能力」より「移植までの時間設計」がボトルネックになりやすい点を強調します。密播苗はマット形成が早い一方で老化も早い傾向があり、1回の播種量は1週間程度で移植できる箱数を目安にする、という注意が示されています。

つまり、苗箱播種機で一気に大量播種できても、田植えの段取り・出芽管理・移植適期が追いつかなければ苗質が落ち、節約したはずの箱数以上に“やり直しコスト”が出ることがあります。

✅ 密播での調整ポイント(苗箱播種機+育苗管理)
・播種量は乾籾220〜250g(催芽籾は約1.25倍)を基準に、必ず試し播きで合わせ込む。

・床土16〜18mm、覆土5〜7mm(高密度では6〜8mm目安)を基準にし、溢れるときは床土側で調整する。pref.chiba+1​
・マット強度を簡易テスト(両手保持、巻いてヒビ)で確認し、田植え適期に合わせて播種計画を切る。




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