栗の現場で「栗用脱穀機」と呼ばれているものは、実際には“いが(毬)を外す工程”まで含めて語られることが多く、稲麦の脱穀(茎から穀粒を外す)とは発想が異なります。
そのため、導入時はまず「何を取り除きたいか」を分解して考えるのが近道です。
✅ 栗の処理で混同しやすい“対象”
たとえば共立の栗いが剥き機CBH2Aは、ローラー揺動式でいが剥きを行い、さらに傾斜溝風選式で「毬と栗(果実)」の選別までを想定した構造になっています。公式情報でも“果実を傷めず確実にいが剥き作業が行える”点が明記されています。
参考)CBH2A
つまり「栗用脱穀機=投入したら“いが処理+分別”まで進む機械」として捉えると、選ぶべき仕様(能力・回転数・動力・設置性)が具体化します。
栗用脱穀機(実務上は栗いが剥き機)で軽視されがちなのが、入力回転数と所要動力の“セット確認”です。
回転が足りないと食い込みが弱くなって処理が進まず、逆に無理に上げると損傷や詰まりの誘発につながりやすいので、まずはメーカー仕様を基準に組みます。
共立CBH2Aの場合、入力回転数は1700以上(rpm)で、所要動力はエンジン2.9kWまたはモーター750W以上とされています。
また、原動機(エンジンorモーター)やプーリー、ベルトが別途必要である点も公式に明記されており、「本体だけ買って終わり」にならないのが重要ポイントです。
✅ 仕様読みで失敗しにくいチェック
意外と効く“現場の落とし穴”は、回転数は満たしているのにトルク不足で負荷時に回転が落ち、結果として詰まりや再投入が増えるケースです。回転数表記だけで安心せず、所要動力も同列に扱うと、収穫期の停止時間を削りやすくなります。
処理能力は「速さ」だけでなく、作業設計(人員・運搬・一時置き場)を決める基準になります。
能力が高い機械でも、投入前の前処理(大きな枝や草を落とす、土の混入を減らす)が弱いと、結局“止まる機械”になりやすいからです。
共立CBH2Aの能力は350〜400kg/時、寸法は1670×620×955mm、本体乾燥質量は85kgとされています。
この数字は「一人が投入し続けられるか」「回収コンテナが追いつくか」「移動や設置をどうするか」の判断材料になります。
✅ 処理量から逆算する作業設計の例
ここでの“意外な盲点”は、能力が高いほど、周辺作業(運搬・荷受け・袋詰め・一時保管)の遅れがボトルネック化し、機械が止まることです。機械の能力値は魅力ですが、同時に周辺工程を強制的に高速化する数値でもあります。
栗用脱穀機のような回転体・搬送体を持つ機械では、事故の典型が「巻き込まれ」です。
安全は精神論ではなく、作業手順として固定すると強いです。
日本農業機械化協会の資料(動力脱穀機)では、安全作業のポイントとして「取扱説明書や安全表示ラベルを良く読み理解する」「フィードチェーン等への巻きまれに注意」「点検調整を行う時は必ずエンジンを止めてから」などが挙げられています。
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_kikaika/anzen/pdf/ao04.pdf
さらに、積み降ろし時にあゆみ板を使い、途中で変速操作などをしない、といった“移動時の事故”への注意も示されています。
✅ 栗の現場で特に効く安全ルール(実務向け)
安全対策は生産性と矛盾しません。むしろ、収穫期に負傷で人が抜けると作業全体が崩れるため、点検・停止手順の徹底は“稼働率を上げる施策”として扱うのが現実的です。
検索上位の説明は「機械の性能」中心になりがちですが、現場で差が出るのは“導入前段取り”です。ここを詰めると、同じ機械でも体感が別物になります。
共立CBH2Aは、原動機(エンジンorモーター)やプーリー、ベルトが別途必要と明記されているため、導入時は「本体+動力+伝達系+設置」の4点セットで見積もるのが安全です。
この“別途必要”は、単に費用の話ではなく、回転数(入力1700以上)を満たすためのプーリー設計・ベルト本数・張り調整の手間も含んでいます。
✅ 段取りで差が出るポイント
「栗用脱穀機を買ったのに、結局作業が楽にならない」パターンの多くは、機械そのものよりも、動力・回転数・導線・部材の準備不足で発生します。仕様表の“別途必要”の一文を、段取り表に翻訳してから導入すると失敗確率が下がります。
参考:機械仕様(能力・入力回転数・所要動力・別途必要部材)の根拠(共立CBH2A公式)
CBH2A
参考:巻き込まれ防止・点検時は停止など、安全作業ポイントの根拠(日本農業機械化協会「動力脱穀機」PDF)
https://nitinoki.or.jp/bloc2/riyou/guide/09shuukaku/02.pdf