条桑刈取機は、条桑(枝条)を「一定の刈高で切断し、収穫条を取り回しやすい形で回収する」ための収穫機で、養蚕の採桑労力を圧縮する目的で導入されてきました。
密植桑園の普及と一体で語られることが多く、機械化が容易な栽植体系とセットで考えるのが実務的です。
研究成果としては、豆刈機をベースにした歩行型の密植桑園用条桑刈取機(JK-1)が開発され、刈高40cmまで対応し、刈残し枝条が少なく、切断面や収穫枝条の損傷が少ない点が特徴として示されています。
条桑収穫では「刈高」「収穫条長」「条の太さ」が現場適合の中心で、ここが合わないと、詰まり・刈残し・枝条損傷・再生不良などのロスが連鎖します。
公的資料の例では、刈高調節が地上15~25cmで各蚕期の条桑収穫が可能、収穫条長が50~150cm、条の太さは最大15mmまで収穫可能だった、という性能報告があります。
一方でJK-1は刈高40cmまでの収穫が可能とされ、桑園の仕立て方や更新の考え方次第で「高めに刈る」運用も選択肢になります。
機械のカタログ能率だけでなく、現場では「詰まり」「刈残し」「枝条損傷」「回収・集束(後送や束ね)」「運搬」が能率を決め、結果として低コスト化の成否を左右します。
JK-1の背景には、既存のバインダー型桑収穫機の入手が困難になり、代替機として安価な収穫機が必要になった、という事情があり、“入手性と維持費”も含めた低コスト設計が狙われています。
意外に効く改善として、作業者1人運用の場合は「収穫条の置き場(畦間・荷台・コンテナ)」を固定し、刈取→回収→運搬の歩数を削るだけで、実感コストが大きく下がります(機械を変えずに効く領域です)。
条桑刈取機の現場事故は、基本的に「回転刃・切断部への接触」「点検整備時の不意始動」「斜面での不安定作業」に集約されるため、作業前点検と停止確認を型にします。
公的な安全資料でも、刈刃に接触する危険がある箇所へ立ち入る場合はエンジン停止と刈刃停止確認を徹底すること、肩掛けバンドや姿勢調整など基本操作を守ることが明記されています。
また傾斜地では、取扱説明書等で使用できる傾斜角を確認して、その角度以下で使用する、という安全対策が示されています(桑園が斜面にかかる地域ほど重要です)。
条桑刈取機の性能差は「切れるか」だけでなく、桑条を刈取刃部まで“誘導”し、刈り取った条桑を“後送”して作業者の手離れを良くする設計に出やすい、という視点があります。
国立科学博物館の産業技術史資料データベースに掲載された自動桑刈機の説明でも、桑条を刈取刃部まで誘導する部分、刈取刃部、刈り取った条桑を後送する構成が述べられており、古い機械でも「誘導・後送」が中核思想だったことが読み取れます。
この見方を現代の現場に落とすと、機種比較では“刃の方式”と同じくらい「枝条の流れ(誘導のしやすさ)」「後送後の置き場」「絡みやすい枝の扱い」をチェックすると、導入後のストレス(詰まり対応・姿勢負担)が減ります。
公的研究成果(JK-1の特徴・背景)の参考。
https://agresearcher.maff.go.jp/seika/show/230371
産業技術史(自動桑刈機の構成:誘導・刈取刃部・後送)の参考。
https://sts.kahaku.go.jp/sts/detail.php?no=100310031020&c=&y1=&y2=&id=&pref=&city=&org=&word=&p=85
刈払機の安全対策(停止確認・点検・作業方法の基本)の参考。
https://www.city.hofu.yamaguchi.jp/uploaded/attachment/136525.pdf
乗用草刈機等(傾斜角の確認など安全対策の考え方)の参考。
https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/001594540.pdf