地盤材料の工学的分類は、粒径分布(粒度)とコンシステンシー限界(液性限界・塑性限界)を軸に、粗粒土と細粒土を体系的に区分し、記号体系で共通認識を可能にする仕組みです。粗粒土は砂・礫の割合で、細粒土は液性限界や塑性指数などの値でさらに細分され、設計上の性質推定(支持力、透水性、変形性)が容易になります。
一般に、粗粒分が50%超なら粗粒土、50%未満なら細粒土とし、粗粒土は「礫質土(G)」「砂質土(S)」、細粒土は「シルト(M)」「粘土(C)」とその液性限界レベル(低・高)で記号分類されます。JGSの体系は観察・粒度・塑性図で中分類・小分類まで踏み込み、例えば砂質礫(SG)や細粒分まじり砂(SF)など混合区分で現場の実情を反映できます。
参考)https://www.jice.or.jp/cms/kokudo/pdf/tech/material/dokouh21_08.pdf
粒度試験(JIS A 1204)は、75mmふるいを通過する土について、礫分(75mm~2mm)、砂分(2mm~0.075mm)、細粒分(0.075mm未満)を質量百分率で把握し、工学的分類の根拠を与える基礎データです。ふるい分析で粗粒側、沈降分析で細粒分の粒径加積曲線を求め、透水性や締固め性、液状化感受性などの推定に直結します。
コンシステンシー試験(JIS A 1205)は液性限界wL、塑性限界wPから塑性指数Ipを求め、細粒土の区分(ML, MH, CL, CHなど)を決める決定要素となります。これらJISの組み合わせにより、JGS 0051の分類図へ値をプロットして名称と記号を確定させるのが実務フローです。
粒度曲線が右寄りで細粒分が多い場合は透水性が低下し、農業用水の滞留や湿害リスクに留意が必要で、畦畔材としては止水性能の利点もあります。一方、均等係数が小さく粒度分布が狭い砂は透水性が高く、暗渠など排水材や基礎地業の下層材に適します。
現場観察では、手揉みでの塑性の有無、ロールスレッド(ひも状成形)の可否、乾湿での崩れ方から粘土・シルト・砂の傾向を判別し、簡易に分類の当たりを付けると効率的です。最終判定は室内試験値に基づくべきですが、ボーリング柱状図でのN値や試料観察と併用するのが合理的です。
参考)土・地盤を分類する
ため池の止水コアや畦畔には細粒分が一定以上含まれる土(CLやSF系)が有利ですが、乾湿繰返しによる収縮割れやひび割れを抑えるために含水比管理と適度な混合(砂の添加や安定材)を検討します。農道路盤は排水を優先し、SGやS系の均等な粒度の砕石・砂利を選び、細粒分の過多による泥濘化を避けます。
落とし穴として、同じ「砂質土」でも細粒分の5~15%の有無が締固め性や凍上、ぬかるみ挙動を大きく変える点が見落とされがちです。また、土壌学のテクスチャ区分と地盤工学の分類は閾値が異なり、農学系資料の粒度名と工学名を混同すると設計前提を誤る恐れがあります。
USCS(統一土質分類)は国際的に広く使われ、JGS体系と対応関係があるものの、記号や境界値の運用に差があり、国際共同案件では換算表の整備が重要です。JIS A 1204・1205はISO準拠で改訂が進んでおり、試験精度や適用範囲の細部で国内運用の最適化が図られています。
農業土木では、輸入設計資料がUSCSベースで来る場合、細粒分割合や液性限界境界の読み替えで安全側の評価を採るルール化が実務効率を高めます。JGSの詳細小分類(例:SG-F, SF-G, SFG)は日本的土層の混合性を丁寧に反映し、改良や分級方針の意思決定に有用です。
- ため池改修: 堤体コアにCLを選定、盛土含水比を最適含水比±2%で管理、上流法面に砂質被覆で表面排水を確保します。
- 畦畔補修: SF土に少量の石灰改良で塑性制御、表層の割れ抑制と透水バランスを両立させます。
- 農道補強: SG基盤+表層Sの二層構成、細粒分を15%未満に抑え泥濘化を回避します。
設計・施工チェックリストとして、(1) 粒度試験のサンプリング品質、(2) 液性・塑性限界の再現性(試料前処理含む)、(3) 分類記号と設計パラメータの整合、(4) 施工時含水比の管理、(5) 排水計画との整合を常に点検します。これにより、分類結果が直接、施工性と耐久性につながる実効的な設計が可能になります。
参考)https://www.gbrc.or.jp/assets/test_series/documents/so_06.pdf
参考リンク(JGS分類図の全体像とJIS試験の根拠の確認に有用)
土質材料の工学的分類(JICE資料)
参考リンク(粒度試験の流れと適用の具体を把握)
JIS A 1204 土の粒度試験方法
参考リンク(分類の意味と現場観察の手がかりを整理)
土・地盤を分類する(中国地盤環境研究会)
参考リンク(分類の進め方の実例と解説がまとまっている資料)
地盤材料の工学的分類(GBRC)
参考リンク(室内試験の位置づけと設計への接続を俯瞰)
室内土質試験概説(東日本地質設計)
参考)株式会社東日本地質設計|室内土質試験|土粒子部分の土質調査