動力散粒機は、散布幅を「何mで飛ぶか」だけで決めると、実際の面積当たり使用量がズレてムラになりやすい機械です。取扱説明書レベルでも「計画表どおりに散布できない場合は、シャッタ開度か歩行速度を変えて調節する」と明記されており、速度を含めたセットで管理するのが前提になります。
また、歩行速度には“適正範囲”の考え方があり、ある機種の説明書では0.3〜0.6m/秒が最適範囲として示され、範囲外になる場合は散布幅を調整するか吐出量の選定を見直すよう書かれています。
現場で再現しやすい手順は、次の順番です。
参考)https://www.maruyama.co.jp/instruction/pdf/123875-02_GD300A.pdf
意外と見落とされがちですが、散布幅は風で変化する前提の注意書きもあり、「無風の試験値=現場の保証」ではありません。風が出る日ほど、散布幅を欲張らず、通り(走行・歩行ライン)を詰めてムラを減らす方が結果が安定します。
動力散粒機の吐出量は、シャッタ開度(開閉レバー)と作業速度の掛け算で決まります。説明書には「本機からの吐出量を調整」「散布剤・散布方法により吐出量を調整」といった記載があり、機械側で出し方を作り、作業側で速度を作るのが基本です。
調整の現場ノウハウとしては、次の“二段階”が効きます。
被覆肥料やコーティング剤など、飛び方が変わる資材では、専用噴頭(例:ニューすっとび噴頭)を使う旨や、スロットル開度3〜5ノッチ・散布幅15m目安のような具体値が示されている機種もあります。maruyama+1
この「噴頭(吐出の形)→スロットル(飛距離)→シャッタ(量)」の順に触ると、調整の迷子になりにくいです(逆順に触ると、原因が分からなくなります)。maruyama+1
散布量を“増減させながら”入れたい追肥作業では、噴頭を振りながら散布する旨が説明書に書かれていることもあります。均一散布が目的なのに無意識に振ってしまうとムラの原因になるため、「追肥でわざと振る」場面と「均一散布で振らない」場面を分けて運用すると失敗が減ります。yamabiko.kuroco-img+1
粒剤でも農薬は農薬なので、最優先はラベル(登録と使用基準)です。取扱説明書にも「農薬ラベルをよく読み、必ず記載事項を確認」と明記され、登録のある作物に使うこと、使用量・濃度等の使用基準を守ることが示されています。
次に重要なのが“散布後の管理”で、散布直後の圃場に無防備で立ち入らない、第三者の立入にも注意する、といった注意喚起が説明書内で具体的に触れられています。ここを甘く見ると、健康リスクだけでなく、事故・苦情・作業遅延に直結します。
また、急性毒性の評価が強い農薬では、防護装備の着用など注意事項を付して登録を認める、という研修資料の記載もあり、資材ごとに求められる装備・注意が変わる前提で段取りを組む必要があります。
参考)http://www.agri.hro.or.jp/boujosho/nouyaku-sidousi/R7/R7_%E7%89%B9%E5%88%A5%E7%A0%94%E4%BF%AE%E8%B3%87%E6%96%99.pdf
飛散・薬害対策の現場チェック(粒剤でも効く考え方)は以下です。
参考:農薬の使用基準・安全の考え方(研修資料としての整理)
農薬の安全性評価や防護装備など、指導者向けに体系化されたポイント(安全対策の根拠整理)
動力散粒機は、粒が通る経路(シャッタ部・リンク部・噴頭周り)に“固着”が起きると、吐出量が安定しません。JAのメンテナンス情報では、清掃後にシャッターリンク部へ注油し、固着しないようにして格納する、と具体的に書かれています。
また、一般的な動力散布機の手入れとして「保管前に徹底的に清掃」「残留物があると金属部が錆びたり故障しやすい」「オイル交換や空気フィルター清掃」などの基本が整理されており、性能維持=散布精度の維持という観点でも重要です。
参考)動力散布機の使い方とメンテナンス方法
長期保管に入る前は、燃料・残留物・ボルトナットの点検といった“シーズンオフ儀式”を作ると、翌シーズンの始動不良と現場の遅れを減らせます(動力機器の保管・点検の重要性は各種手入れ記事でも強調されています)。
参考)動力噴霧器が動かなくなった!対処・修理法と手入れまで紹介 -…
チェックリスト(作業後3分で回す前提)
検索上位は「使い方」「調整」「メンテ」までは書いてあっても、散布ムラを“数字で潰す”話が薄いことが多いです。ところが説明書には散布計画(計画表)に触れたうえで、計画どおりでない場合の調整方法まで書かれており、メーカー想定としても「計画→試し散布→補正」が正攻法です。
実務で効くのは、散布後に次の2つだけ検算する運用です。
ここで意外に効く小技が、「歩行速度を一定にするための基準作り」です。説明書では歩行速度の適正範囲(0.3〜0.6m/秒)まで示しているため、例えば畝端から畝端までの距離を測って“何秒で歩くか”を決め、タイマーで体に覚えさせると散布の再現性が一気に上がります。
結果として、同じ資材・同じ設定でも、人が変わった時に起きやすい散布ムラ(速度ムラ)が減り、上司チェックで突っ込まれがちな「なぜ量が合わないのか」を説明しやすくなります。maruyama+1