2024年1月から、すべての事業者において「電子取引データ」の電子保存が義務化されました 。これは、個人事業主である多くの農業経営者様にとっても無関係ではありません。これまで紙で印刷して保存していたものも、データで受け取ったものはデータのまま保存する必要があるのです。
具体的には、以下のような取引が対象となります。
これらのデータを、ただパソコンに保存するだけでは不十分です。「いつ・誰と・いくらの取引だったか」を検索できるようにしておくなど、定められた要件を満たす必要があります。これに違反すると、青色申告の承認が取り消されるリスクも指摘されています。
一方で、この法改正はメリットもあります。青色申告で65万円の特別控除を受けるには、これまで「e-Taxによる電子申告」が必要でしたが、それに加えて「優良な電子帳簿の保存」を行うことでも控除の対象となりました 。つまり、面倒な経理作業をデジタル化することで、大きな節税効果が期待できるのです。農業経営においても、日々の記帳や確定申告の負担を減らし、経営状況を正確に把握するため、電子化への対応は避けて通れない課題と言えるでしょう。
以下の国税庁のページでは、電子帳簿保存法に関する詳しいQ&Aが掲載されており、具体的な事例を確認するのに役立ちます。
電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)|国税庁
法改正への対応が必要なことは分かっていても、「何から手をつければいいのか…」とお悩みの農業経営者様も多いのではないでしょうか。そこで強力な味方となるのが、クラウドストレージサービスの「box」と、法人向け名刺管理・請求書処理サービスを提供する「Sansan」の連携です。
Sansanが提供する請求書受領サービス「Bill One」は、紙やPDFなど、どんな形式で届いた請求書でも99.9%という驚異的な精度で正確にデータ化してくれます 。この「Bill One」と「box」を連携させることで、データ化された請求書が自動的にbox内の指定フォルダに保存・整理される仕組みを構築できます。これにより、以下のような大きなメリットが生まれます。
✅ 経理業務の大幅な効率化
受け取った請求書をスキャンしたり、内容を手入力したりする作業が不要になります。トラクターのリース代、肥料の購入費、農薬の支払いなど、毎月発生する大量の請求書処理から解放され、本来の農業経営に集中できます 。
✅ コスト削減とペーパーレス化
紙の請求書を保管するためのファイルやキャビネットが不要になり、事務所のスペースを有効活用できます。また、印刷代や郵送費といった経費も削減できます 。
✅ 検索性の向上と内部統制強化
boxに保存されたデータは、「取引先名」「日付」「金額」といった条件で瞬時に検索できます 。税務調査の際にも、慌てて書類を探す必要がありません。また、フォルダごとにアクセス権限を設定できるため、セキュリティ対策や内部統制の強化にも繋がります。
✅ 書類の紛失・劣化リスクの撲滅
紙の書類は、紛失や火災、水濡れによる劣化のリスクが常に伴います。クラウド上にデータを保管することで、これらのリスクから大切な経営情報を守ることができます。
このように、boxとSansanの連携は、電帳法への対応をスムーズに進めるだけでなく、農業経営そのものを効率化し、強くする力を持っています。
電子帳簿保存法には、PCなどで作成・受領した「電子取引データ」の保存のほかに、紙の書類をスキャナで読み取ってデータ保存する「スキャナ保存」という区分があります 。例えば、取引先から手渡された紙の領収書などがこれに該当します。
このスキャナ保存を行うには、タイムスタンプの付与や解像度の確保など、細かく複雑な要件を満たすシステムが必要です 。すべての要件を自力で確認・対応するのは非常に困難ですが、ここで重要な目印となるのが「JIIMA(ジーマ)認証」です。
🔍 JIIMA認証とは?
JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が、市販のソフトウェアやサービスが電子帳簿保存法の法的要件を満たしていることを認証する制度です 。この認証を受けた製品を使えば、利用者は複雑な法律を深く理解していなくても、安心して法対応を進めることができます。
Sansanが提供する請求書受領サービス「Bill One」や契約書管理サービス「Contract One」は、このJIIMA認証を取得しています 。これにより、ユーザーは法的要件を一つひとつ確認する手間なく、スキャナ保存や電子取引データの保存を行うことが可能です。
JIIMA認証製品を利用するメリットは以下の通りです。
| メリット | 具体的な内容 |
|---|---|
| 安心感 | 国が定める法的要件をクリアしていることが保証されているため、税務調査の際も安心です。 |
| 手間とコストの削減 | 自社でシステムの要件を確認したり、開発したりする必要がなく、導入・運用の手間とコストを大幅に削減できます。 |
| 申請の簡略化 | JIIMA認証製品を利用することで、税務署への事前申請手続きの一部が簡略化される場合があります。 |
農業者向けの会計ソフトとして知られるソリマチの「農業簿記」もJIIMA認証を取得しており 、Sansanのサービスと組み合わせることで、よりスムーズな会計処理が実現できます。
電帳法と並行して、多くの農業経営者を悩ませているのが2023年10月から始まったインボイス制度です。特に、JAや卸売市場へ販売を委託している場合など、農業特有の取引形態に対応した「媒介者交付特例」などを理解する必要があります 。
このような複雑な制度に対しても、Sansanの「Bill One」は強力なサポート機能を提供します。受け取った請求書がインボイス(適格請求書)の要件を満たしているか、登録番号は正しいかを自動で判定してくれるため、仕入税額控除ができないといったミスを防ぐことができます 。
具体的な活用フローを見てみましょう。
実際に、北海道で大規模な農業経営を行う「かわにしの丘しずお農場株式会社」では、Sansanのサービスを導入し、膨大な名刺情報の管理やビジネスの強化に役立てています 。これは請求書管理においても同様で、デジタルツールを活用することが、これからの農業経営において競争力を高める鍵となることを示しています。
電帳法やインボイス制度への対応は、面倒な義務と捉えられがちです。しかし、これを「守りの経理」から「攻めの農業DX(デジタルトランスフォーメーション)」への転換点と捉えることで、新たな可能性が広がります。
Sansanとboxの連携によってデジタル化され、一元的に蓄積された請求書データは、単なる証憑書類ではなく、経営を改善するための「宝の山」となります。
💡 購買データの分析によるコスト最適化
「どの肥料を、いつ、どこから、いくらで買っているか」といった購買データが正確に蓄積されていきます。このデータを分析することで、
といった、データに基づいた戦略的なコスト削減が可能になります。
💡 顧客・取引先データと連携した販路開拓
Sansanの真骨頂は、名刺管理から始まる顧客情報データベースです。請求書データ(Bill One)と名刺データ(Sansan)を連携させることで、取引先との関係性をより深く可視化できます。例えば、「レストランAは、どの時期にどの野菜を多く買ってくれているか」「直売所の顧客Bさんは、リピート購入が多い」といった情報が分かれば、より効果的な営業やマーケティング活動に繋げられます。
近年、「やさいバス」のように農家と顧客をデジタルで繋ぐ新しい流通の仕組みが登場しています 。自らECサイトを立ち上げて、消費者へ直接販売する農家も増えています 。このような新しい挑戦を行う際にも、蓄積された正確な顧客データや販売データが強力な武器となるのです。
法改正への対応は、いわば農業経営のデジタル化に向けた第一歩です。この機会を単なる義務の消化で終わらせるのではなく、Sansanとboxというツールを使いこなし、データを活用して自らの農業経営をより強く、より収益性の高いものへと進化させてみてはいかがでしょうか。