「分割区法を1回の実験だけで判断すると、年間収量を10%も損する可能性があります。」
分割区法(split-plot design)は、農業試験で複数の要因を効率的に比較するための統計的手法です。例えば、「肥料の種類」と「播種時期」を組み合わせて評価するような場面では、全面実験よりも労力を半減できます。誤差の扱い方が鍵です。なぜなら、主要因と副次因で誤差分散が異なるためです。
つまり設計が雑だと、肥料Aが優れているという誤結論を出すおそれがあります。
分割区法では処理区を「大区」と「小区」に分け、それぞれに異なる要因を割り当てます。圃場試験では、1区約2m×10m(ほぼ軽トラック2台分)の面積を取ることが多いですね。
この設計法を使えば、施肥量・品種・栽培時期を同時に解析できます。つまり効率的です。
分割区法では誤差が2種類生じるため、分散分析(ANOVA)の計算も少し特殊です。Microsoft ExcelやRなどで解析する場合、「大区誤差」と「小区誤差」を区別して扱う必要があります。つまり別々のF値で検定します。
一般的に、肥料の種類のような主因効果は「大区誤差」で検定し、播種時期のような副因効果は「小区誤差」で判断します。この違いを無視すると、有意差が過大評価される危険があります。
Excelの分散分析ツールでは「二元配置(繰り返し有)」を使うのが近いですが、完全再現はできません。Rの"aov"関数や「agricolae」パッケージが便利です。
結論は、手計算ではなく適切なツールで処理することが安全です。
Rによる実装例や詳しい数式の構造は、京都大学農学研究科の資料が参考になります。
京都大学農学研究科 繰返し分割区法の事例
ある北海道の小麦試験場では、分割区法を使って施肥量と播種深を同時に分析しました。結果は意外でした。播種深5cm区が平均収量を8%増加させ、肥料増量よりも効果が高かったのです。
この発見により、肥料費を年間約12万円節約する農家も出ました。お金に直結しますね。
分割区法を利用することで、個々の条件を最小限の労力で検証できるのが強みです。つまり費用対効果が高いということです。
実践する際は、反復数を最低3回、区サイズは均一にすること。測定誤差が増えないようにメジャーで区ごとに正確に測るのが基本です。
分割区法は、圃場全体を「1枚のキャンバス」として使う発想です。いい方法ですね。
分割区法では、データの均質性(分散の等質性)を確認しないと結果が歪みます。Levene検定やBartlett検定が有効です。
特に雨量や日射時間などの環境要因によって、小区ごとの誤差が偏ることがあります。データ補正を怠ると、誤差分散が2倍にも膨らむ可能性があります。
つまり、天候変動を制御しない限り、分割区法だけでは正確な比較にならないということです。
その対策として、気象データを自動取得できる「アメダス補正スクリプト」を併用すると良いでしょう。Pythonで簡単に書けます。
誤差を小さくする工夫が、統計精度を守る近道です。
分割区法は万能ではありません。品種比較など、試験区が多すぎる場合には誤差推定が難しくなります。扱える要因は基本的に2つまで。
ですが、分割区法の概念を応用した「分割区二重配置法」や「階層型分散分析」を使えば、大規模圃場の評価も可能です。
JA研究センターの報告によると、この応用で実験回数を約40%削減できた事例もあります。時間短縮です。
つまり、目的に応じて方式を選ぶ柔軟さが求められます。
圃場研究では、「分割区法+Rによる分散分析」が令和以降の主流になるでしょう。
農林水産省:分割区法による試験設計指針
意外と見落とされがちなのが、分散分析が「経済効果」を測るツールにもなる点です。例えば、肥料AとBの平均差が500kg/haだった場合、それを米価320円/kgで換算すれば16万円/haの差になります。
つまり、分散分析の結果は収益予測にも直結するということです。
分割区法で「どの条件が最も利益率を上げるか」を特定すれば、時間もお金も節約できます。
あなたが翌年の施肥設計を考えるとき、この考え方を導入すれば、無駄な試験を避けられるはずです。
分散分析の数字は、実際には経営戦略の指針でもあります。いい視点ですね。
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