ベースステーションの「角度」は、単なる向きではなく「プレイエリアに対して、どの範囲を照射できるか」を決める設定です。SteamVR ベースステーション 2.0の設置ヒントでは、頭より高い位置(床から2m以上が理想)に取り付け、角度は25~35度の範囲に調整することが推奨されています。
この推奨角度が効く理由は、上から斜めに照射することで、床面付近だけでなく体の上半身〜手元まで「遮られにくい視野」を確保しやすくなるからです。さらに同ページには、水平視野150度・垂直視野110度という視野情報もあり、角度を振ってプレイエリア全体に視野を配る前提が明確です。
一方で、ベースステーション(1.0等)では「角度30~45度で調整してプレイエリア全体をカバーするのが理想」と案内している資料もあります。
参考)ベースステーションを設置する際のヒント
つまり、機種や設計世代によって“基準レンジ”が微妙に異なりますが、共通の発想は「上から下へ、プレイエリア中心を狙って、視野を重ねる」です。
角度調整だけに集中すると失敗しがちなのが「高さ」です。SteamVR ベースステーション 2.0の設置ヒントでは、頭より高い位置(床から2m以上が理想)に取り付けること、そして“最も低い高さ”は0.5mに設定することが示されています。
農業現場(倉庫・選果場・ハウス内の管理室など)では、梁や棚の都合でどうしても低めになることがありますが、最低0.5mは「トラッキングが成立するための下限」と捉え、可能な限り2m付近へ寄せるのが安全です。
また、設置の自由度を上げるために三脚やライトスタンド、テーブルなど安定した面への設置も案内されています。
参考)SteamVR ベースステーション 2.0 をセットアップす…
これは「壁固定できない環境でも角度と高さの両方を追い込める」ことを意味するので、仮設が多い施設ほど、まず三脚で最適角度を見つけてから最終固定する手順が合理的です。
角度の次に効くのが「配置」と「距離」です。HTCの設置ヒントでは、ベースステーションをスペースの反対側の角に、対角線上にくるように取り付けることが推奨されています。
また、国内の販売・案内ページ等でも、トラッキングを安定させる目安として「2つのベースステーション間の距離が5メートル以内」が示されています。
角度設計の実務では、次の順に決めると迷いません。
「距離を伸ばして広く取りたい」誘惑は強いですが、距離を優先して角度が急になったり、視野の重なりが薄くなると、手元・腰回り・足元で抜けが出やすくなります(結果として作業中断や再設定が増えます)。
角度が合っているのに追跡が不安定なとき、原因は「設置環境」に埋もれていることが多いです。SteamVR ベースステーション 2.0の設置ヒントでは、簡単に押されたり動かされたりできない場所に固定すること、明るい場所への設置を避けること(性能に悪影響の可能性)などが明記されています。
農業施設では、フォークリフトの振動、コンプレッサーや選果機の稼働振動、扉の開閉で壁面が揺れる、といった要因が日常的に発生します。こうした環境では「角度」よりも先に“揺れない固定”を作らないと、いくら角度を詰めても再現性が出ません。
さらに、追跡可能なオブジェクトはベースステーションから少なくとも0.5m離す、という条件もあります。
意外な落とし穴は「支柱のすぐ横に金属ラックがある」「電源タップやケーブル束がベースステーション直下に密集している」などで、設置角度を下げた結果、近距離の障害物が視野に入りやすくなることです(角度調整で改善したつもりが、別の制約に引っかかる)。
参考:公式推奨(角度25~35度、高さ2m、最低0.5m、明るい場所を避ける等)
SteamVR ベースステーション 2.0 をセットアップす…
検索上位の記事は「角度・高さ・対角線・距離」の話が中心になりがちですが、農業従事者向けに見落とせないのが、ハウス特有の“環境ノイズ”です。公式情報でも「明るい場所は避ける(性能に悪影響の可能性)」とあり、光環境がトラッキングに影響し得ることが示唆されています。
ハウス内は、ビニール面の強い反射、ミスト・防除後の微細な水滴、土埃や培土の粉じん、白い発泡スチロール箱の反射などが重なり、角度を浅くすると反射面を拾いやすく、深くすると粉じん層を長く通すような配置になりがちです(見た目では分かりにくいのが厄介です)。
実務的には、次の“角度の決め方”が効きます。
この視点はVR用途に限らず、農業現場の「環境が日々変わる」前提に合わせた設置思想です。角度の正解は固定値ではなく、“光・反射・振動・浮遊物”の変動に耐える余裕を作ることだと考えると、現場での再設定回数が減りやすくなります。