ARK: Survival Evolved(およびASA)において、サバイバル生活を安定させるために欠かせないのが「農業」です。特にキブルや回復薬の材料となる野菜を効率よく生産するには、温室効果(Greenhouse Effect)の活用が不可欠です。この温室効果を最大値である300%にするためには、正しい建材の知識と計算が必要になります。
温室効果の計算式は非常にシンプルですが、正確に理解していないと「なぜか300%にならない」という事態に陥ります。基本ルールは以下の通りです。
一般的に初心者が作りがちな「3×3マスの豆腐建築」でも、壁と天井を合わせれば容易に20個を超えるため、自然と300%に到達することが多いです。しかし、資源を節約したい場合や、デザインにこだわりたい場合は、この「20個」という数字を意識することで、無駄なクリスタルやセメントの消費を抑えることができます。
また、意外と知られていない仕様として、「ドア枠」や「ドア」は温室効果のカウントに含まれません。出入り口を温室のドア枠で作ってしまうと、その分は15%の加算が得られないため、ギリギリの個数で計算している場合は注意が必要です。壁としてカウントされるのは「温室の壁」や「温室の窓枠(窓が入っている必要はない場合もあるが、基本は壁推奨)」などです。ASA(Ark: Survival Ascended)などのバージョンによって細かい判定が変わることもありますが、「天井と壁で20枚」を目指すのが最も確実なセオリーです。
【ARK】温室の効果と建造物一覧 - 建材ごとの詳細なデータや基本の作り方が解説されています。
温室を建てるためのコストは決して安くありません。特に序盤ではクリスタルを集めるのが大変ですが、300%の温室が完成すれば、その後の農業効率は劇的に向上します。まずは20個の建材を確保することを目標に資源を集めましょう。
苦労して温室効果を300%にする最大のメリットは、作物の成長速度と肥料効率の圧倒的な向上にあります。これを理解することで、なぜ「野ざらしの菜園」ではなく「温室」が必要なのかが明確になります。
まず成長速度についてですが、温室効果0%(野外)の状態を基準(1倍)とすると、温室効果300%の状態では成長速度が4倍になります。これは、単純に収穫までの時間が4分の1に短縮されることを意味します。例えば、成長の遅い「トウモロコシ」や「ニンジン」などの野菜類は、ゲーム内時間で数日かかるプロセスが大幅に短縮され、緊急で野菜が必要になった際も素早く対応できるようになります。特に、ブリーディングやキブル作成で大量の野菜が必要になる中盤以降、このスピードの差はサバイバルの難易度を大きく左右します。
次に肥料の消費量についてです。温室効果が高ければ高いほど、作物が肥料を消費する速度が低下します。これは非常に重要なポイントで、肥料の補給頻度を減らせることを意味します。ARKの農業において最も手間がかかるのが「肥料の管理」です。フンコロガシをテイムして肥料を量産していたとしても、数多くの菜園すべてに肥料を行き渡らせるのは重労働です。温室効果300%であれば、一度肥料を満タンにしておけば、かなりの長時間放置しても肥料切れを起こしにくくなります。
このように、温室効果は「生産量の増加」と「維持管理の手間削減」という2つの大きなメリットをもたらします。農業に従事するサバイバーにとって、温室は単なる建物ではなく、生産性を最大化するための「装置」と捉えるべきです。
「温室を建てたのに、菜園のステータスを見ると温室効果が0%になっている」というトラブルは、ARKの農業初心者が必ずと言っていいほど直面する問題です。これには明確な原因と、判定に関わる重要なルールがあります。
最も重要なルールは、「菜園の直上に温室の天井(または傾斜屋根)が必要」という点です。
どれだけ周囲を温室の壁で囲っても、菜園の真上に「温室の天井」がなければ、温室効果は一切発生しません。効果は「周囲の建材数」で計算されますが、そのスイッチを入れるのが「直上の天井」なのです。
よくある失敗例とその対策をまとめました。
特に注意が必要なのが、拠点の防衛を意識して「温室全体を金属の建物で覆ってしまう」ケースです。PVPサーバーなどで敵からの攻撃を防ぐために温室を囲いたい気持ちはわかりますが、上空を塞いでしまうと農業機能は停止します。この場合は、天井部分だけを露出させるか、後述するような特殊な判定テクニックを駆使する必要があります。
温室効果 - ARK: Survival Evolved Wiki* - 判定条件や遮蔽物のルールについて詳細に記述されています。
また、天候による影響は基本的にはありませんが、マップによっては「日光が届かない」と設定されているエリア(アベレーションの一部など)が存在します。そうした特殊な環境下では、地上に移動するか、別の光源システムが必要になる場合があります(ただし基本システムでは日光必須)。自分の拠点の場所が農業に適しているか、まずは菜園を一つ置いてテストしてみることをお勧めします。
検索上位の記事では「綺麗なガラス張りのハウス」を作ることが推奨されていますが、PvPや拠点の隠蔽性を重視する場合、あるいは資源を極限まで節約したい場合、「温室に見えない温室」を作るテクニックが存在します。これは温室効果の判定仕様の穴を突いた独自視点の建築術です。
温室効果の判定は、以下の2ステップで行われます。
この仕様を利用すると、「必ずしも菜園をガラスの部屋で囲う必要はない」という結論に至ります。
具体的な「ステルス菜園」の作り方は以下の通りです。
この方法を使えば、外見は石や金属の堅牢な拠点でありながら、内部の一部だけ天井をガラスにして(あるいは天窓のようにして)、その下の菜園には300%の効果を与えることが可能です。完全に密閉された部屋の中に、判定用のガラス建材を詰め込んだ「ダミー部屋」を作り、その隣接する部屋で農業を行うといったレイアウトも可能です。
これにより、敵プレイヤーから「あそこは温室だから脆いぞ」と狙われるリスクを減らしつつ、最大の農業効率を維持することができます。また、景観を損ねたくない場合にも有効なテクニックです。ただし、直上の空だけは確保する必要があるため、そこだけは建物の設計上の工夫(吹き抜けやハッチ枠の利用など)が必要です。
最後に紹介するのは、限られた温室スペースで収穫量を爆発的に増やすための「菜園の重ね置き(スタック)」テクニックです。温室建材は高価であり、広い温室を作ると拠点スペースを圧迫します。しかし、菜園を重ねることで、たった1マス分のスペースで数十個分の野菜を生産することが可能になります。
通常、菜園は地面に置くと当たり判定が発生し、その上には置けません。しかし、以下の手順で強制的に重ねることができます。
この「重ね菜園」の最大のメリットは、「給水と施肥の一括管理」と「温室効果の共有」です。
重なった複数の菜園すべてに対して、直上の1枚の温室天井の効果が適用されます。つまり、本来なら菜園10個のために広い温室が必要なところ、1マス分の温室設備で10個分すべての菜園を300%稼働させることができるのです。
また、ベリーや野菜の収穫時も、重なった部分判定に向かって一度アクションするだけで、複数の菜園から同時にインベントリを開いたりアクセスしたりしやすくなります(ただし、誤操作を防ぐために少しずらす配置テクニックもあります)。
ARK 知ってたらちょっと得するシリーズ#4 菜園を重ねて置ける - 実際の重ね置きの手順が動画で詳しく解説されています。
このテクニックと温室効果300%を組み合わせることで、ソロプレイでもサーバー内のトライブに匹敵するほどの農業生産力を手に入れることができます。肥料もフンコロガシ数匹で賄えるようになり、農業にかける時間を最小限にしつつ、成果を最大化することが可能になります。