刈払機の「エンジンがかからない」は、経験上“いきなり分解”が一番遠回りです。まずは現場で再現性のある順番に並べます。基本は、燃料(来ているか)→空気(吸えているか)→点火(火花が飛ぶか)→回転部(安全に回るか)の順です。
いきなりキャブレターを外す前に、次のチェックをしてください。順番通りに進めるだけで、原因がかなり絞れます。
・✅燃料が古くないか:古い燃料は始動不良の原因になりやすく、特に「いつ作ったか不明」な燃料は入れ替えが安全です(古い燃料が原因の可能性がある、という注意はメーカーの点検表でも明示されています)。
・✅プライマポンプで燃料が送れているか:燃料系が生きていれば、プライマポンプ操作で燃料が回ります(燃料が送られているか確認するという考え方は、燃料フィルタ交換後の確認手順にも出てきます)。
・✅燃料フィルタの目詰まり:燃料フィルタが詰まると「始動困難」「回転が上がらない」などを起こす、と取扱説明書に明記されています。
・✅点火プラグ:汚れ・カーボン堆積・ギャップ不良は定番で、手元で確認できる範囲が広いです。
ここで意外と見落とされるのが「始動操作そのもの」です。例えば、燃料を吸い込み過ぎると始動しにくくなり、取扱説明書でも“プラグを外して余分な燃料を出す”手順が書かれています。始動不良=故障とは限らないので、症状が出た直後の“前提条件”もメモしておくと、次回の判断が速くなります。
🔎 ちょっと意外な現場小ネタ
「エンジンがかからない」と言われて見に行くと、燃料は正常でも“燃料フィルタが真っ黒”で吸い上げゼロ、というケースがあります。燃料タンク内のゴミは、結局フィルタで止まるので、詰まった瞬間に一気に症状が出ます(昨日まで普通、今日いきなり不調、の典型です)。
燃料フィルタは、燃料タンク内でゴミや埃をろ過してキャブレターやエンジン内部をきれいに保つ役割です。目詰まりすると燃料を吸い上げられず不調につながる、と具体的に説明されています。
現場での「再現性」を重視して、作業の段取りをまとめます。
✅準備(必須)
・火気厳禁、換気、エンジン停止・冷却後に作業する(燃料作業の基本)。
・燃料タンク内の燃料量はできれば少なめにしておく(作業性が上がり、こぼしにくい)。
✅取り出しのコツ
燃料タンク内のホースを引っ掛けて取り出す際、指では届きません。針金などで“かぎ状の棒”を作ると良い、と具体例が出ています。ここが現場で一番効くポイントで、専用工具がなくても成立します。
✅状態判定(交換の判断)
・フィルタが黒く汚れている/詰まっている:燃料を吸わない状態になり得るので交換が基本。
・汚れが軽い:機種によっては清掃で延命できることもありますが、農繁期は「交換で確実化」が結果的に安い場合が多いです(停止時間が一番コストになるため)。
✅交換・固定のポイント
フィルタ交換時、留め金具は“つけたままでOK”という説明があります。さらに、留め金具の「メガネの様になっている部分」を握ると幅が広がり、フィルタとホースを挟み込んでしっかり固定できる、と具体的に書かれているので、その通りにやると失敗しにくいです。
✅交換後の確認(ここが重要)
プライミングポンプを複数回押して、半球部分に燃料が満たされれば異常なし、という確認手順があります。これをやらずに始動を繰り返すと、「直ってないのか、始動操作が悪いのか」が分からなくなります。
参考:燃料フィルタの役割、針金フック、留め金具の固定、交換後にプライミングポンプで燃料充填を確認する手順
https://homecentervalor.co.jp/osusume/gardening/grasscutter-exchangefilter
点火プラグは「汚れ」「ギャップ」「摩耗」の3点を見れば、多くの始動不良が整理できます。メーカーの定期点検ガイドでは、始動時トラブルの原因として点火プラグの汚れが挙げられており、汚れている場合は清掃、摩耗がひどい場合は交換が推奨されています。
一方で、取扱説明書のほうはさらに実務的で、プラグギャップの数値や、汚れた場合の対応が明記されています。ここを“数字で判断”に寄せると、迷いが減ります。
✅点検の手順(現場向け)
✅症状とプラグの関係(覚えやすい対応表)
・「一発だけ爆発音がして止まる」→燃料過多(かぶり)も疑う。取扱説明書には、燃料を吸い込み過ぎたときはプラグを外して余分な燃料を出し、電極を乾かす手順が書かれています。
・「火花が飛ばない」→プラグ自体が摩耗部品なので、交換しても改善しないなら販売店チェックが推奨されています。
✅見落としがちな原因
点火プラグが汚れる原因として、燃料内のエンジンオイルが多すぎる/エアフィルターが汚れている、という説明があります。つまり、プラグだけ交換しても再発する場合は「燃料の条件」「吸気の汚れ」まで戻って点検した方が早いです。
参考:点火プラグは始動不良の原因になり得ること、プラグギャップ再調整、一定時間で交換推奨、汚れ原因として燃料オイル量やエアフィルター汚れが関係する点
https://www.stihl.co.jp/ja/advice-hint/workcare/brushcutter-tips/brushcutter-maintenance
参考:点火プラグ点検(電極間0.7~0.8mm例)、汚れは清掃または交換、燃料吸い込み過ぎ時の対処(プラグを外して乾燥)などの具体手順
https://www.makita.co.jp/product/files/882896C9_B2991.pdf
燃料フィルタと点火プラグをやっても調子が戻らないとき、「空気」と「燃料の鮮度」をセットで疑うと、原因に当たりやすいです。理由は単純で、エンジンは燃料だけでも点火だけでも動かず、空気が入らなければ燃焼条件が崩れるからです。
✅エアクリーナ(吸気)の基本
定期点検のガイドでは、エンジンのパワーが落ちたと感じたらエアフィルターを清掃し、破損が見られたら交換する、とされています。さらに、点火プラグの汚れの原因にも「エアフィルターが汚れている」ことが挙げられていました。つまり、プラグが黒い=吸気側の詰まりも疑える、という読み替えができます。
✅燃料の鮮度(ここが“意外と効く”)
取扱説明書には、燃料は専用容器で保管しても4週間以内に使い切るのが目安、条件次第では夏場に1日で劣化する場合もある、とかなり強い表現があります。農繁期に「たまにしか使わない予備機」が不調になるのは、ここが原因のことが多いです。
✅長期保管明けの“復帰”でやるべきこと
長期間使わないときは燃料タンクやキャブレターから燃料を抜く、と保管方法として書かれています。ここを守っている機体は、翌シーズンの始動が明らかに楽です(結果的にプラグも汚れにくくなります)。
🧾 すぐ使えるチェックリスト(現場メモ用)
・📝燃料はいつ作った?(不明なら交換寄り)
・📝エアクリーナは詰まってない?(パワー低下の典型)
・📝プラグは黒い?(燃焼条件悪化のサイン)
・📝プライマポンプで燃料は回る?(燃料系の生死判定)
参考:燃料の保管期間の目安、条件によっては夏場に1日で劣化する可能性、長期保管時は燃料タンク・キャブレターから燃料を抜く手順
https://www.makita.co.jp/product/files/882896C9_B2991.pdf
検索上位の整備記事は「キャブレター清掃・調整で復活」系が強い一方で、現場の安全と再現性を考えると、むやみに触らないほうが良い局面があります。実際、定期点検のガイドでは「マフラーとキャブレターは自分では絶対にクリーニングしないで、販売店へ」という注意がはっきり書かれています。ここは“意外と知られていないが重要”な線引きです。
では、どこまでを自分でやるのが現実的か。おすすめは次の境界線です。
✅自分でやって良い寄り(再現性が高い)
・燃料フィルタの状態確認・交換
・点火プラグの清掃・ギャップ確認・交換
・エアクリーナの清掃
・燃料の入れ替え(鮮度管理)
・外観点検(燃料漏れ、ボルト緩み、飛散防護カバーの状態)
⚠️販売店に任せる寄り(失敗コストが高い)
・キャブレター内部のクリーニング、分解・調整
・マフラー内部の清掃
・「調整しても刈刃が止まらない」「回転が勝手に上がる」など安全に直結する不具合
🌾 独自視点:修理を“作業の一部”にする記録術
農業現場で効くのは、修理技術より「再発を潰す記録」です。おすすめは、刈払機に耐水ラベルを貼って、次の3点だけ書く運用です。
・🗓️燃料を作った日(または入れ替え日)
・🔧交換した部品(燃料フィルタ/点火プラグなど)
・🧑🔧症状(始動不良、回転が上がらない、等)
これをやると、次に不調が出たときに“劣化燃料か整備不足か”の判断が秒でできます。結果として、キャブレターに手を出す前に解決する確率が上がり、繁忙期の停止時間が減ります。
参考:キャブレターとマフラーは自分でクリーニングしないで販売店へ、点火プラグが原因の可能性と交換後も改善しない場合は販売店チェック
https://www.stihl.co.jp/ja/advice-hint/workcare/brushcutter-tips/brushcutter-maintenance