自閉症スペクトラムの特徴と赤ちゃん:視線の違和感や早期発見

赤ちゃんの様子が少し違うかも?視線が合わない、抱っこを嫌がるなどの違和感は、自閉症スペクトラム(ASD)のサインかもしれません。特徴的な行動や、早期発見のポイント、専門家への相談について詳しく解説します。早期の気づきが赤ちゃんの未来をどう変えるのでしょうか?

自閉症スペクトラムの特徴と赤ちゃんの違和感

記事のポイント
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視線と反応の違和感

目が合わない、あやしても微笑まないといった社会的反応の乏しさは早期のサインの可能性があります。

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感覚過敏と睡眠の乱れ

抱っこでの反り返りや特定の音への恐怖、睡眠リズムの不安定さなど、感覚面の特性が見られることがあります。

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専門家への相談と検診

1歳半検診や専門機関でのチェックリスト活用が鍵です。早期の療育がその後の発達を大きくサポートします。

赤ちゃんの視線が合わない?微笑みと反応の特徴


生後間もない赤ちゃんとのコミュニケーションにおいて、多くの保護者が最初に感じる「違和感」の一つに、視線の合いにくさがあります。通常、赤ちゃんは生後数ヶ月で親の顔をじっと見つめたり、目が合うと嬉しそうに微笑み返したりする「社会的微笑」を見せるようになります。しかし、自閉症スペクトラム(ASD)の傾向がある赤ちゃんの場合、このプロセスに独特の特徴が見られることが研究で明らかになっています。


具体的には、抱っこをして授乳している最中でもお母さんの顔を見ようとせず、明後日の方向を見ていたり、目が合ったとしてもすぐにそらしてしまったりする行動が報告されています 。これは単なる「人見知り」や「恥ずかしがり」とは異なり、人の顔(特に目)に対する選好性が生まれつき弱い可能性が示唆されています。定型発達の赤ちゃんが人の顔のパターンを好んで注視するのに対し、ASDの赤ちゃんは幾何学的な模様や光の反射、回る物体など、物理的な刺激に対して強い興味を示す傾向があります。


参考)赤ちゃんと目が合わない原因は?ASD(自閉スペクトラム症)と…

また、「あやしても笑わない」「呼びかけに対する反応が薄い」という点も重要なサインです。通常、生後6ヶ月頃までには、親が名前を呼ぶと振り向いたり、声のする方を探したりする「共同注意」の基礎が育まれます。しかし、ASDの特性を持つ赤ちゃんは、自分の名前を呼ばれても聞こえていないかのように振る舞うことがあり、親御さんが「耳が聞こえていないのではないか?」と心配して耳鼻科を受診するケースも少なくありません 。これは聴覚的な問題ではなく、社会的な刺激に対する脳の反応の違いに起因していると考えられています。


参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9723093/

さらに、「指さし」の欠如や遅れも顕著な特徴です。1歳前後になると、欲しいものを指さす(要求の指さし)だけでなく、興味のあるものを親に教えようとして指さす(共感の指さし)が見られるようになります。ASDの赤ちゃんの場合、この「共感の指さし」が乏しい、あるいはクレーン現象(親の手を取って対象物に近づけようとする行動)が見られることがあります 。視線や表情、ジェスチャーを通じた非言語的なコミュニケーションの難しさは、言葉が出る前の段階からすでに始まっていることが多いのです。


参考)https://www.ncnp.go.jp/nimh/pdf/H29_dd_2.pdf

参考リンクには、国立精神・神経医療研究センターによる1歳6ヶ月時点でのASD児の行動特徴に関する詳細なデータが含まれています。


発達障害の診断、治療・支援、連携に関する基本的知識 - 国立精神・神経医療研究センター

抱っこでの反り返りや感覚過敏のサインと睡眠

赤ちゃんの身体的な反応や生活リズムの中にも、ASDの兆候が現れることがあります。特によく知られているのが、抱っこを嫌がる、あるいは抱っこされたときの反応が不自然であるという点です。多くの赤ちゃんは親に抱きしめられることで安心感を得ますが、ASDの赤ちゃんの中には、触覚や圧覚に対する感覚過敏を持っている子がいます。そのため、抱っこされるとまるで締め付けられているかのように感じてしまい、激しく泣いたり、エビのように体を後ろに反らせて抵抗(反り返り)したりすることがあります 。


参考)1歳児・2歳児に見られる発達障害の特性(自閉スペクトラム症)…

この「反り返り」は、単に機嫌が悪いだけでなく、筋肉の低緊張や姿勢制御の問題とも関連している場合があります。体がふにゃふにゃとしていて抱きにくい、あるいは逆に体が常に強張っていて硬いといった身体的な特徴も、感覚統合の未熟さを示している可能性があります。また、衣服のタグが肌に触れるのを極端に嫌がったり、特定の素材の服しか着たがらなかったりするのも、触覚過敏の現れです 。


参考)【0歳から注意】自閉症の赤ちゃんの特徴と早期発見のポイント|…

聴覚過敏もまた、早期から見られる特徴の一つです。掃除機の音、ドライヤーの音、赤ちゃんの泣き声、あるいはスーパーマーケットの店内放送など、特定の周波数や音量に対してパニックのような反応を示すことがあります。耳を塞ぐポーズをとったり、特定の音がすると固まってしまったりする場合、それは単なる「怖がり」ではなく、脳が音の刺激を苦痛として処理しているサインかもしれません 。


参考)「感覚特性」とは?感覚過敏・感覚鈍麻ってどんな症状?|発達障…

さらに深刻な悩みとなりやすいのが、睡眠の問題です。ASDの赤ちゃんは、体内時計の調節に関わるホルモン(メラトニンなど)の分泌リズムが定型発達児と異なる場合があると言われています。そのため、「寝つきが極端に悪い」「夜中に何度も目を覚まし、その後数時間遊び続ける」「昼夜逆転が治らない」といった睡眠障害を抱えるケースが多く報告されています 。これは親御さんの育児疲れに直結する深刻な問題であり、単なる「夜泣き」として片付けられない背景があることを理解しておく必要があります。


参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10275966/

参考リンクには、睡眠の問題と感覚特性(前庭覚や口腔感覚)の関連性についての研究結果が記載されており、睡眠障害の原因を深く理解するのに役立ちます。


胎児・新生児期の生体リズム評価による自閉スペクトラム症の早期診断システムの開発 - 科学研究費助成事業

言葉の遅れや「折れ線型」現象と興味の偏り

言葉の発達における遅れや特異なパターンも、ASDを疑うきっかけとなる大きな要素です。一般的に、1歳前後で「マンマ」「ブーブー」などの初語が出始めますが、ASDの子どもではこの発語が大幅に遅れることが珍しくありません。しかし、単に遅いだけでなく、言葉の理解と表出のバランスが悪いことも特徴です。例えば、親の言うことはあまり理解していないように見えるのに、テレビのCMのフレーズや電車の駅名は完璧に暗記して復唱する(エコラリア・オウム返し)といった現象が見られることがあります 。


参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633453.pdf

ここで特に注意したいのが、「折れ線型(セットバック)」と呼ばれる現象です。これは、生後1歳半頃までは順調に言葉が出ていて、「ママ」「ワンワン」などとお喋りもできていたのに、ある時期を境に急に言葉が消えてしまったり、表情が乏しくなったりする現象を指します 。親御さんにとっては、「今まで出来ていたことが急に出来なくなった」という衝撃的な体験となるため、非常に大きな不安材料となります。この退行現象はASD児の約2〜3割に見られると言われており、脳の発達過程における何らかの変化(シナプスの刈り込みなど)が関係しているのではないかと推測されていますが、完全なメカニズムはまだ解明されていません。


参考)【ASD】折れ線型自閉症っ子ナノ子の成長過程まとめ。発語・無…

興味や関心の偏り(こだわり)も、この時期から顕著になり始めます。おもちゃを本来の遊び方(車を走らせるなど)で遊ぶのではなく、ミニカーを一列に延々と並べ続ける、タイヤの部分だけをひたすら回し続ける、積み木を崩さずにひたすら高く積み上げるといった、限定的で反復的な行動が見られます 。また、特定のテレビ番組の同じシーンを何十回も繰り返し見たがる、散歩のルートが少しでも違うとパニックになるなど、変化を極端に嫌い、同一性を保持しようとする傾向も強くなります。


参考)自閉症の特徴は?0歳・1歳・2歳・3歳・4歳まで年齢別解説 …

これらの行動は、子ども自身が予測可能な安心感を求めている結果であるとも言えます。外の世界が彼らにとってあまりにもカオティックで刺激が強すぎるため、自分のコントロールできる狭い世界に没頭することで精神的な安定を保とうとしています。


参考リンクには、言葉の消失(折れ線現象)に関する具体的な体験談や専門家の見解がまとめられており、同様の悩みを持つ保護者にとって貴重な情報源となります。


【ASD】折れ線型自閉症っ子ナノ子の成長過程まとめ。発語・無表情・癇癪 - nanopicoblog

【独自視点】新生児期の自発運動と早期発見の可能性

ここまでは一般的によく知られる1歳前後の特徴について触れてきましたが、近年の研究では、もっと早い段階、つまり新生児期から生後数ヶ月の間にも、ASDのリスクを示唆する微細なサインが存在することがわかってきています。その一つが、「ゼネラルムーブメント(General Movements: GMs)」と呼ばれる自発運動の質的評価です。


赤ちゃんは生まれてすぐから、手足をバタバタと動かす全身運動を行います。これは脳神経系の発達を反映した運動であり、定型発達の赤ちゃんでは、滑らかで優雅、かつ複雑に変化する動き(フィジティ・ムーブメント)が見られます。しかし、後の診断でASDや発達障害と診断された子どもたちの乳児期のビデオを解析すると、この動きに特徴的な違いが見られることが報告されています 。


参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10449803/

具体的には、動きが単調でバリエーションに乏しかったり(Poor Repertoire)、カクカクとしたぎこちない動きや、手足が同時に硬直するような同期的な動きが見られたりすることがあります。オーストリアの研究者ハインツ・プレヒトル教授らが提唱したこのGMs評価法は、脳性麻痺の早期発見に有効であることが知られていましたが、現在ではASDの早期バイオマーカーとしての可能性も大いに注目されています。


もちろん、一般の親御さんが赤ちゃんの動きを見て「これは異常だ」と判断するのは非常に困難ですし、素人判断は危険です。しかし、「なんとなく動きがぎこちない」「抱っこしたときの体の使い方が不自然」といった感覚は、決して気のせいではないかもしれないのです。この視点は、従来の「視線」や「言葉」といった社会的コミュニケーションの指標だけでなく、運動機能の質という生物学的な側面からも早期発見のアプローチが可能であることを示唆しています。


このような運動発達の特性は、将来的な不器用さ(発達性協調運動障害:DCD)とも関連しており、早期から理学療法的なアプローチや、感覚運動遊びを取り入れた関わりを行うことで、その後の身体感覚の育ちをサポートできる可能性があります。


参考リンクには、GMs評価とASDリスクの関連性を示唆する学術的な研究成果が掲載されており、専門的な知見を深めることができます。


Spatiotemporal patterns of spontaneous movement in neonates are significantly linked to risk of autism spectrum disorders - PMC

1歳半検診でのチェックリストと専門家への相談

多くの自治体で行われる1歳半検診(1歳6ヶ月児健康診査)は、ASDを含む発達障害の可能性に気づくための非常に重要な機会です。この時期になると、言葉の遅れや指さしの有無、共同注意の成立などがより明確になるため、M-CHAT(乳幼児期自閉症チェックリスト)などのスクリーニングツールを用いて、発達の凹凸を確認することが一般的です 。

チェックリストには、「親の視線を追うか」「興味のあるものを指さして教えるか」「親の真似をするか」「名前を呼ぶと反応するか」といった項目が含まれています。もし、ご家庭で赤ちゃんの様子を見ていて「うちの子、当てはまる項目が多いかも」と感じた場合は、検診の場を待たずに、地域の保健センターや子育て支援センターに相談することをお勧めします。


専門家に相談する際には、母子手帳の記録だけでなく、気になった行動をスマートフォンで動画に撮って見せると、医師や心理士に状況が伝わりやすくなります。「ハンドフラッピング(手をひらひらさせる行動)」や「つま先歩き」、「回るものをじっと見つめる様子」などは、言葉で説明するよりも映像の方が正確に特徴を把握できるからです 。


参考)ページが見つかりません|ふぉぴす

「診断名がつくのが怖い」と感じる親御さんも多いですが、早期発見の目的はレッテルを貼ることではなく、早期療育(早期介入)に繋げることにあります。脳の可塑性が高い乳幼児期に、その子の特性に合わせた適切な関わり(療育)を行うことで、コミュニケーション能力や社会適応能力を大きく伸ばすことができます。例えば、視覚優位な子には絵カードを使って見通しを持たせたり、感覚過敏がある子には刺激の少ない環境を整えたりすることで、子ども自身のストレスが減り、二次的な情緒障害(癇癪や自傷など)を防ぐことにも繋がります 。


参考)https://www.nise.go.jp/nc/wysiwyg/file/download/1/1511

「様子を見ましょう」と言われることもありますが、それは「何もしなくていい」という意味ではありません。違和感を感じている親御さんの直感は正しいことが多いものです。専門家と繋がりを持ちながら、お子さんの「得意」と「苦手」を理解し、その子らしい成長を支えるための第一歩を踏み出してください。


参考リンクには、厚生労働省による発達障害の早期発見・早期支援の意義に関する資料があり、公的な支援体制について理解を深めることができます。


発達障害の子どもを早期発見・早期支援することの意義 - 厚生労働省




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