ソーラリゼーション 太陽熱 土壌消毒 透明マルチ

ソーラリゼーションを太陽熱と透明マルチで成立させる土壌消毒として、効果・手順・失敗を整理し、病害虫と雑草、肥料設計まで現場目線で深掘りします、今年の圃場で試せそうですか?

ソーラリゼーション 土壌消毒

ソーラリゼーションの要点
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狙いは地温と時間

透明マルチで地温を上げ、一定期間の「熱」で病害虫・雑草種子の密度を下げるのが基本です。

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水分が効き目を左右

十分な灌水/湛水で熱が土に伝わりやすくなり、ムラの少ない処理に近づきます。

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消毒後の扱いが重要

深く耕すと未消毒層を混ぜて再汚染しやすいので、作業手順まで含めて設計します。

ソーラリゼーション 太陽熱 土壌消毒 効果

ソーラリゼーション(太陽熱土壌消毒)は、地表をプラスチックシートで被覆して平均地温を上げ、土壌中の病原体や雑草など作物の生育を阻害する要因を減らす方法です。
薬剤や蒸気に比べて、太陽エネルギー中心で実施でき、比較的安全・低コスト・環境負荷が少ない消毒法として位置づけられています。
現場での「効いた」の内訳は大きく3つで、病害虫の発生抑制、雑草の発芽抑制、そして農薬散布や除草作業の回数を減らしやすい点です。
また、意外に見落とされがちですが、太陽熱利用土壌消毒には“土壌の微生物相を残しながら消毒できる”という特徴があり、有機JASの栽培方法としても組み込みやすいと紹介されています。


参考)太陽熱消毒法 - Wikipedia

さらに近年の知見として、土壌中で作物が利用しにくい形の窒素やリン酸が、利用しやすい形に変化する「可給化」の働きが示され、農研機構の実験では基肥量を約2割減らせたという報告もあります。

つまりソーラリゼーションは「病気を減らす」だけでなく、「次作の立ち上がりを軽くする」方向にも効きうるため、肥料高騰期ほど価値が出やすい技術です。


参考)https://hesodim.or.jp/north/110/

ソーラリゼーション 透明マルチ 手順 期間

基本手順は、耕耘→畝立て→(堆肥・元肥+)十分な水→透明マルチ被覆→高温を維持→マルチ除去、という流れで組みます。
適期は「一年で最も暑い時期」が目安で、梅雨明け(7月中・下旬)から9月上旬くらいが一つの目安として挙げられています。
期間は平均3週間程度が基準で、地中温度を55~60℃以上に保てる産地なら2週間以上でもよいとされています。
透明マルチは必須条件で、JAの営農資料でも「透明マルチでないと効果が無い」と明確に注意喚起されています。

理由は単純で、ソーラリゼーションは「光を通して土を温める」仕組みなので、遮光が強い資材だと地温が上がりにくく、処理の成立条件から外れやすいからです。

畝の上だけでなく畦や端まで“隙間なく密閉”するほどムラが減り、結果として「効いたのに一部だけ雑草・病気が残った」を回避しやすくなります(穴や破れはふさぐ前提)。

ソーラリゼーション 灌水 湛水 温度

効き目を上げるコツは「水分」で、熱を土中へ伝えやすくするために畑全体へ十分な水を与えることが重要だと解説されています。
水はけが悪い土壌でも圃場容水量以上を目標にし、湛水する場合は畝が沈む程度まで入れる、という具体的な目安も示されています。
JAの説明では、土壌温度60℃以上で3~4週間維持する、という運用イメージが提示されており、温度と期間の両方を満たすことが前提になります。
ここでの現場的な落とし穴は、「日中だけ熱い」状態で満足してしまうことです。

ソーラリゼーションは“平均地温を上げる”発想なので、晴天が続く時期選定、マルチの密閉、灌水で熱を運びやすくする、という3点セットが揃って初めて「積み上げ型」で効いてきます。

逆に、水分が不足して土が乾いていると、表面だけ高温でも深さ方向へ熱が入りにくく、センチュウや病原菌の密度が落ちにくいケースが出やすいので、処理前の水の入れ方が投資対効果を決めます。

ソーラリゼーション 雑草 病害虫 失敗

失敗の代表例は「処理後の耕耘で台無し」です。
太陽熱消毒で温度が十分に上がらなかった中・深層の雑草種子や病原菌を、深く耕して作土層へ持ち上げてしまうと、せっかく下げた密度を戻しやすいので、消毒後は浅めの耕転が推奨されています。
JAの営農資料でも、マルチ除去後に耕耘・畝立てをすると未消毒土壌が混入するため、耕耘せずに播種・植え付けを行うよう注意されています。
もう一つの落とし穴は「台風・豪雨でマルチが浮く/破れる」ことで、隙間から空気が入ったり水分が抜けたりすると温度・湿度の条件が崩れ、ムラが出やすくなります。

さらに意外な失敗として、消毒の対象が“深い層にいる病原菌”の場合、太陽熱消毒の効果が弱いという説明もあり、例えばトマト青枯病の病原菌は地中35cmに高密度で生息するため、熱水や蒸気など別手段も推奨されています。

つまり、ソーラリゼーションは万能ではなく、「狙う病害虫が表層型か深層型か」を先に整理して、必要なら他の土壌消毒と組み合わせるのが現実的です。

ソーラリゼーション 土壌還元消毒 独自視点

検索上位の解説は「太陽熱で焼く」説明が中心になりがちですが、実務では“次作の設計”まで含めて組むと成果が安定します。
農研機構の解説では、太陽熱利用土壌消毒の工程で、ふすまや米ぬかなどの易分解性有機物を混和して灌水・被覆し、土壌を酸欠(還元)状態にする「土壌還元消毒」もおすすめされています。
また、緑肥やクズ野菜をすき込む生物的土壌消毒も紹介され、被覆をしないと効果が出にくいこと、区画によっては収穫量が増えたことなど、被覆+有機物の相乗が示唆されています。
独自視点として提案するのは、「ソーラリゼーション=消毒イベント」ではなく、「土の状態を一度リセットして、次作の初期生育を揃える工程」として扱うことです。

上位記事でも触れられている“可給化”が起きるなら、施肥設計は従来の経験値をそのまま当てず、基肥を入れすぎない・追肥で調整する、という運用にすると肥料コストと徒長リスクの両方を抑えやすくなります。

また、深い病害が疑われる圃場は太陽熱だけに賭けず、土壌還元消毒や熱水・蒸気など別の「深さに効く」手段も検討し、圃場ごとに“効かせたい深さ”で技術を選び分けるのが現場の勝ち筋になります。

病害虫の抑制、雑草の発芽抑制、そして肥料設計まで含めて「夏の休閑期に圃場を整える」意味で、ソーラリゼーションは今でも更新余地の大きい技術です。

導入時は、適期(暑い時期)、十分な水、透明マルチの密閉、消毒後に深く耕さない、の4点を守るだけで、再現性が一段上がります。

土壌消毒の定義と背景(薬剤代替としての位置づけ)
太陽熱消毒法(ソーラリゼーション)の概要
実施時期・期間・灌水・被覆・消毒後の耕転注意(現場のコツがまとまっている)
農研機構に聞く太陽熱利用土壌消毒の効果的な方法
透明マルチ必須、60℃・3〜4週間の運用目安、耕耘しない注意点(営農向けの簡潔な手順)
太陽熱消毒の効果と手順(営農通信)