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  • 団粒構造の作り方と土壌改良の資材や微生物と堆肥のメリット
    団粒構造の作り方 団粒構造を作る3つの重要ポイント 🦠 微生物という「建築家」 土の粒子を接着するのは、菌糸や微生物が出す粘着物質です。 🍂 C/N比の高い「資材」 分解の遅い繊維質な有機物が、構造を維持する骨格になります。 ⏳ 物理的な「刺激と時間」 根の伸長や乾湿の繰り返しなど、物理的な力が団粒を強固にします。 団粒構造の作り方における有機物と微生物の重要な役割団粒構造の作り方を理解する上で最も重要なのは、土は「人間が耕して作るもの」ではなく、「微生物と根が協働して建築するもの」であるという認識の転換です。多くの農業関係者が誤解している点は、トラクターで細かく粉砕すれば団粒構造になると考えていることですが、それは一時的な「単粒構造の集合」に過ぎず、雨が降ればすぐに固まってしまいます。真の団粒構造とは、土壌中の鉱物粒子(粘土やシルト)と有機物が、微生物の働きによって強力に接着された状態を指します。この接着剤の役割を果たすのが、微生物が排出する多糖類や、糸状菌(カビの仲間)の菌糸、そして近年注目されているアーバスキュラー菌根菌が放出する「グロマリン」という糖タンパク質です。細菌(バクテリア)の役割。細菌は有機物を分解する過程で、バイオフィルムと呼ばれる粘着質の膜や多糖類を分泌します。これが微細な土の粒子同士をくっつけ、「ミクロ団粒」と呼ばれる最小単位の塊を形成します。糸状菌(カビ)の役割。糸状菌は長い菌糸を土の中に張り巡らせます。この菌糸が物理的なネットのように土の粒子を絡め取り、より大きな「マクロ団粒」へと成長させます。菌糸による結合は比較的強力で、水に浸かっても崩れにくい耐水性団粒を作る上で欠かせません。ミミズなどの土壌動物。彼らは土と有機物を一緒に体内に取り込み、腸内で混ぜ合わせ、カルシウムなどの無機物と結合させた状態で排泄します。この「糞土」は非常に安定した団粒構造を持っており、天然の肥料ペレットとも言えます。したがって、団粒構造の作り方の核心は、「いかにして微生物の多様性を高め、彼らに接着剤を作り続けてもらうか」という点に集約されます。単に有機物を投入するだけでなく、微生物が住みやすい環境(適度な水分、空気、pH)を整えることが、物理性の改善には不可欠なのです。農業現場で役立つ技術情報として、土壌の物理性改善に関する詳しいメカニズムは以下のリンクが参考になります。静岡県志太榛原農林事務所:団粒土の形成と破壊のメカニズム、凍結融解の影響について団粒構造の作り方に適した堆肥や腐植などの資材の選び方団粒構造を効率的に作るためには、投入する資材の選び方が結果を左右します。ここで重要な指標となるのが「C/N比(炭素率)」と「繊維の硬さ(リグニン含有量)」です。肥料効果を期待する資材と、土壌改良(団粒化)を期待する資材は明確に使い分ける必要があります。団粒化を目的とする場合、分解が早すぎる資材(鶏糞や米ぬか単体など)は、一時的に微生物を爆発的に増やしますが、エサが尽きると微生物も死滅し、団粒構造も長持ちしません。一方で、分解されにくい木質系の繊維を含む資材は、長期間にわたって微生物の住処となり、物理的な隙間を維持し続けます。以下の表は、団粒構造形成における主要な資材の適性をまとめたものです。資材の種類主な特徴と団粒化への効果C/N比の目安おすすめの使用場面バーク堆肥樹皮を発酵させたもの。リグニンが多く分解が遅いため、長期間土をふかふかに保つ効果が高い。土壌改良の王様。30〜50粘土質の畑の改良、通気性の確保牛ふん堆肥繊維質を含み、緩やかに分解される。土壌の保水性と通気性のバランスを整える基本資材。完熟品を選ぶことが必須。15〜20ベースとなる土作り、保肥力の向上もみ殻くん炭多孔質で微生物の住処として最適。pH調整効果もあり、土壌の通気性を物理的に確保する。分解されず半永久的に残る。-排水性が悪い土壌、酸性土壌の矯正緑肥作物ソルゴー(イネ科)やヘアリーベッチ(マメ科)などを栽培し、すき込む。根が土を耕し、生の有機物を供給する。植物による休耕期間の土作り、広範囲の改良腐植酸資材フルボ酸やフミン酸を含む資材。化学的に粘土と結合しやすく、即効性のある団粒化促進剤として機能する。-短期間で結果を出したい時、追肥時特に注目すべきは「腐植」の存在です。腐植は、有機物が微生物によって分解・再合成された最終生成物に近い黒色の物質です。腐植はマイナスの電気を帯びており、プラスの電気を持つカルシウムやマグネシウムイオンを仲介役として、マイナスの電気を持つ粘土粒子と強く結びつきます(陽イオン架橋結合)。この化学的な結合を作るために、堆肥とセットで「石灰(カルシウム)」や「苦土(マグネシウム)」を適切に施用することも、団粒構造の作り方における隠れたコツです。ただし、石灰の入れすぎは土を硬くする原因にもなるため、土壌診断に基づいた施用が求められます。腐植の働きや資材の特性については、以下の専門的な解説も参考になります。リサール酵産:団粒構造と腐植の関係、微生物による分解プロセスについて団粒構造の作り方の手順と土壌改良にかかる期間の目安理想的な団粒構造を作るには、正しい手順と、ある程度の期間が必要です。「明日すぐに団粒構造ができる」という魔法の方法はありません。焦って過剰な耕うんを行うと、逆に土の構造を破壊してしまう「ロータリー耕のジレンマ」に陥ります。ステップ1:土壌診断と物理性の確認まず、現在の土の状態を知ります。湿った土を握って固まり、指で押すとホロリと崩れるのが理想です。握っても固まらない(砂質)、握ると粘土細工のように固まる(粘土質)場合は改良が必要です。また、水はけの悪さが「耕盤層(ロータリーの爪が届かない深さにある硬い層)」によるものかどうかも、棒を刺して確認します。ステップ2:資材の投入と粗耕起完熟堆肥(牛ふんやバーク)を10aあたり2〜3トン程度目安に投入します。ここで重要なのは、深く耕しすぎないことです。表層15cm〜20cm程度に有機物を混ぜ込みます。機械で攪拌しすぎると、せっかくの資材ごと土が粉々になり、雨降下後にセメントのように固まってしまいます。「土と資材を練り込む」のではなく「土と資材をサンドイッチにする」イメージで、ロータリーの回転数を下げ、走行速度を上げて粗く起こすのがコツです。ステップ3:養生期間(微生物の活動期間)資材を入れた直後に作付けするのではなく、可能であれば2週間〜1ヶ月程度、土を休ませます。この間に微生物が活発に動き出し、初期の団粒化(のり付け作業)が始まります。適度な雨(水分)が必要です。ステップ4:作物の根による耕うん作付けを行います。作物の根が伸びることで土が押しのけられ、微細な隙間が生まれます。また、根からは糖分などの分泌物が出され、根圏微生物が集まり、団粒化が加速します。期間の目安について初期変化(半年〜1年): 堆肥を入れた表層部分が柔らかくなり始めます。しかし、まだ構造は脆く、大雨で崩れやすい状態です。安定期(3年〜5年): 毎年継続的に有機物を投入し、適切な管理を続けることで、耐水性団粒(水に濡れても崩れない団粒)が増え、深い層まで構造が発達します。特に注意すべきは、頻繁なロータリー耕うんが団粒構造を破壊する最大の要因になり得るという点です。近年では、不耕起栽培や簡易耕起(ミニマム・ティレッジ)が見直されています。一度出来上がった団粒構造を守るためには、「耕さない」あるいは「浅く耕す」という選択肢も、作り方の一部として組み込むべきです。耕うん方法と土壌構造の関係性については、農文協の以下の記事が現場視点で非常に有益です。農文協:穴を掘って耕し方を見直そう、ロータリー耕による団粒構造破壊のリスク団粒構造の作り方で重要な粘土の性質と根の物理的な作用多くの解説記事では「堆肥を入れれば団粒構造ができる」と説明されますが、実はそれだけでは不十分なケースがあります。ここでは、検索上位の記事にはあまり詳しく書かれていない、しかし農業物理学的には極めて重要な「粘土の乾湿繰り返し」と「根の物理的作用」という独自視点から解説します。1. 乾湿の繰り返し(ウェッティング・アンド・ドライング)土壌中の「粘土」は、水を吸うと膨張し、乾燥すると収縮する性質を持っています。この膨張と収縮の物理的な動きが、土の粒子を強制的に近づけたり離したりするポンプのような役割を果たします。乾燥時: 土が収縮して亀裂が入ります。この亀裂が空気の通り道となり、同時に粒子同士が強い力で圧着されます。湿潤時: 土が膨らみますが、乾燥時に圧着された一部の結合は残ります。このサイクルが繰り返されることで、微生物の出した接着剤がより強固に作用し、強固な団粒が生まれます。つまり、ずっと湿っている土や、ずっと乾いている土では団粒化は進みません。「雨が降って、晴れて乾く」という自然のリズムこそが、団粒構造の仕上げを行っています。マルチングで水分を一定に保つことも大切ですが、土作りの段階では適度な乾湿の変化を与えることも必要です。2. 植物の根による「貫入」と「脱水」植物の根は、物理的なドリルとして土を貫きます。根が太くなるとき、周囲の土は数気圧という強い圧力で圧縮されます。この圧力が土粒子同士を密着させます。さらに、根は土中の水分を吸い上げます。根の周りの土は局所的に激しく乾燥(脱水)し、前述の「収縮」が起こります。根が伸びる = 物理的な穴が開く(通気性の確保)根が水を吸う = 根圏の土が収縮し、団粒化が促進されるつまり、何も植えずにただ堆肥を入れて寝かせておくよりも、「緑肥作物などを植えて、根に仕事をさせる」方が、圧倒的に早く、良質な団粒構造を作ることができます。特にイネ科の緑肥(ソルゴー、ライムギなど)はひげ根が大量に発生し、土を細かく抱き込むため、表層の団粒化には最強のツールとなります。マメ科(ヘアリーベッチなど)は直根で深く入り、窒素固定により微生物を活性化させるため、これらを組み合わせる(混播する)のがプロのテクニックです。また、寒冷地においては「凍結と融解」の作用も無視できません。冬場に土中の水分が凍って霜柱ができると、土が持ち上げられ隙間ができます。春に解けると、その隙間を残したまま土が落ち着きます。この物理作用を活かすために、秋に粗く耕しておき(寒起し)、冬の寒さに晒すという伝統的な農法は、理にかなった団粒構造の作り方の一つなのです。最後に、堆肥作りから土壌改良までの一連の流れを、農機メーカーの視点で解説している以下のページも参照してください。ヤンマー:堆肥ができるまでの過程と土壌物理性の改善について【ヒルナンデス!で紹介されました】EFポリマー 土に混ぜるだけでラクに水分キープ 畑向け 保水材 粒状タイプ(つぶ) 500g 水やり減 肥料節約 100%生分解性 ケミカルフリー
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  • 排水性と土壌改良の対策と方法!粘土質に資材と団粒構造
    排水性と土壌改良 排水性と土壌改良の重要ポイント 💧 粘土質の改善 単に砂を混ぜるだけでは逆効果になるリスクと、正しい物理性の改善アプローチ 🍂 資材と団粒構造 もみ殻くん炭や腐葉土、微生物の働きを利用した持続可能な土作り 🛠️ 暗渠とDIY プロに頼らず自分でできる縦穴暗渠や簡易的な水はけ対策の施工手順 粘土質の排水性と土壌改良を改善する原因と対策農業現場において、作物の生育不良や根腐れ、病害の最大の原因の一つが「排水性の悪さ」です。特に日本の農地は、火山灰土壌や沖積土壌が多く含まれますが、場所によっては微細な粒子が密に詰まった重粘土質の土壌が広がっています。粘土質の土壌は、肥料持ち(保肥力)が良いというメリットがある反面、水はけが極端に悪く、雨が降るとすぐにぬかるみ、乾くとコンクリートのように硬くなるという極端な性質を持っています。排水性が悪い土壌の根本的な原因は、土の粒子の隙間である「孔隙(こうげき)」が不足していることにあります。土壌は固相(土の粒子)、液相(水)、気相(空気)の三相分布で構成されていますが、排水性が悪い土壌はこの「気相」が極端に少なく、根が呼吸できない酸欠状態に陥りやすいのです。粘土質の土壌改良における最大の落とし穴は、「水はけを良くするために砂を混ぜる」という単純な対策です。実は、粘土質の土に安易に川砂などを混ぜると、粒子の隙間をさらに小さな粘土粒子が埋めてしまい、まるでセメントのように締め固まってしまう「締め固め作用」が発生することがあります。これにより、かえって排水性が悪化するケースが後を絶ちません。正しい対策としては、単一の粒度分布を変えるのではなく、有機物や多孔質資材を投入して「物理性」を根本から変える必要があります。具体的には、土壌の中に意図的に大きな隙間(粗孔隙)を作り出し、重力水を速やかに下層へ逃がす構造を作ることが求められます。以下の表は、粘土質土壌と改善された土壌の物理性の違いを比較したものです。 項目 未改良の粘土質土壌 土壌改良後の理想的な土壌 三相分布(気相) 10%以下(酸欠になりやすい) 25%~30%(根が呼吸しやすい) 透水係数 非常に低い(水が停滞する) 高い(スムーズに浸透する) 硬度(ち密度) 高い(根が伸長しにくい) 適度(根が深く張れる) 乾湿の変動 激しい(過湿と乾燥の差が大) 緩やか(保水しつつ排水する) 対策の第一歩は、現在の圃場の「耕盤層(こうばんそう)」の位置を把握することです。トラクターやロータリーで長年同じ深さを耕していると、深さ20~30cmの場所に非常に硬い不透水層が形成されます。これが排水性を阻害している場合、いくら表層の土壌改良を行っても水は下へ抜けません。まずはこの層を破壊することが、粘土質対策のスタートラインとなります。農林水産省の資料では、土壌の物理性改善における有機物の重要性や炭の活用について言及されており、土壌改良の基礎的な考え方を学ぶのに適しています。農林水産省:農地土壌をめぐる事情(土壌改良資材の活用について)排水性と土壌改良に効果的な資材ともみ殻の投入排水性を劇的に改善するためには、適切な「土壌改良資材」の選定と投入が不可欠です。資材は大きく分けて「物理的資材(多孔質資材)」と「有機質資材」の2つに分類されますが、これらを複合的に組み合わせることで、より高い効果を発揮します。物理的資材の代表格として挙げられるのが「パーライト」です。パーライトには黒曜石を原料としたものと、真珠岩を原料としたものがあり、排水性向上を目的とする場合は「黒曜石系パーライト」を選ぶのが鉄則です。真珠岩系は保水性が高まるため、排水対策としては逆効果になる可能性があります。また、天然の鉱物であるゼオライトも有効です。ゼオライトは多孔質構造による通気性の確保だけでなく、CEC(陽イオン交換容量)が高いため、保肥力も同時に向上させる一石二鳥の資材です。有機質資材の中で、コストパフォーマンスと効果のバランスが最も優れているのが「もみ殻」および「もみ殻くん炭」です。もみ殻は分解が遅く、長期間にわたって土の中で隙間を維持する役割を果たします。もみ殻くん炭のメリット:多孔質構造により、通気性と排水性を物理的に確保できる。アルカリ性資材であるため、日本の酸性土壌を中和する効果がある。微生物の棲家となり、土壌生物相を豊かにする。ケイ酸を含んでおり、作物の茎葉を丈夫にする効果が期待できる。生のもみ殻を投入する場合は注意が必要です。生の有機物が土中で分解される際、微生物が土壌中の窒素を大量に消費してしまい、作物が「窒素飢餓」に陥るリスクがあります。これを防ぐためには、投入後に十分な期間を空けるか、硫安や鶏糞などの窒素分を同時に施用してC/N比(炭素率)を調整することがプロの技です。また、腐葉土やバーク堆肥といった繊維質の多い有機物も、粘土の粒子同士がくっつくのを防ぎ、水通りを良くする効果があります。ただし、未熟な堆肥を使用すると、ガス障害や根腐れの原因となるため、必ず完熟したもの、あるいはC/N比が調整された製品を選ぶようにしましょう。効果的な資材の投入手順は以下の通りです。資材の選定: 土壌診断を行い、pHやECを確認した上で、パーライトやもみ殻くん炭を選定する。均一な散布: 1平方メートルあたり2~3kgを目安(土壌の状態による)に、ムラなく散布する。深耕混和: ロータリーや鍬を使って、深さ30cm程度までしっかりと土と混ぜ合わせる。経過観察: 降雨後の水引き具合を確認し、必要であれば翌シーズンに追加投入を行う。土壌改良資材の種類や選び方については、多くの農業情報サイトで解説されていますが、以下のリンクでは初心者にもわかりやすく資材の特性がまとめられています。マイナビ農業:おすすめ土壌改良材5選!種類・使い方・効果などを解説排水性と土壌改良の物理性を変える団粒構造と微生物排水性の良い土壌のゴールは、「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」の形成にあります。団粒構造とは、微細な土の粒子(単粒)が、粘液や静電気的な力によってくっつき合い、小さな団子状の塊になった状態のことです。この団粒構造が形成されると、団粒の内部には水を保持する微細な孔隙(保水性)ができ、団粒と団粒の間には水や空気が通る大きな孔隙(排水性・通気性)が生まれます。つまり、「水はけが良いのに水持ちも良い」という、相反する理想的な条件を両立させることができるのです。しかし、単に資材を混ぜるだけでは、永続的な団粒構造は作れません。ここで重要になるのが「微生物」の働きです。特に、糸状菌(カビの仲間)や放線菌、そして植物の根と共生する「アーバスキュラー菌根菌」が出す「グロマリン」という糖タンパク質が、強力な接着剤の役割を果たし、土の粒子を強固に結びつけます。団粒構造形成のプロセス:有機物(エサ)の投入。微生物(分解者)の活性化。菌糸の伸長や粘着物質の分泌による土粒子の結合。ミミズなどの小動物による耕起作用と糞(耐水性団粒)の生成。化学肥料だけに頼った栽培を続けていると、有機物が枯渇し、微生物が減少することで団粒構造が崩壊しやすくなります。これを防ぐためには、定期的に腐植酸(フミン酸・フルボ酸)を含む資材を投入することが効果的です。腐植酸は土壌粒子と結合して複合体を作り、化学的に安定した団粒構造を促進します。また、カルシウムやマグネシウムといった陽イオンも、土壌粒子の結合を助ける「架橋作用」を持っています。特にカルシウム資材(カキ殻石灰など)を適切に施用することは、pH調整だけでなく、物理性の改善=団粒化の促進にも寄与するという点は、意外と見落とされがちなポイントです。研究機関による論文では、土壌の物理性と作物の生育、そして排水対策との関連性が科学的に分析されています。農研機構:粘土質転換畑のダイズ増収を目的とした土壌特性および耕うん法排水性と土壌改良の耕盤層を緑肥で破壊する方法これは検索上位の記事にはあまり詳しく書かれていない、生物的なアプローチによる独自視点の土壌改良法です。機械や高価な資材を使わずに、植物の「根」の力を使って深層の排水性を改善する方法、それが「緑肥(りょくひ)による生物的耕起」です。前述の通り、排水不良の大きな原因は地下30cm以深にある「耕盤層」です。サブソイラーなどの重機があれば破砕できますが、一般の家庭菜園や小規模農家では導入が困難です。そこで活躍するのが、強力な直根を持つ緑肥作物です。特に以下の品種は、硬い粘土層を突き破って深くまで根を伸ばす能力が高く、「耕盤破砕効果」が期待できます。セスバニア:マメ科の熱帯性植物で、驚異的な生長速度を持ちます。根は非常に太く、深く垂直に伸びるため、硬盤層を物理的に貫通します。枯死した後、その太い根が腐って空洞になり、そのまま「自然の通水パイプ」として機能します。ソルゴー(ソルガム):イネ科の緑肥で、根の量が非常に多く、土壌を細かく砕く効果があります。深くまで根を張るタイプを選ぶことで、透水性を向上させます。ひまわり:景観植物としても人気ですが、実は強力な直根を持っており、硬い土壌にも食い込んでいきます。この手法の最大のメリットは、土壌の深い部分まで有機物を届けられる点です。機械で耕すと、どうしても表層と深層が混ざるだけになりがちですが、緑肥の根は耕盤層の下まで有機物を供給し、深層での微生物活性を高めます。これにより、長期的には深層の土壌構造までもが団粒化し、畑全体の排水能力が底上げされるのです。実行する際は、緑肥を栽培し、花が咲く直前(栄養価が最も高い時期)に刈り取り、そのまま土にすき込みます。これにより、排水性改善だけでなく、次作のための肥料分供給(窒素固定など)も同時に行えるため、極めて合理的な農業技術と言えます。排水性と土壌改良を暗渠と縦穴で解決するDIY土壌改良資材や緑肥を使っても改善しきれないほどの重粘土質や、地下水位が高い圃場の場合、物理的に水を抜く「暗渠(あんきょ)排水」の施工が最終手段にして最強の解決策となります。プロに依頼すると高額な工事になりますが、小規模であればDIYで施工することも可能です。また、本格的な配管を行わない「簡易暗渠」や「縦穴排水」も非常に効果的です。1. 縦穴暗渠(ポイント排水)のDIY:最も手軽で、局所的な水たまりに効果がある方法です。道具: ダブルスコップまたはオーガー(穴掘り器)。手順:水はけの悪い場所に、直径10~15cm、深さ50~80cm程度の穴を掘ります(耕盤層を突き抜けることが重要)。穴の底に砂利や小石を詰め、その上にもみ殻くん炭や剪定枝、竹チップなどを投入します。表層近くまで詰めたら、最後に土を被せて蓋をします。これが「吸い込み口」となり、地表の水を地下深くの浸透層へ逃がします。2. 簡易本暗渠の施工:パイプを使わず、有機物で水路を作る方法です。古くから行われている伝統的な手法です。手順:畑の周囲または中央に、排水先に向かって緩やかな傾斜(1/100~1/300程度)をつけた溝を掘ります。深さは40~60cmが目安です。溝の底に、束ねた笹、竹、剪定枝、あるいはもみ殻を厚く敷き詰めます。これらが水を通す空隙を確保します。その上に土を埋め戻します。数年は効果が持続し、最終的には腐熟して土に還るため、環境負荷もありません。3. 本格的なDIY暗渠(有孔管使用):ホームセンターで入手できる「有孔管(穴の開いたパイプ)」を使用します。注意点: パイプの周りには必ず「疎水材(そすいざい)」と呼ばれる砂利やもみ殻を十分に充填してください。パイプだけを埋めて土を被せると、すぐに目詰まりを起こして機能しなくなります。また、排水口(出口)が水路の水位より高くなるように設計しないと、逆に水が逆流してくるため、測量は慎重に行う必要があります。これらの物理的な施工と、前述した土壌改良資材による団粒化を組み合わせることで、どんなに頑固な粘土質の畑でも、作物がのびのびと育つ理想的な環境に変えることができるでしょう。自治体の研究センターなどでも、こうした排水対策の具体的な工法や効果について詳細なレポートが公開されています。北海道立総合研究機構:重粘土壌における排水対策と土壌理化学性の改善彫塑用土粘土 アルファクレイ(土粘土) 1kg ニューブロンズ
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  • 土壌改良のやり方!堆肥と有機物で粘土質を団粒構造にする土作り
    土壌改良のやり方 土壌改良のやり方 🔍 土の状態を診断 雑草や感触で土壌タイプを判別 🍂 有機物を投入 堆肥や腐葉土で物理性を改善 🦠 団粒構造化 微生物の働きでフカフカの土へ 農業において「土作り」は作物の収量や品質を決定づける最も重要な工程です。しかし、ただ闇雲に肥料を撒くだけでは、理想的な土壌環境は整いません。特に日本の農地は雨が多く、成分が流亡しやすい上に酸性に傾きやすい特徴があります。本記事では、土壌の物理性、化学性、生物性を総合的に改善し、永続的に収穫できる「強い土」を作るための具体的なプロセスを詳解します。土壌診断のやり方と雑草による判断土壌改良を始める前に、まず自分の畑が現在どのような状態にあるのかを正確に把握する必要があります。高価な分析機器を使わなくても、生えている「雑草」の種類や土の感触から、土壌のpHバランスや肥沃度、物理的な硬さをかなり正確に読み取ることができます。これは多くのベテラン農家が実践している、自然のシグナルを活用した診断法です。酸性土壌を示す雑草。スギナ、オオバコ、カヤツリグサなどが繁茂している場合、その土壌は強い酸性に傾いています。特にスギナは地下茎を深く伸ばすため、酸性かつ耕盤層(硬い層)がある可能性が高い指標となります。肥沃な土壌を示す雑草。ハコベ、ホトケノザ、オオイヌフグリなどは、有機物が豊富で窒素分が適度に含まれている「良い土」に生えます。これらの草が生えていれば、過剰な施肥は不要であると判断できます。土壌硬度と排水性の診断。土を握った時の感触も重要です。湿った土を握って固まり、指で押すとほろっと崩れるのが理想的な状態です。握っても固まらない場合は砂質土壌、固まって粘土細工のようになる場合は粘土質土壌の傾向が強く、それぞれ異なるアプローチが必要です。生えている雑草で土壌診断! 雑草が教えてくれる4つのこと【畑は小さな大自然vol.90】 - マイナビ農業雑草の種類から「酸性度」「土の硬さ」「栄養状態」を読み解く具体的な方法が解説されており、土壌診断の第一歩として非常に参考になります。また、土の匂いも重要な手がかりです。森のような腐植の香りがすれば放線菌などの有用微生物が豊富な証拠ですが、ドブのような腐敗臭がする場合は嫌気性菌が増殖しており、根腐れのリスクが高い状態です。こうした五感を使った診断を最初に行うことで、無駄な資材投入を防ぎ、最短ルートでの土壌改良が可能になります。粘土質・砂質の土壌改良と団粒構造土壌改良の最終目標は「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」を作ることです。団粒構造とは、土の微粒子が微生物の出す粘液やミミズの排泄物などによって結びつき、小さな団子状の塊になった状態を指します。この構造ができると、団子と団子の間に適度な隙間が生まれ、水はけが良いのに水持ちも良いという、相反する性質を両立させることができます。粘土質土壌と砂質土壌では、この団粒構造を目指すためのアプローチが真逆になります。それぞれの特徴に合わせた資材選びと物理的な改善策を見ていきましょう。土壌タイプ特徴デメリット改良のアプローチ粘土質土壌粒子が細かく粘り気が強い水はけが悪く、乾くとカチカチに固まる。根張りが悪い。「粗大有機物」と「砂」の投入。もみ殻、バーク堆肥、腐葉土などの繊維質な有機物を混ぜ込み、土の中に物理的な隙間を強制的に作る。砂質土壌粒子が粗くサラサラしている水はけが良すぎて肥料分や水分が保持できない。「粘着性のある有機物」と「粘土」の投入。完熟牛ふん堆肥やピートモスなど、保水力の高い資材を投入し、土の粒子をつなぎ止める力を補う。粘土質土の困りごと解決ガイド - チバニアン兼業農学校粘土質の土壌に対して、砂や腐葉土をどのように混ぜれば排水性と通気性が改善されるか、具体的な手順とメカニズムが詳述されています。特に粘土質土壌の改良には「もみ殻くん炭」の利用も効果的です。多孔質であるもみ殻くん炭は、土壌の通気性を高めるだけでなく、その無数の穴が微生物の住処となり、団粒化を促進するバクテリアの増殖を助けます。一方、砂質土壌では、ゼオライトなどの多孔質鉱物を混ぜることで保肥力(CEC)を高める手法も有効です。どちらの場合も、一度の投入で完了するものではなく、作付けごとの継続的な投入が土の体力を徐々に底上げします。堆肥・有機物の選び方と投入時期「有機物を入れれば良い」といっても、その種類と投入タイミングを間違えると、逆に作物の生育を阻害する「窒素飢餓」や「ガス害」を引き起こす原因となります。土壌改良材として使われる有機物は、主に「植物性堆肥」と「動物性堆肥」に分類され、それぞれ目的が異なります。植物性堆肥(バーク堆肥、腐葉土、もみ殻)。主に「土壌の物理性改善」を目的とします。炭素率(C/N比)が高く、分解がゆっくり進むため、土の中で長く隙間を維持し、通気性を確保します。これらは肥料効果は低いですが、土のベースを作るために不可欠です。動物性堆肥(牛ふん、鶏ふん、豚ぷん)。「土壌の化学性改善・肥料効果」も期待できます。牛ふん堆肥:繊維質が多く、肥料成分は緩やか。土壌改良効果と肥料効果のバランスが良い万能選手。鶏ふん堆肥:肥料成分(特に窒素・リン酸・カルシウム)が非常に高い。土壌改良というよりは「有機肥料」としての側面が強い。入れすぎると肥料焼けを起こす。豚ぷん堆肥:牛ふんと鶏ふんの中間的な性質。土壌改良資材(堆肥や石灰など)の種類と選び方 - やまむファーム各種堆肥(バーク、牛ふん、鶏ふんなど)や石灰資材の特徴が一覧で整理されており、目的に合わせた資材選びの決定版として活用できます。投入時期の鉄則は、作付けの2週間〜1ヶ月前に行うことです。特に未熟な堆肥を使用した場合、土の中で分解が進む過程でガスが発生したり、微生物が土中の窒素を急速に消費して作物が利用できる窒素が不足する「窒素飢餓」が発生したりします。完熟堆肥であっても、土と馴染んで微生物相が安定するまでには最低でも2週間が必要です。冬場の寒起こし(土を掘り返して寒風に晒す作業)と同時に堆肥を梳き込んでおくのが、春作に向けた最も効率的なスケジュールです。pH調整と石灰資材の使い分け日本の土壌は雨によってカルシウムやマグネシウムが流出しやすく、自然状態では酸性に傾く傾向があります。多くの野菜(トマト、キュウリ、ナスなど)はpH6.0〜6.5の弱酸性を好むため、酸性土壌を中和する作業が不可欠です。ここで使用するのが石灰(カルシウム)資材ですが、その反応速度と強さを理解して使い分ける必要があります。消石灰(水酸化カルシウム)。アルカリ分が非常に強く、速効性があります。強い酸性土壌を急いで矯正したい場合に有効ですが、使いすぎると土が硬くなる弊害があります。また、散布直後はアンモニアガスが発生しやすいため、肥料と同時に施用するのは避けるべきです。苦土石灰(炭酸カルシウムマグネシウム)。園芸で最も一般的に使われます。カルシウムだけでなく、光合成に必要なマグネシウム(苦土)も含んでいます。作用が比較的穏やかで、扱いやすい資材です。有機石灰(カキ殻、卵殻など)。効き目は非常にゆっくりですが、微量要素を豊富に含み、入れすぎによる弊害(アルカリ障害)がほとんど起きません。土壌中の微生物によって分解されながら効くため、作物の生育中に追肥として使用することも可能です。石灰肥料の種類と特徴 - モノタロウpH調整のメカニズムから、消石灰・苦土石灰・有機石灰の反応速度の違いまでが詳細に解説されており、失敗しないpH調整のために必読です。pH調整を行う際は、必ずpH測定キットや測定液で現状を数値化してから投入量を決定してください。「なんとなく白くなるまで撒く」といったアバウトな施用は、アルカリ過多による微量要素欠乏(マンガン欠乏など)を引き起こし、酸性土壌よりも回復が難しい深刻な生育障害を招く恐れがあります。また、石灰と窒素肥料を同時に撒くと化学反応でアンモニアガスが発生し肥料分が消失するため、石灰を撒いてから1週間あけて肥料を撒くという手順を守ることが重要です。微生物を活性化させる土づくりのコツ物理性(団粒構造)、化学性(pH・養分)が整ったら、最後に重要になるのが「生物性」の改善です。健全な土壌1グラム中には、数億から数十億もの微生物が存在すると言われています。これら微生物の多様性を高めることこそが、病害虫に強く、連作障害の起きにくい土作りの仕上げとなります。微生物を活性化させるためのキーワードは「エサ」と「住処」です。前述した堆肥などの有機物は微生物の「エサ」になります。さらに、微生物資材や発酵促進剤(米ぬか、糖蜜、市販の有用微生物群など)を併用することで、分解のスピードを早め、有用菌の密度を一気に高めることができます。例えば、「米ぬか」は安価で手に入りやすい優れた微生物活性材です。米ぬかに含まれる糖分やタンパク質は、乳酸菌や酵母菌の爆発的な増殖を助けます。C/N比(炭素率)の管理。微生物が有機物を分解する際、炭素をエネルギー源、窒素を体を作る材料として利用します。C/N比が高い(炭素が多い)資材ばかり入れると分解が遅れ、低い(窒素が多い)資材ばかりだと分解は早いものの腐植が残りません。バーク堆肥(高C/N比)と鶏ふんや米ぬか(低C/N比)をバランスよく混ぜることで、微生物が最も活動しやすい環境が整います。太陽熱消毒との組み合わせ。夏場に透明マルチを張って地温を上げ、病原菌やセンチュウを死滅させる「太陽熱消毒」を行う際、米ぬかや大量の有機物を投入してから水を含ませて密封すると、急激な発酵熱と還元作用により消毒効果が劇的に向上します。これは土壌改良と病害防除を同時に行う、プロ農家の高等テクニックの一つです。土壌改良材の役割から選び方まで紹介! | 産直プライム.labブログ土壌改良材ごとの微生物への影響や、保水性・排水性の改善効果が目的別に整理されており、微生物相を豊かにするための資材選定に役立ちます。最終的に目指すべきは、特定の菌だけが優占するのではなく、多種多様な菌が拮抗し合うバランスの取れた土壌です。この状態になると、特定の病原菌だけが増殖することが難しくなり、結果として作物が病気にかかりにくくなります。「土作り」とは、作物を育てることではなく、作物を育ててくれる「土壌生態系」を育てることなのです。だれにもできる土壌診断の読み方と肥料計算
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    単粒構造団粒構造違いと土壌改善方法
    単粒構造と団粒構造の違い 土壌構造の2つのタイプ 🔸 単粒構造 土の粒子がバラバラに存在し、粒子間の隙間が均一で小さい状態 🔹 団粒構造 土の粒子が集まって団子状の塊を形成し、大小様々な隙間がある状態 🌱 農業への影響 団粒構造は通気性・保水性・排水性に優れ作物栽培に適している 単粒構造とは何か単粒構造とは、土壌粒子が結合や集合をせず、一つ一つがバラバラの状態で存在している土の構造を指します。代表的なものとして、砂質土壌や粘土質土壌の下層部などがあります。土壌粒子の粒径は、粘土(0.005mm以下)、シルト(0.074~0.005mm)、砂(2~0.074mm)、礫(2mm以上)という区分で分類されています。参考)https://www.takii.co.jp/tsk/saizensen_web/yuukisaibainosusume/vol02.html​単粒構造の土壌では、粒子間の隙間が均一で小さいため、水や空気の通りが悪くなります。特に粘土質の土壌では、濡れるとベタベタになり、乾燥するとカチカチに固まる性質があります。このため、植物の根が伸びにくく、酸素不足を起こしやすい環境となります。参考)団粒構造とは?土作りの方法や土壌環境への効果を解説! ​粘土質の土壌は粒子が細かいため空気を通しにくく、少量の雨でも過湿状態になりやすい特徴があります。また、単粒構造では表面に水たまりができやすく、一度水が浸透すると今度は排水性が悪くなり、根腐れの原因となります。このような条件では、根の呼吸に必要な酸素が不足し、作物の生育不良や収量低下につながります。参考)団粒構造とは ​団粒構造の特徴と仕組み団粒構造とは、土壌粒子が小粒の集合体を形成している構造のことです。個々の粒子(一次粒子)が集まって小さなグループ(二次粒子)を作り、さらにそのグループがより大きなグループ(三次粒子)を形成して並んでいる状態を指します。団粒の内部には小さな隙間(毛管孔隙)ができ、外部にはそれよりも大きな隙間(非毛管孔隙)ができるのが特徴です。参考)団粒構造とは? 植物が良く育つ土壌に必要な要素と土の作り方 …​団粒構造が形成される仕組みには、複数の要因が関与しています。土壌微生物が有機物を分解する際に出す分泌物や、ミミズの糞などに含まれる粘性物質が接着剤となって団粒構造が発達します。特に糸状菌(カビの仲間)の菌糸が団粒形成に大きく関わっていることが研究で明らかになっています。また、粘土鉱物や腐植物質も団粒形成に欠かせない要素です。参考)アグリシステム株式会社​発達した団粒構造は、雨などで濡れても壊れない耐水性を獲得しており、これには生きた植物の根によって団粒が固められることが重要と考えられています。団粒構造の土は柔らかくフカフカで、通気性・排水性・保水性のバランスが良く、野菜の栽培に適した環境となります。​単粒構造と団粒構造の保水性・透水性の違い単粒構造と団粒構造では、水の動きや保持の仕方に大きな違いがあります。団粒構造の土には大小様々な大きさの隙間があることが特徴で、大きな隙間は空気の通り道や余分な水を排出する役割を果たし、小さな隙間は水分を保持する役割を担います。このように、団粒構造は保水性と排水性という相反する二つの性質を同時に持っています。参考)団粒構造の土がよいと聞きましたが、どのような土ですか? - …​一方、単粒構造の土には小さな孔隙のみで大きな孔隙がほとんどなく、一定の土の体積に占める孔隙の割合も団粒構造に比べて少なめです。このため、空気を貯える孔隙が少なく、通気性が悪くなります。実験結果によると、単粒構造の土壌では表面に水たまりができやすく浸透しにくい一方、一度浸透すると水はけが悪く酸素も通りにくくなります。​団粒化構造による透水性と保水性の実験では、団粒化させることによって透水性が向上すると同時に、土が元々持っている保水性を維持または向上させることが確認されています。また、団粒構造の土壌では蒸発速度が抑制され、長期的に水分を保持する能力に優れていることも報告されています。雨天時には、単粒構造の土壌では目詰まりが発生し水溜まりが生じるのに対し、団粒構造の土壌では雨水を素早く吸収・浸透して保水します。参考)http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00063/2010/2010-03-0013.pdf​単粒構造が作物生育に与える問題点単粒構造の土壌は作物の生育に多くの問題を引き起こします。最も深刻な問題は根の酸素不足です。単粒構造では土が詰まっているため、根の呼吸に必要な酸素が十分に供給されず、根腐れや生理障害を引き起こします。酸素不足の状態では、植物の根は代謝に必要なエネルギーを作ることができず、土壌から養分や水分を吸収する機能が低下します。参考)「根の酸欠」が根張りのリスクに!酸素が失われやすいシーンと酸…​粘土質の単粒構造土壌では、水分管理の問題も深刻です。少量の雨でも過湿状態になりやすく、逆に乾燥すると土が硬く固まって根が伸びにくくなります。このような環境では、作物の根系が十分に発達できず、生育不良や収量低下につながります。また、土壌の通気性が悪いため、嫌気性微生物が増加し、硫化水素などの有毒ガスが発生することもあります。参考)https://www.yanmar.com/media/news/2021/06/30083614/soil_making_2106.pdf​さらに、単粒構造の土壌では土壌微生物の活性も低くなります。微生物の活動に必要な酸素が不足するため、有機物の分解や養分の無機化が進みにくく、作物が利用できる養分が不足しがちです。このような悪条件が重なることで、単粒構造の土壌は作物栽培には不向きな環境となります。管理が悪く単粒構造となっている畑では、雨水を十分に受け入れることができず、表面流出による土壌浸食も起こりやすくなります。参考)翔栄ファーム|コラム:土について考えてみる(後編)​団粒構造を発達させる有機物と微生物の役割団粒構造を発達させるための最も重要なパートナーは土壌微生物です。バクテリア、糸状菌(カビの仲間)、放線菌など、様々な微生物が土の中で活動し、それぞれが団粒形成に貢献しています。微生物は有機物を食べると糊のような粘着物を吐き出し、この粘着物が土の粒同士をくっつける役割を担います。特に糸状菌の菌糸が団粒形成に大きく関わっていることが、リン脂質脂肪酸組成の分析によって明らかになっています。参考)団粒構造の作り方完全ガイド:ふかふかの良い土を作る方法 - …​有機物の施用は団粒構造の発達に不可欠です。堆肥や腐植質などの有機物を土壌に添加することで、微生物の栄養源を提供し、団粒形成を促進します。実際に、有機物施用は土壌有機炭素、土壌微生物活性、作物収量を増加させ、土壌物理性を向上させることが長期試験で確認されています。堆肥は有機物なので土壌中の微生物に分解され、その過程で土の粒子がくっついて団粒化する働きをします。また、堆肥に含まれる繊維分が土の中に適度な隙間を作り出す効果もあります。参考)土壌有機物と農業生産との関係についての総説​土壌団粒化の適切な時期は、適度な温度と水分がある時期、つまり微生物の活性が高い時期です。「土壌団粒化=有機物+微生物」という方程式が成り立ち、適切な時期に有機物と微生物の条件がそろえば土壌は団粒化します。有機肥料と微生物肥料を組み合わせて使用することで、土壌の団粒構造をさらに改善できます。微生物の活動を活発にするためには、適切な水分管理も重要で、過度な乾燥や湿潤を避け、適度な水分状態を維持することが推奨されます。参考)微生物の土壌団粒化に、お父さんが驚いた! ​タキイ種苗の土づくり解説:単粒構造と団粒構造の基本的な違いについて施設園芸の団粒構造改善法:土作りの具体的な方法と効果についてヤンマー営農情報:有機物投入による団粒構造形成の詳細なメカニズム
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  • 保水性と土壌改良の決定版!団粒構造と資材の選び方
    保水性と土壌改良の決定版!団粒構造と資材の選び方 💧 団粒構造の重要性 保水性と排水性を両立させる土壌物理性のカギ 🍂 資材の使い分け バーミキュライトやピートモスなど特性に応じた選定 🍄 菌根菌とグロマリン 微生物の力で土壌粒子を接着し天然の保水力を生む 保水性と土壌改良の要点土壌改良の基本となる団粒構造と有機物の役割農業において最も基本的でありながら、最も奥深いテーマが土壌の物理性改善です。特に「保水性」と「排水性」という、一見矛盾する二つの要素を同時に満たすことが、作物の健全な育成には不可欠です。この矛盾を解決する魔法のような構造が「団粒構造」です。団粒構造とは、微細な土の粒子が有機物や微生物の働きによって結びつき、小さな団子状の塊(団粒)を形成している状態を指します 。参考)用語集 ​単粒構造の土壌(サラサラした砂のような土や、ガチガチに固まった粘土)では、土の粒子同士が密着しすぎて隙間がないか、あるいは隙間が大きすぎて水が素通りしてしまいます。一方で団粒構造が発達した土壌では、団粒の内部にある微細な孔隙(毛管孔隙)が水分をしっかりと保持し、団粒と団粒の間の大きな隙間(非毛管孔隙)が過剰な水を速やかに排水し、新鮮な空気(酸素)を根に供給します 。これにより、植物は乾燥ストレスから守られつつ、根腐れを起こすことなく呼吸ができるのです。​この団粒構造を形成するために欠かせないのが「有機物」です。腐葉土や堆肥、緑肥などの有機物は、それ自体がスポンジのように水を蓄える能力を持つだけでなく、土壌中の微生物のエサとなります 。微生物が有機物を分解する過程で放出する粘液物質や、菌糸そのものが接着剤の役割を果たし、土の粒子をくっつけて団粒を作り出します。特に完熟した堆肥や腐葉土は、長期間にわたって土壌の物理性を維持する効果が高く、土作りのベースとして欠かせません。参考)How healthy soil helps save wa…​また、有機物の投入は「保肥力(CEC:陽イオン交換容量)」の向上にも寄与します。保水性が高い土壌は、水に溶けた肥料成分も一緒に保持できるため、降雨による肥料の流亡を防ぎ、肥料効率を高めることができます 。逆に、有機物が不足した土壌では、いくら高価な肥料を与えても、水と共に成分が地下へ流れ出てしまい、環境汚染の原因になるだけでなく、経営的なロスにもつながります。したがって、土壌改良における有機物の投入は、単に「土を柔らかくする」だけでなく、「水と肥料の銀行」を土の中に作る作業であると言えるでしょう。参考)農業用語集(土づくり・肥料) ​近年では、単に有機物を入れるだけでなく、その分解速度を考慮した投入も重要視されています。例えば、炭素率(C/N比)が高い未熟な有機物(生わらや多量のもみ殻など)を投入すると、微生物が分解のために土壌中の窒素を奪い、「窒素飢餓」を引き起こすリスクがあります 。保水性を高めるために有機物を投入する際は、完熟堆肥を使用するか、あるいは分解を促進するために石灰窒素などを併用するといった工夫が必要です。参考)米ぬかを土に混ぜてしまったときの対処法|失敗例と成功のコツを…​団粒構造の形成メカニズムについて、専門的な視点から解説されています。団粒構造と土壌物理性の詳細なメカニズム保水性を劇的に変えるバーミキュライトとパーライトの使い分け土壌改良資材としてホームセンターや農業資材店でよく目にする「バーミキュライト」と「パーライト」。どちらも軽量で保水性や排水性を改善する資材ですが、その特性と使い分けを正確に理解しているケースは意外と少ないものです。これらを適切に使い分けることで、狙った通りの土壌水分環境を作り出すことが可能になります。バーミキュライトは、ひる石(苦土蛭石)を高温で焼成し、アコーディオン状に膨張させたものです。この多層構造の層間に多量の水分と肥料成分を抱え込むことができるため、極めて高い「保水性」と「保肥力」を持ちます 。また、陽イオン交換容量(CEC)が高く、カリウムやアンモニウムなどの肥料成分を吸着・保持する能力に優れています。pHはほぼ中性です。特に、水切れが致命的となる育苗培土や、乾燥しやすい砂質土壌の改良に最適です。ただし、使いすぎると過湿になりやすいため、全体の10〜20%程度の配合が一般的です。参考)⑤基本用土のカスタマイズー土を最適化して植物の成長を促す方法…​一方、パーライトには大きく分けて2種類あり、ここがプロでも混同しやすいポイントです。「真珠岩パーライト」と「黒曜石パーライト」です 。参考)土壌改良資材の効果的な使い方!通気性や保水性を改善しよう ​特徴真珠岩パーライト黒曜石パーライト原料真珠岩(パールストーン)黒曜石(オブシディアン)構造内部まで多孔質表面に微細な穴、内部は空洞主な効果保水性の向上排水性・通気性の向上水持ち水を吸って保持する水を弾きやすく、通り道を作る用途乾燥しやすい土の改良粘土質で水はけの悪い土の改良「保水性」を高めたい場合に選ぶべきは真珠岩パーライトです。内部までスポンジのように水を吸い込む性質があるため、土壌の水分保持能力を底上げします。逆に、粘土質で水はけが悪く、根腐れが心配な場合に使うべきは黒曜石パーライトです。こちらは排水性と通気性を確保し、土壌中に酸素を供給する「通気口」のような役割を果たします。商品パッケージには単に「パーライト」としか書かれていないことも多いですが、原料名を確認するか、粒の様子(真珠岩は白っぽく崩れやすい、黒曜石は白〜灰色で硬いガラス質)を見て判断する必要があります。また、これらの鉱物系資材は有機物と異なり微生物による分解を受けないため、効果が長期間持続するというメリットがあります。腐葉土などの有機物は数年で分解されて土に還ってしまいますが、バーミキュライトやパーライトは土壌中に物理的な構造として残り続けます。そのため、一度しっかりと土作りを行えば、数年にわたって物理性の改善効果を享受できるのです。ただし、これら自体には肥料分は含まれていないため、必ず堆肥や肥料と組み合わせて使用することが基本です。園芸用土の特性と資材の選び方について、成分や効果の違いが詳しくまとめられています。バーミキュライトとパーライトの決定的な違いと使い分け乾燥ストレスから守るピートモスと最新ポリマーの力近年の猛暑や少雨による干ばつは、農業経営にとって深刻なリスクとなっています。作物が「乾燥ストレス」を受けると、気孔を閉じて光合成を停止してしまい、収量や品質が著しく低下します。このような極端な環境下でも安定した水分を供給するために、伝統的な資材であるピートモスに加え、最新のテクノロジーを活用した高吸水性ポリマーが注目されています。ピートモスは、寒冷地の湿原でミズゴケなどの植物が堆積し、泥炭化したものを乾燥・粉砕した資材です。自重の10倍〜20倍もの水を蓄えることができ、土壌をふかふかに柔らかくする効果があります 。有機酸を含むため酸性度が高い(pH3.5〜4.5程度)のが特徴で、ブルーベリーなど酸性土壌を好む作物には「無調整ピートモス」を、一般的な野菜には石灰等で中和された「pH調整済みピートモス」を使用します。ピートモスの優れた点は、一度乾燥してしまっても、水を含むと再び高い保水力を発揮する「復元力」にありますが、完全に乾燥させると撥水性(水を弾く性質)を持ってしまうことがあるため、使用前の水馴染ませや、定期的な灌水管理が重要です 。参考)土壌改良とは?作物をうまく育てる方法は?土壌改良材を用途別に…​そして今、世界的に注目されているのが高吸水性ポリマー(SAP:Superabsorbent Polymer)の農業利用です 。おむつなどに使われる技術を応用したもので、自重の数百倍から数千倍もの水を吸収してゲル状になり、土壌が乾燥してくるとゆっくりと水を放出します。これにより、灌水回数を大幅に減らし、植物の乾燥枯死を防ぐことができます。参考)https://www.mdpi.com/2073-4360/15/1/161/pdf?version=1672314786​特に環境配慮型の農業において話題となっているのが、EFポリマーのような「天然由来」の吸水性ポリマーです。これはオレンジの皮など、果物の不可食部分(廃棄物)をアップサイクルして作られたもので、完全に生分解性があります 。従来の石油由来の合成ポリマーは土壌中に残留する懸念がありましたが、天然由来ポリマーは約1年ほどで土壌微生物によって完全に分解され、最終的には植物の栄養となります。参考)高温障害・乾燥から作物を守るには? 土壌の保水力・保肥力を向…​EFポリマーなどの最新資材は、単に水をためるだけでなく、吸水と放出を繰り返すことで土壌を物理的に動かし、隙間を作る効果も期待されています。これにより、疑似的に団粒構造の発達を促し、土壌の物理性を改善する副次的なメリットもあります。乾燥地帯や水利の悪い圃場、あるいは鉢植え栽培において、これらの「水を食べる」資材は、気候変動時代の強力な武器となるでしょう。乾燥対策としての最新資材EFポリマーの特性と、土壌改良への効果が解説されています。天然由来の超吸水性ポリマーが農業を変える排水性と通気性のバランスを整える砂質土と粘土質土の対策「保水性」を高めたいからといって、どんな土壌にも同じ対策を行えば良いわけではありません。元の土壌が「砂質土(砂壌土)」なのか「粘土質土(埴壌土)」なのかによって、アプローチは真逆になることすらあります。土壌改良の失敗例としてよくあるのが、粘土質の土に水はけを良くしようとして「砂」を混ぜてしまい、逆にセメントのように固く締まってしまうケースです 。参考)困った!土壌がカチカチに|粘土質土壌の改良方法 | コラム …​砂質土(水はけが良すぎる土)の改良砂質土は、粒子が粗く隙間が大きいため、水がすぐに抜けてしまい肥料分も保持できません。夏場は地温が上がりやすく、乾燥害が出やすい土壌です。対策: 保水力のある微細な孔隙を増やす必要があります。推奨資材: 粘土鉱物であるベントナイトやゼオライト、そして繊維質の多いバーク堆肥やピートモスが効果的です 。ベントナイトはモンモリロナイトを主成分とする粘土で、水分を含むと膨潤し、砂の粒子間の隙間を埋めて水の通りをゆっくりにします。参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7589466/​ポイント: 有機物を多めに投入し、腐植を増やすことで、砂の粒子同士をつなぎ止め、団粒化を促進させることが重要です。粘土質土(水はけが悪く固まりやすい土)の改良粘土質土は、粒子が極めて細かく、保水力は高いものの、一度乾くとカチカチに固まり、濡れるとドロドロになります。酸素不足による根腐れが最大の問題です。対策: ギチギチに詰まった粒子間に「空気の通り道」を確保し、余分な水を排出する構造を作る必要があります。推奨資材: 腐葉土、もみ殻くん炭、黒曜石パーライト、バーク堆肥などの「繊維質」や「多孔質」で形が崩れにくい資材を投入します 。参考)土壌改良をして水はけの優れた環境を作るには? | コラム |…​ポイント: 「物理的に隙間を開ける」という意識が大切です。もみ殻や木質チップなどの粗大有機物は、土の中で分解されるまでの間、物理的な支えとなって土が密着するのを防ぎます。また、有機物の分解過程で生成される団粒構造が、粘土の緻密な構造をほぐしてくれます。どちらの土壌タイプにおいても、共通して有効なのが「炭(バイオ炭・くん炭)」の利用です 。炭は多孔質構造を持っており、その無数の穴に微生物が住み着きます。この微生物の働きが団粒化を促進し、砂質土には保水性を、粘土質土には排水性と通気性を与えるという、バッファー(緩衝)の役割を果たします。土壌診断を行い、自分の畑の土性(サンド・シル・クレイの比率)を把握した上で、「足りない機能」を補う資材を選定することが、プロの土壌改良です。参考)https://www.jst.go.jp/global/kadai/pdf/h2303_final.pdf​粘土質土壌の物理性改善に向けた具体的な資材選びと、失敗しないための注意点が記載されています。カチカチの粘土質土壌を改良する具体的なテクニック菌根菌とグロマリンが作る驚異の天然保水タンクここまでは「資材」による物理的な改良を中心にお話ししましたが、実は土壌中には、植物自身と微生物が協力して作り出す「天然の最高級土壌改良材」が存在します。それが、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)と、その分泌物である「グロマリン(Glomalin)」です。これは、検索上位の一般的なまとめ記事ではあまり触れられない、しかし土壌科学の分野では近年非常に注目されている「独自視点」かつ「核心的」なトピックです 。参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12029919/​菌根菌とは、植物の根に共生し、リン酸や水分を植物に供給する代わりに、光合成産物をもらうカビの一種です。この菌根菌の菌糸は、植物の根が届かない微細な土の隙間まで入り込み、水分を集めてきます。これだけでも保水性の向上に寄与しますが、真に驚くべきは、この菌根菌が死滅したり代謝したりする過程で土壌中に放出するタンパク質、「グロマリン」の働きです 。参考)https://www.mdpi.com/2571-8789/5/1/4/pdf​グロマリンは「土壌のスーパーグルー(強力接着剤)」とも呼ばれ、極めて強力な粘着性を持ちます。この物質が土壌粒子をコーティングし、強固に結びつけることで、水に濡れても壊れにくい「耐水性団粒」を形成します。通常の腐植による団粒はある程度の期間で分解されますが、グロマリンは非常に難分解性であり、長期間(数十年単位とも言われます)にわたって土壌中に留まり、団粒構造を維持し続けます 。参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10180894/​グロマリンの効果:耐水性団粒の形成: 雨が降っても土が泥状に崩れず、隙間が維持されるため、高い通気性と排水性が保たれます。保水性の向上: 団粒内部の微細な孔隙が増えることで、有効水分保持量が飛躍的に増大します。炭素の貯留: グロマリン自体が炭素の塊であり、土壌を肥沃にします。では、どうすればこの菌根菌とグロマリンを増やせるのでしょうか?答えは、「不耕起栽培(または最小限の耕起)」と「カバークロップ(被覆作物)」の導入です 。菌根菌のネットワーク(菌糸網)は、激しい耕起によってズタズタに切断されてしまいます。過度なロータリー耕うんを控え、麦類やマメ科などの菌根菌と共生しやすい作物を栽培することで、土中の菌糸ネットワークが発達し、グロマリンが蓄積されていきます。​「資材を買ってきて混ぜる」だけでなく、「土の中の住人に働いてもらう」という視点を持つこと。これこそが、コストを抑えながら持続的に保水性と土壌環境を改善する、究極の農業技術と言えるでしょう。菌根菌が生成するグロマリンが土壌団粒化に与える影響についての専門的な研究報告です。菌根菌とグロマリンによる土壌団粒構造の形成メカニズムリサール酵産 超カルスNC-R 500g|土壌改良資材
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  • 粗孔隙と団粒構造が鍵!排水性と土壌物理性を改善し根腐れを防ぐ方法
    粗孔隙と排水性・団粒構造のポイント 💧 重力水の「排水路」 粗孔隙は重力に従って水を排出し、その負圧で新鮮な酸素を土中に引き込むポンプの役割を果たします。 🧱 団粒構造の「外側」 団粒内部の微細孔隙が水を保持するのに対し、団粒同士の隙間である粗孔隙は通気性を担保します。 ⚠️ 物理性の「目詰まり」 単粒化した土壌では、降雨時に微細粒子が移動して粗孔隙を埋める「サフィージョン」が発生しやすくなります。 粗孔隙排水性を決定づける重力排水とガス交換のメカニズム農業現場において「水はけが良い」という状態は感覚的に語られがちですが、土壌物理学の視点では、これを明確に「粗孔隙(そこうげき)」の量と機能で説明することができます 。粗孔隙とは、土壌中の隙間(孔隙)のうち、比較的直径が大きなもの(一般的に直径0.1mm以上、あるいはpF値1.5〜1.8以下で水分を保持できない隙間)を指します 。このサイズの孔隙に入った水は、土の吸着力(毛管力)よりも重力の影響を強く受けるため、降雨後速やかに下層へと排除されます 。参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/ntuti4.pdf​重要なのは、この水が抜けるプロセスそのものが、作物の根にとって極めて重要な「ガス交換」の機能を果たしているという点です。水が重力によって粗孔隙から抜け落ちる際、その体積分の空間が真空になるわけではなく、大気圧によって地上の新鮮な空気が土中深くまで引き込まれます 。つまり、粗孔隙は単なる排水ドレンではなく、土壌呼吸を促進するための「呼吸器」としての役割を担っています。参考)団粒構造とは? 植物が良く育つ土壌に必要な要素と土の作り方 …​逆に、この粗孔隙が不足し、毛管孔隙(微細孔隙)ばかりが卓越する土壌では、水がいつまでも土壌粒子間に保持され続けます 。これが「保水性が高すぎる」状態であり、気相(空気の通り道)が閉塞されることで根は酸素欠乏に陥り、根腐れや生育不良を引き起こす直接的な原因となります 。特に酸素要求量の高い野菜や花き類においては、単に土を耕して柔らかくするだけでなく、この「水が抜け、空気が入る」サイクルを物理的に保証する粗孔隙の確保が、収量と品質を決定づける最重要因子となります 。​また、粗孔隙の存在は、土壌の熱伝導や地温の上昇にも寄与します。水分は空気よりも比熱が大きいため、過剰な水分を含んだ土壌は地温が上がりにくい傾向にあります。粗孔隙が十分に確保され、適度な排水が行われる土壌は、春先の地温上昇がスムーズであり、初期生育の促進にも繋がります。排水性は単に水を捨てる能力ではなく、根圏環境の酸素濃度と温度環境を最適化するための総合的な物理機能であると再定義する必要があります。団粒構造が形成する「二重の孔隙」と理想的なバランス理想的な土壌構造として頻繁に語られる「団粒構造」ですが、その本質的な価値は、異なるサイズの孔隙を同時に存在させることができる点にあります 。団粒構造とは、土壌粒子が有機物や微生物の働きによって集合し、小さな塊(団粒)を形成している状態です。この構造において、粗孔隙は「団粒と団粒の間」に形成される大きな隙間として存在します 。参考)https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F8387909amp;contentNo=8​一方、団粒の「内部」には、微細な毛管孔隙(ミクロポア)が無数に存在しており、ここでは強い毛管力によって水分が保持されます 。つまり、団粒構造が発達した土壌では、団粒間の粗孔隙が「排水と通気」を担い、団粒内部の微細孔隙が「保水」を担うという、相反する機能を両立させることが可能になるのです 。これを単粒構造(粒子がバラバラの状態)の土壌と比較すると、単粒構造では隙間のサイズが均一になりやすく、排水性が良ければ保水性が悪く、保水性が良ければ排水性が悪いというトレードオフが発生しがちです 。参考)農業技術事典NAROPEDIA​農業生産において目指すべき数値目標として、土壌の全孔隙率は55%〜70%程度が望ましいとされていますが、その内訳として粗孔隙率(気相率)はpF1.5において10%以上、理想的には20〜25%程度確保されていることが推奨されます 。特に果樹園や深根性の作物においては、表層だけでなく深層土壌(主要根群域)においても10%以上の粗孔隙を維持することが、健全な樹勢維持に不可欠です 。参考)2−2.普通畑の土壌改良目標値 : こう…​しかし、過度な耕うんや重機による踏圧は、この精緻な団粒構造を破壊し、粗孔隙を圧壊させてしまいます 。一度破壊された団粒構造が自然回復するには長い時間を要するため、トラクターの走行回数を減らす、適期に作業を行うなどの配慮が必要です。また、粗孔隙が多すぎても(例えば砂質土壌のように)、保水力が低下し干ばつの影響を受けやすくなるため、粘土鉱物や腐植による団粒化促進を通じて、孔隙径の分布(ポアサイズ・ディストリビューション)を最適化することが土づくりの核心となります 。参考)https://www.mdpi.com/2073-4395/14/6/1339/pdf?version=1718899869​根腐れリスクを可視化する現場での土壌物理性診断法粗孔隙の状態を目視で直接確認することは困難ですが、いくつかの現場的な兆候や簡易的な診断によって、その不足や根腐れリスクを察知することは可能です。最も分かりやすい兆候は、降雨後や灌水後の水引きの遅さですが、より注意深く観察すべきは「地表面の変化」です。降雨後に地表面がのっぺりと平滑になり、乾燥するとカチカチに固まる(クラスト形成)現象が見られる場合、それは表層の団粒構造が崩壊し、粗孔隙が消失している危険なサインです 。​より定量的な診断として、簡易的な「透水試験」を圃場で行うことが推奨されます。底を抜いた缶などを土壌に一定の深さまで差し込み、水を満たしてその減水時間を計測する方法です。もし水がなかなか減らない場合、作土層あるいはその下の耕盤層において粗孔隙が著しく不足している可能性があります。また、作物の根系観察も有力な診断材料です。直根が横に曲がっている、あるいは根が特定の深さで止まり横に広がっている場合、その深さに緻密な層(ハードパン)が存在し、縦方向の粗孔隙が遮断されていることを示唆しています 。参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10415892/​土壌の「三相分布(固相・液相・気相)」を意識することも重要です。一般的に理想とされる比率は、固相40%・液相30%・気相30%と言われています 。気相が極端に少ない土壌は、まさに粗孔隙が不足している状態です。手で土を握った際の感触でも簡易判断が可能です。適度な粗孔隙を持つ団粒構造の土は、強く握っても固まりきらず、指で押すとほろりと崩れる「膨軟性」を持っています。逆に、粘土細工のように固まってしまう土は、微細孔隙が優勢で粗孔隙が不足しており、根腐れリスクが高い土壌と言えます。参考)アグリシステム株式会社​さらに、土壌の色も参考になります。常に過湿で酸素不足の状態(還元状態)にある土壌は、鉄分が還元されて青灰色(グライ化)を呈することがあります。作土層の下層にこのような色が見られる場合、粗孔隙を通じた縦方向の排水と通気が完全に阻害されており、暗渠排水の施工やサブソイラによる破砕など、物理的な改善措置が急務となります 。​参考リンク:高知県庁農業振興部 - 普通畑の土壌改良目標値と物理性の診断基準についての詳細データ上記のリンク先には、作土の厚さや孔隙率の具体的な数値目標が記載されており、自圃場の土壌診断を行う際の基準値として非常に有用です。土壌物理性の盲点?微細粒子移動による「サフィージョン」現象粗孔隙の確保において、多くの農業従事者が見落としがちなのが、物理的な圧密(踏圧)以外の要因による孔隙の閉塞です。その一つが、土木工学や土壌物理学で「サフィージョン(Suffusion)」あるいは内部侵食と呼ばれる現象です 。これは、土壌中の微細な粒子が水の流れに乗って移動し、粗孔隙の「喉元」に詰まってしまう現象を指します。参考)https://www.mdpi.com/2673-7094/4/1/18/pdf?version=1711016050​耕うん直後は土がフカフカになり、一見すると粗孔隙が十分に確保されたように見えます。しかし、団粒化が進んでいない単粒構造の土壌や、有機物が不足して構造的安定性が低い土壌では、降雨による浸透水が発生した瞬間に、土壌粒子(シルトや粘土)が分散し、水とともに粗孔隙の中を移動し始めます 。これら微細粒子が、より下層の粗孔隙の狭くなった部分に集積して目詰まりを起こすと、表面上は耕されているにもかかわらず、内部で排水不良が発生するという不可解な現象が起きます。​この「内部からの目詰まり」は、単に土を物理的に破砕するだけでは解決しません。むしろ、過度なロータリー耕は土壌粒子を細かくしすぎ、サフィージョンを助長するリスクすらあります 。ロータリーの爪による練り込みが、土壌孔隙の連続性を断ち切り、形成された微細粒子が降雨のたびに粗孔隙を埋めていく悪循環に陥るのです。​これを防ぐためには、土壌粒子の「耐水性団粒化」が不可欠です。水に濡れても崩れない強い団粒を作ることで、微細粒子の遊離・移動を防ぎ、粗孔隙の構造を維持することができます 。また、異なる粒径の土壌粒子が混在する「ギャップグレード(粒度分布の欠損)」な土壌でサフィージョンが起きやすいという研究もあり 、客土や土壌改良資材を投入する際には、単一の資材だけでなく、粒径のバランスを考慮することも、長期的な物理性維持の観点からは重要で意外な視点と言えます。参考)https://js-soilphysics.com/downloads/pdf000/051000.pdf​有機物と生物性を活用した「持続可能な孔隙」の形成術機械的な耕うんによって作られた粗孔隙は、降雨や自重によって比較的短期間で再圧密され、消失しやすいという弱点があります。これに対し、植物の根や土壌動物によって形成された「生物的粗孔隙(バイオポア)」は、内壁が有機物でコーティングされていたり、圧密に対する抵抗力が高かったりと、機能の持続性に優れています 。したがって、持続可能な排水性を確保するためには、機械耕と生物耕を組み合わせたアプローチが必須となります。参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9491155/​具体的には、緑肥作物の導入が極めて有効です。特にイネ科の緑肥(エンバクやソルゴーなど)は、強力なひげ根を大量に発生させ、土壌を細かく団粒化させるとともに、腐朽した後に無数の微細な通気孔を残します 。一方、マメ科の緑肥(クロタラリアなど)や直根性の作物(大根など)は、硬盤層を突き抜ける縦方向の太い粗孔隙(縦孔)を形成し、排水の「幹線道路」を作ります 。これら特性の異なる緑肥を輪作体系に組み込むことで、土壌中に多様なサイズの孔隙ネットワークを構築できます。参考)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdfdirect/10.1111/pce.14213​また、有機物の投入は、単なる肥料分としてだけでなく、粗孔隙を維持する「接着剤」の補給という意味で重要です。堆肥に含まれる腐植酸や、土壌中の糸状菌(カビの仲間)が産生するグロマリンというタンパク質は、土粒子同士を強力に結びつけ、耐水性団粒を形成します 。特に、木質系の粗大有機物(バーク堆肥や剪定枝チップなど)の投入は、それ自体が物理的なスペーサーとして機能し、即効的な粗孔隙の確保に役立つと同時に、分解過程で微生物の住処となり、長期的な団粒形成を促進します 。参考)https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/nourin/noen/files/kaitei_gijyutumanyuaru02.pdf​さらに、不耕起栽培や省耕起栽培(ミニマム・ティレッジ)も、粗孔隙維持の有力な選択肢です。前作の根穴やミミズのトンネルを破壊せずに次作に利用することで、形成に時間のかかる縦方向の連結した粗孔隙を有効活用できます 。ただし、これには地表面の被覆(マルチング)などによる土壌保護が前提となります。機械力で強引に隙間を作るのではなく、生物の活動や有機物の機能を最大限に引き出し、「壊れにくい隙間」を育てることが、プロの農家が目指すべき真の土づくりと言えるでしょう。参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4779449/​参考リンク:農林水産省 - 土壌の物理性改善と有機物施用の効果農林水産省による資料で、有機物の投入がどのように粗孔隙量を増加させ、排水性や通気性を改善するかについてのメカニズムと具体的な効果が解説されています。b21-ar INAX用 (リクシル) TOSTEM用 互換性あり バスタブ ポップアップ排水栓 密閉栓 パッキン 。浴槽のお湯がぬける。 プッシュワンウェイ排水栓 ゴム 。 B21-SVLAR2、B21-SVLAR2(W)などに対応。[ B21-AR ]
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