インスタ運用で「リテンション」という言葉が出たとき、まず押さえたいのは“リールの視聴維持”の指標だという点です。コムニコの解説では、リテンションは「スワイプせずにこのタイムスタンプでリール動画の視聴を続けた人の再生数の割合」とされています。つまり、動画の途中でどれだけ視聴者が残っているかを、時間に沿って可視化するデータです。参考:コムニコ「リテンションの定義と表示」https://www.comnico.jp/we-love-social/business-profile-instagram-insight-2
リテンションが重要になる背景は単純で、視聴が続く動画は「この動画は価値がある」と判断されやすく、次の表示機会(露出)に繋がる可能性が高いからです。リールのインサイトでは、リテンションが棒グラフで出るため、どの秒数で落ちるかが一目で分かります。農業従事者向けの発信でいえば、播種(はしゅ)や定植、誘引、収穫など、工程の途中で“説明が長い”“画が単調”になると落ちやすいので、そこが改善ポイントになります。
また、同じインサイト画面には「スキップ率」も並ぶため、冒頭3秒の作りが弱いと最初に飛ばされることも把握できます。冒頭で「今日の結論(例:病害虫の初期症状の見分け方)」を提示し、そのあとで現場映像とテロップで根拠を見せると、リテンションの最初の谷が浅くなりやすいです。特にリールは“最初の数秒で価値が伝わるか”が勝負なので、農作業の全体説明から入るより、問題→解決→手順の順で組むと改善しやすいです。
リテンションを改善するには、感覚ではなくインサイトで「どこで落ちたか」を見て、動画の構造を直すのが近道です。インサイトはプロアカウントで使える公式の無料分析機能で、投稿の成果やフォロワーの行動を“数字で見える化”できます。特にリールのインサイトでは、閲覧数、リーチ、インタラクションに加えて「リテンション」が確認できます。
実務での見方は、まず“落ち方”をパターンに分けるのがコツです。例えば、開始直後に急落するなら「タイトル(冒頭)」、10〜15秒付近で落ちるなら「説明が長い/同じ画が続く」、終盤で落ちるなら「結論が遅い/締めが弱い」など、原因の仮説が立ちます。農業ネタは専門性が高いぶん説明が増えがちなので、1本で全部教えようとせず「1リール1テーマ」で切ると、リテンションが安定しやすくなります。
意外と見落とされがちなのは、インサイトの“保存期間”の制限です。コムニコの解説では、リテンション率のデータは「リール動画がシェアされてから90日間のみ利用できる」とされています。つまり、あとでまとめて分析しようと思うと消える可能性があるため、農繁期・閑散期の比較をしたい場合は、定期的にスクショやメモで残しておく運用が現実的です。
「リテンション=リールの視聴維持」と並んで、静止画やカルーセルで重要になりやすいのが保存率です。Strategy Codeの解説では、保存率は「保存数÷リーチ数×100」で計算し、保存数は投稿がリーチしたユーザーに保存された数、保存率はその割合だと整理されています。農業アカウントの投稿(作業チェックリスト、病気の症状一覧、肥料設計の目安表など)は保存されやすく、保存率が伸びる設計と相性が良いです。参考:保存率の定義と計算式https://strategy-code.com/marketing-colum/sns/instagram/save-rate/
保存が重要とされる理由について、同記事は「保存すると後で再度投稿を見返すため、滞在時間が見込める」「保存率の高い投稿を優先的に表示する」と説明しています。もちろんアルゴリズムはブラックボックスですが、少なくとも“保存が価値の合図になりやすい”という実務的な見立ては持っておくと、投稿設計がブレにくいです。リールが伸びなくても、保存率が高い投稿があるとプロフィール回遊や指名検索に効くことが多く、直売・観光農園・求人など目的がはっきりしたアカウントほど効きます。
保存率の目安も一応示されており、Strategy Codeではホーム率(文脈上、保存率の目安としての表)が「1%未満〜3%以上」で水準を区切って紹介しています。大事なのは平均との比較より、自分のアカウント内で「保存率が高い投稿の型」を特定し、同じ構造で別テーマに展開することです。例えば「病害虫→初期症状→対策→注意点→保存促し」の5枚カルーセルは“保存される理由”が明確なので、作物別に量産できます。
■農業アカウントで保存されやすい投稿例(そのまま企画に使えます)
改善は“撮り直し”より“編集と設計”で効くことが多いです。リテンションを上げる基本は、離脱が起きる直前に「次に知りたい情報」を先出しすることです。例えば「このあと、失敗しやすいポイントを1つだけ言います」と予告してから核心を出すと、視聴者が離れにくくなります。リールのリテンションが「どのタイムスタンプで視聴が続いたか」の割合として出る以上、秒単位で“山場”を配置する発想が有効です。
農業コンテンツで強いのは、現場映像の説得力と再現性です。ただ、現場映像は情報量が多い反面、何を見ればいいか分かりにくくて離脱が起きることがあります。そこで、冒頭で「見るべき場所(葉の裏、茎の付け根、土の表面など)」を指定し、同じ構図で寄り→引き→比較の順に見せると、理解が進んでリテンションが安定しやすいです。
さらに、保存率と組み合わせると改善が加速します。リールで「問題提起→現場→結論」まで見せ、同じテーマのカルーセルで「手順・チェック項目」をまとめて保存を取りに行くと、視聴維持と保存の両面で“強い投稿群”が作れます。インサイトでは投稿タイプごとに数字の見どころが変わるため、リールはリテンション、フィードは保存率というように、KPIを混ぜない運用がミスを減らします。
■現場で効きやすい改善チェック(独自視点:農業の季節性をKPIに反映)
最後に、混乱しやすい用語を最低限そろえます。インサイト上の「リーチ」は、投稿が“何人に届いたか”の人数指標で、同じ人が何回見ても基本は1としてカウントされる考え方です。コムニコの記事でも、リーチは到達人数、インプレッションは表示回数として整理され、通常はインプレッション>リーチになりやすいと説明されています。用語の前提がズレると保存率(保存数÷リーチ数)の解釈もズレるので、ここはチームで統一しておくと安全です。
また、インタラクション(エンゲージメント)は、いいね・保存・コメント・シェアなどの合計的なアクションとして扱われます。農業発信は「いいねは付くが保存されない」ケースが起きやすく、これは“共感はあるが実用情報として弱い”サインになりがちです。逆に「保存が多いがいいねは少ない」なら、地味でも実務に刺さっている可能性が高いので、直売やリピートに繋がる投稿として育てる価値があります。
■最低限の用語整理(現場で使う順)