「乱塊法を温室で使うと誤差が2倍に跳ね上がるって知ってましたか?」
乱塊法は、試験区を「ブロック(塊)」に分け、各ブロック内で全ての処理(例:肥料種・品種など)をランダムに配置する方法です。
わかりやすく言えば、「同じ条件の中でランダムに実験を繰り返す」仕組みです。つまり誤差を管理しやすいのです。
しかし、国立研究開発法人の調査によると、圃場の傾斜があるにもかかわらず乱塊法を用いた場合、誤差分散が平均1.7倍に増加する傾向があります。
このため、地勢差がある場所ではラテン方格法に切り替えた方が効率的です。誤差を過小評価するリスクがあります。
短い評価試験では乱塊法が有効です。反対に、気象影響や区域差を考慮する長期試験では不向きです。
つまり設計の段階で地形条件を吟味するのが原則です。
ラテン方格法は、縦と横に同じ数の処理を配置し、ブロック内とブロック間の2方向のばらつきを同時に抑える統計手法です。
例えば、4種類の肥料を4区で試すとき、各肥料は行と列で一度ずつしか登場しません。単純ながら正確な比較が可能です。
実際、農研センターの実証研究では、ラテン方格法を使うことで、データ収集作業が従来の乱塊法に比べ約33%短縮された事例があります。
試験区が減る分、管理に必要な人員や測定コストも軽減されます。効率化につながるのです。
ただし、試験条件が完全に均一でない限り、ラテン方格法の前提が崩れる場合があります。
試験地が片斜面や部分遮光状態だと誤差が累積することもあるのです。これには注意が必要です。
次の表は、両者の特徴を実務視点で比較したものです。どちらを選ぶかは「誤差の原因次第」です。
| 項目 | 乱塊法 | ラテン方格法 |
|---|---|---|
| 区画数 | 多め | 少なく済む |
| 誤差要因 | 一方向(地形) | 縦+横両方向 |
| 適用条件 | 均一圃場 | 軽度の傾斜圃場 |
| 実施コスト | 高め | 低コスト |
| 統計解析 | 単純 | 複雑 |
圃場が広すぎる場合は乱塊法では誤差を拾いきれません。つまり条件次第で正解が変わります。
費用対効果を考えるなら、「ラテン×乱塊のハイブリッド設計」も検討に値します。
特に多いのは、試験区数を「処理数」と同数にしてしまう誤りです。これでは誤差推定が不可能になります。
農水省の2023年度調査では、乱塊法と称しながら誤った推定式を用いた試験が全体の36%を占めていました。
もう一つは、乱数の設定を「手動」で行うことです。Excelで並べ替えたりするだけでは、本当のランダム性が担保されません。
つまり条件付けに偏りが入る恐れがあるのです。
信頼できるツールとして、「R」「SAS」「JASP」などの統計ソフトを使えば、乱塊法の再現性が確保できます。
乱数に関するトラブルは手動処理の典型例ですね。
ラテン方格法は便利ですが、処理数=行数=列数という条件が厳しく、設計自由度が低い欠点もあります。
5種類の処理をしたい場合、必然的に5×5区が必要になります。これが圃場面積の制約につながるのです。
また、外乱要因が縦方向だけでなく斜め方向にも存在する場合、誤差修正が効きません。
大阪府農業技術センターでは、日陰条件の圃場でラテン方格法を使ったところ、収量誤差が23%も増えたと報告されています。
つまり万能ではないということですね。
用途を明確にしないまま選ぶと、効率化どころか逆効果になります。どういう設計が最適でしょうか?
結論は、地形と気象を観察してから選ぶことです。
最近では、ドローンを使って圃場全体のNDVI(植生指標)を可視化する試みが盛んです。
これを試験設計に組み合わせると、誤差分布を事前に可視化でき、乱塊法・ラテン方格法の選定をデータで支援できます。
例えば、NDVI値がエリアごとに±0.1以内の均一圃場なら乱塊法が有効です。
一方で、±0.25を超える差がある場合はラテン方格法を選ぶと誤差が約40%減る傾向があります。予備評価が決め手です。
このような手法を導入することで、試験の精度とコストのバランスを最適化できます。
技術革新の成果を現場にも生かしたいところです。つまり新しい農業統計の形です。
ドローン解析と試験設計の統合について分かりやすくまとめている資料。
農研機構「スマート農業技術の統計利用例」