ペフラゾエートは、主に「種子消毒(殺菌剤)」の文脈で扱われる有効成分で、製品によっては単剤(例:ペフラゾエート乳剤)としても、混合剤(例:銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤)としても登録されています。
現場で最も重要なのは「ペフラゾエートだから同じ」ではなく、登録番号ごとの適用表(作物名、病害名、希釈倍数、使用時期、回数、使用方法)を見て判断することです。
たとえば農林水産省の登録情報では、モミガードC水和剤(登録番号19737)は「稲」のばか苗病・いもち病・ごま葉枯病などに対して、浸種前に200倍で24時間種子浸漬、または種子消毒機での吹き付け処理(7.5倍・乾燥種籾1kg当り希釈液30ml)、あるいは湿粉衣(乾燥種籾重量の0.5%)といった使用方法が明示されています。
このように「いつ」「どの方法で」「どのくらい」処理するかが登録上の条件なので、JA指導資料や地域の慣行より先にラベル・登録情報を起点に組み立てるのが安全です。
参考:国の登録情報(適用表・希釈倍数・使用方法・回数)を確認する
https://pesticide.maff.go.jp/agricultural-chemicals/details/19737
ペフラゾエート系の種子消毒は、効果が出やすい一方で「工程管理」が甘いと効きムラが出やすく、薬液の作り方や処理条件を数字で管理するのがコツです。
モミガードC水和剤の例では、24時間種子浸漬(200倍)という“時間条件”が登録で決まっているため、短すぎると未処理部が残り、長すぎると種籾の状態によってはトラブル要因にもなり得ます。
また、吹き付け処理(種子消毒機)では「7.5倍」かつ「乾燥種籾1kg当り希釈液30ml」という“濃度×吐出量”の両方が条件で、濃度だけ合わせても吐出がズレると付着量が不足し、結果的に防除が不安定になります。
湿粉衣(乾燥種籾重量の0.5%)は手軽に見えて、混和の均一性が肝で、ダマや偏りがあると「効く籾・効かない籾」が同じトレーに混在するため、少量でも丁寧な攪拌が必要です。
ペフラゾエートはDMI剤(いわゆるEBI系に分類されることが多い)として紹介されることがあり、ばか苗病・いもち病・ごま葉枯病などへの効果を特徴として掲げる製品情報があります。
北興化学のヘルシード乳剤(ペフラゾエート15.0%)は、稲のばか苗病・いもち病・ごま葉枯病に効果が高いこと、さらにシクラメン炭疽病にも適用があることが製品特長として示されています。
同じペフラゾエートでも、混合剤ではフルジオキソニルや銅成分などと組み合わせる設計があり、「単剤の守備範囲を補う」「複数の病原に安定させる」といった発想で登録・適用が組まれているケースがあります。
現場の意思決定としては、①対象病害、②自家採種か購入種子か、③処理設備(浸漬槽・消毒機)、④他剤とのローテーション方針、の4点を固定してから、最終的に登録適用表に合う製品に落とすと失敗が減ります。
混合剤の代表例として、モミガードC水和剤は「塩基性塩化銅 7.6%・フルジオキソニル 2.0%・ペフラゾエート 12.0%」を有効成分として含むことが登録情報に記載されています。
このタイプは、種子に付着し得る複数の病害(ばか苗病、いもち病、ごま葉枯病、もみ枯細菌病、褐条病、苗立枯病など)を、浸種前の同一工程でまとめて対策する設計になっており、作業が集中する育苗期の省力化に向きます。
一方で混合剤は「各有効成分の総使用回数」も適用表に並記されるため、地域や経営体で同系統を別工程で使っている場合、トータル回数のカウントを間違えるとコンプライアンス違反になり得ます。
単剤・混合剤の選択は、単純な“効く/効かない”よりも、(1)自分の圃場・育苗環境で問題になりやすい病害、(2)工程数、(3)後段の防除体系との整合、の3点で決めると合理的です。
検索上位では「効く病害」「希釈倍率」中心になりがちですが、現場で差が出るのは“事故が起きたときに原因を切り分けられる設計”で、ペフラゾエートの種子消毒は記録の取り方が収量リスクを左右します。
具体的には、処理ロットごとに「乾燥種籾重量」「希釈倍率」「処理方法(浸漬/吹付/湿粉衣)」「処理時刻と終了時刻」「液温(可能なら)」「乾燥・陰干し条件」を最低限メモし、苗立ち不良や病徴が出た際に“農薬のせいか、工程のせいか、種子のせいか”を切り分けます。
ヘルシード乳剤のように危険物(第二石油類、火気厳禁)に該当する製品もあるため、保管・火気管理・換気などの「作業安全」も収益の一部として扱うと、繁忙期のヒヤリハットが減ります。
さらに、登録上の「本剤の使用回数」が1回に限定されるケースがあるため、追加で“念のため再処理”はできず、初回の均一処理こそが最大の保険になります。