「熱伝導率 一覧 金属」で調べる時に最初に押さえたいのは、室温付近での代表値(目安)です。AISTの分散型熱物性データベースでは、金属単体の室温付近の熱伝導率として、銀 429 W/mK、銅 386〜402 W/mK、金 318 W/mK、アルミニウム 226〜237 W/mK、鉄 72〜80.4 W/mK、チタン 21.9 W/mKなどが示され、文献や材料によって値が異なる点も明記されています。
この「値の揺れ」は、単なる誤差というより、純度、合金化、結晶の向き、加工履歴(冷間加工・熱処理)、さらには測定温度域の違いが効いているサインです。 農業設備の材料選定に落とし込むなら、一覧表の順位だけで決めず「この温度域・この薬剤環境で・この厚み」で何が起きるか、という設計条件の確認が重要になります。
代表的な金属の目安を、現場で使いやすい形にまとめます(室温付近の目安)。
| 金属 | 熱伝導率の目安(W/mK) | メモ |
|---|---|---|
| 銀 | 429 | 金属の中でも高い。 |
| 銅 | 386〜402(純銅は20℃で394) | 高いが材料条件で幅が出る。 |
| 金 | 318 | 高いが高価。 |
| アルミニウム | 226〜237 | 軽量で熱を広げやすい。 |
| 鉄 | 72〜80.4 | 一覧では中位、材質で幅。 |
| SUS304(参考) | 16.7 | ステンレス鋼の代表例。 |
注意点として、ステンレスのような「鋼種(SUS304など)」は単体金属ではなく合金なので、AISTの“金属単体一覧”とは別枠で見るのが安全です。
農業設備(温湯配管の熱交換、育苗の温度均一化、放熱板・ヒートシンク的な部材)では、まず銅とアルミニウムが比較対象になりやすいです。銅は、国内の業界団体である日本銅センターが純銅の物理的性質として、熱伝導率(20℃)394 W/(m・K)を示しており、熱を非常に通しやすい材料として位置づけられます。
一方でアルミニウムは、AISTの一覧で室温付近 226〜237 W/mKとされ、銅よりは下がるものの、十分に高熱伝導側です。 さらにアルミは軽く、面積を稼いで熱を広げる設計(薄板・フィン形状)と相性が良く、装置の取り回しや架台負荷の面で有利になりやすい、という現場メリットが出ます(ただし腐食環境は別途評価が必要です)。
「熱の伝わりやすさ」だけで言えば銅が強いですが、現場では次のような選び方が合理的です。
なお、銅センターの解説では、金属は自由電子の移動によって熱も電気も伝わるため、導電率と熱伝導率が同じ傾向を示す、という関係にも触れています。 温度センサー配線やアースなど電気面の扱いも絡む設備では、この性質が「副作用」になることもあるので、絶縁や接地設計も同時に見ておくと事故を避けやすくなります。
農業現場で「錆びにくさ」や洗浄性を優先してステンレスを選ぶ場面は多い一方、熱伝導率は銅・アルミよりかなり低くなりがちです。たとえばステンレス鋼の代表例としてSUS304の熱伝導率は 16.7 W/(m・K) というデータが公開されており、熱を広げる用途では不利になりやすいことが分かります。
鉄はAISTの一覧で 72〜80.4 W/mK とされ、ステンレスよりは熱を通しやすい一方、銅やアルミほどではありません。 つまり「熱をそこそこ伝えるが、腐食対策が必須になりやすい」というポジションになり、塗装・メッキ・ライニング・水質管理などの総合設計が効いてきます。
現場でのありがちなミスは、「ステンレス=万能」で加温・冷却の性能まで同じ感覚で設計してしまうことです。熱を伝えにくい材料を使うなら、その分だけ伝熱面積を増やす、板厚を下げる、フィンや流路を工夫するなど、熱設計で取り戻す発想が必要になります。
参考リンク(銅の代表値・比熱・線膨張など、設計で効く“物理的性質”がまとまっている):
日本銅センター:銅の物理的性質(熱伝導率 20℃で394など)
参考リンク(金属単体の熱伝導率を室温付近の目安で一覧でき、値が材料・文献で変動する注意書きもある):
AIST 分散型熱物性DB:金属の熱伝導率一覧(室温付近の目安)
検索上位の一覧表は便利ですが、意外と見落とされるのが「同じ金属名でも品質で熱伝導率が変わる」点です。AISTの一覧でも、アルミニウムは 226〜237 W/mK と幅が示され、鉄も 72〜80.4 W/mK と文献・材料でばらつく旨が書かれています。
さらに銅は、日本銅センターが純銅の熱伝導率(20℃)394 W/(m・K)を示しつつ、銅および銅合金はJISなどで規定されたそれぞれの性質になる、と注記しています。 つまり「銅」と一言で言っても、無酸素銅なのか、リン脱酸銅なのか、黄銅(真鍮)系なのかで熱の通り方は別物になり得ます。
農業設備でこの差が出やすいのは、次のような場面です。
「一覧の数値=現場の伝熱性能」ではない、という感覚を持っておくと、加温不足や結露、局所過熱(根域の温度ムラ)といったトラブルの再発防止につながります。
農業の加温・冷却は、燃料費や電力単価の影響を強く受けるため、「熱をどう伝えるか」を材料から詰める価値があります。銅のように熱伝導率が高い材料は、同じ温度差でも熱を移しやすく、設計次第で伝熱面積や立ち上がり時間の余裕を作れます。
一方で、ステンレスのように熱伝導率が低い材料(例:SUS304 16.7 W/(m・K))でも、耐食・洗浄性が必要なら採用し、面積・流速・攪拌・フィン化などで「熱交換の仕組み」を強化して帳尻を合わせるのが現実解です。 AISTの一覧が示す通り、材料の値には幅があるため、設計段階では安全率を見込み、可能なら小規模試験で確認すると堅いです。
最後に、農業従事者目線での実務チェック項目を置いておきます。