生分解性マルチの導入を促進するため、農林水産省や全国の自治体で補助金制度が整備されています。国の「生分解性マルチ導入促進事業」では、グリーンな栽培体系への転換を目指し、バイオマス由来を含む生分解性マルチの全国展開を加速化しています。
参考)令和5年度生分解性マルチ導入促進事業の公募について:農林水産…
補助率は自治体によって異なり、購入費用の2分の1以内が一般的です。例えば神奈川県愛川町では上限2万円、福知山市では上限5万円と設定されており、地域によって補助上限額に差があります。茨城県では1m当たり15円という定額補助を実施しており、計算しやすい制度設計となっています。
参考)生分解性マルチ購入費補助金/愛川町ホームページ
群馬県長野原町のように購入額の10分の3以内で上限70万円という高額補助を行う自治体もあり、大規模農業者にとって魅力的な制度です。ただし多くの自治体では予算の範囲内での補助となるため、早めの申請が推奨されます。
参考)環境保全型農業用資材普及促進事業補助金について
農林水産省|生分解性マルチ導入促進事業の公募情報
国の補助金制度の詳細や公募期間については、農林水産省の公式ページで最新情報を確認できます。
補助金の対象者は主に販売目的で農作物を栽培する農業者です。多くの自治体では以下の要件を設定しています。
参考)生分解性マルチ普及促進事業のご案内 大野市公式ウェブサイト
基本的な対象者要件
茨城県では認定農業者、認定新規就農者、市町村基本構想水準到達者、地域計画(人・農地プラン)に位置付けられた農業者、集落営農組織などが対象となっています。認定農業者の認定証の写しなど、支援対象農業者であることの証明が必要です。
参考)省力化・グリーン化同時実現型資材活用推進事業/茨城県
また、補助対象となる生分解性マルチは、原則として日本バイオプラスチック協会(JBPA)が認定する「グリーンプラマーク」を取得した製品に限定されています。自家消費など販売をしない場合は対象外となるため注意が必要です。
参考)福知山市環境にやさしい農業推進事業(生分解性マルチ補助)補助…
補助金申請の流れは、購入前の交付申請から始まります。大府市の例では、①交付申請・交付決定、②資材等の購入、③実績報告、④補助金の請求という4段階のプロセスとなっています。
参考)大府市みどりの食料システム戦略推進事業補助金について|大府市
交付申請時に必要な書類
申請書類の提出方法は、直接持参、郵送、ファックス、メールなど自治体によって異なります。前橋市では複数の提出方法を選択できる利便性の高い仕組みとなっています。
参考)https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/57/R7marutihojotirasi.pdf
申請期間については、多くの自治体で生分解性マルチを購入した日から1年以内としており、1会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)につき1回の申請が可能です。
愛川町|生分解性マルチ購入費補助金の詳細
申請書のダウンロードや具体的な手続き方法については、各自治体のウェブサイトで確認できます。
生分解性マルチ最大のメリットは、使用後のマルチを回収・洗浄・廃棄する必要がないことです。山梨県総合農業技術センターの実証試験では、作業後の片づけ作業時間を4.2時間/10a削減できたという具体的なデータが報告されています。
参考)生分解性マルチのメリット・デメリットは? いよいよ普及期に突…
コスト面では、生分解性マルチの価格はポリマルチの2~3倍程度ですが、回収作業や廃棄物処理費用が不要になります。栃木県の実証では、ポリマルチの片付費用として3,000円/10a、処分費用として1,459円/10aが試算されており、合計4,459円の削減効果があります。
参考)https://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/green/documents/20240610103424.pdf
ポリマルチと生分解マルチのコスト比較例
| 項目 | ポリマルチ | 生分解マルチ |
|---|---|---|
| 資材購入費 | 低い(基準) | 約3倍 |
| 回収作業費 | 3,000円/10a | 不要 ✓ |
| 処分費用 | 1,459円/10a | 不要 ✓ |
| 総合コスト | - | ポリマルチの約2倍 |
近年は人件費の高騰や産業廃棄物処分費用の上昇により、生分解性マルチとポリマルチのコスト差が縮小しています。補助金を活用することで、実質的な導入コストはさらに抑えられます。
参考)生分解性マルチとは?使用するメリットや使い方をメーカーに聞き…
生分解性マルチには使用上の注意点があります。分解速度は天候、土壌、地温、地域などの条件により異なるため、高温条件や多湿条件下では急激に分解が進み、マルチとしての機能を果たせなくなる場合があります。特に線虫駆除剤などの農薬は生分解性マルチの分解を促進させるため注意が必要です。
参考)生分解性マルチの効果的な使い方&注意点 - 農業メディア│T…
生分解マルチ使用時の主な注意点
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/green/attach/pdf/movies-17.pdf
参考)生分解性マルチフィルム
分解速度をコントロールする新技術として、農研機構を中心としたコンソーシアムが酵素散布による分解促進技術を開発しています。収穫後の生分解性マルチに酵素を散布することで、任意のタイミングで分解を加速させることが可能になります。この技術により、マルチ機能を保ちながら使用期間をコントロールし、作付け後は速やかに分解させるという理想的な運用が実現しつつあります。
アグリジャーナル|生分解性マルチのメリット・デメリット詳細解説
生分解性マルチの実用的な使い方や最新の分解促進技術については、こちらの記事で詳しく紹介されています。