ケリドニンは、ケシ科クサノオウ属のクサノオウ(Chelidonium majus)に含まれる代表的なアルカロイドとして知られています。
クサノオウは茎や葉を折ると黄橙色の乳液が出るのが特徴で、この乳液にアルカロイド群が含まれるため「毒草」としても認識されています。
農地の縁や道ばた、林縁などで見かけやすく、雑草として刈り払い対象になりやすい一方、薬草名(白屈菜)としての文献も多く、情報が混線しやすい植物です。
現場の同定で役立つ目安を、作業者向けに短くまとめます。
クサノオウにはケリドニンのほかにも多数のアルカロイドが含まれ、成分を「単体」で語るより「混合物」として捉えるほうが安全側です。
黄色い乳液は“いかにも効きそう”に見えますが、皮膚・粘膜への刺激や毒性リスクの入口にもなるため、素手での扱いは避けるのが実務的です。
さらに、クサノオウの薬効・伝承(例えば目に関する逸話など)も知られていますが、毒性を併せ持つ点が強調されており、民間療法の延長で扱うのは危険です。
農作業で起こりがちな「成分」に関する誤解を、事故予防の観点で整理します。
参考:有毒部位・有毒成分・誤食時の症状(全草・アルカロイド・胃腸粘膜のただれ等)の確認に有用
公益社団法人東京生薬協会:クサノオウ
クサノオウは有毒植物として整理されており、誤食で胃腸粘膜のただれや呼吸麻痺などを起こし得るため注意が必要だとされています。
また、改正食品衛生法(2020年6月施行)で「特別の注意を必要とする」指定成分の文脈で触れられており、健康食品・ハーブ用途へ安易に寄せない姿勢が重要です。
農業従事者にとっては、「自分が食べるかどうか」だけでなく、収穫物への混入、家畜の採食、乾燥残渣の取り扱いまで含めたリスク管理が要点になります。
現場での実装に落とすと、次のようなルールが実務的です。
クサノオウは路傍や林縁に多く、農地の法面・畦畔・農道沿いなど“作業動線のすぐ横”に出やすいため、接触機会が増えやすい植物です。
しかも、茎葉を傷つけた時に乳液が出るため、草刈機・刈払機で飛散しやすく、目や口の周りに付着しないよう保護具の優先度が上がります。
農作業の安全管理という意味では、毒性植物は「完全に根絶」よりも「触れない・混ぜない・持ち込まない」を徹底したほうがコスト対効果が高い場面もあります。
雑草としての実務対策(基本形)を、作業計画に落とせる形で示します。
クサノオウの種子には白色の仮種皮があり、蟻が巣穴に運ぶとされています。
この「蟻による運搬」は、農地周辺で同じ場所に毎年ぽつぽつ出る、あるいは畦畔の一部から面で広がる、といった不規則な出方の説明になり、草刈りだけでは分布が読みづらい要因になります。
独自視点として重要なのは、毒性植物の拡散が“風・水”だけでなく“小動物の行動”にも支えられる点で、畦畔の石積みや資材置き場など蟻が活動しやすい微環境が、結果的に発生拠点になり得ることです。
この視点を取り入れると、管理の打ち手が少し変わります。