鎌での草刈りは「振る」より「引いて切る」が基本です。草刈り作業の安全作業マニュアルでも、鎌で手刈りするときは「刈りたい草をつかみ、鎌を当てて引き切る」と明記され、振り回しは危険だと注意されています。
まず左手(利き手が右の場合)で草をつかみ、切りたい位置を固定します。次に鎌の刃を草の根元付近へ当て、手前へスッと引いて切り離します。強く叩き切ろうとすると刃が跳ねやすく、草が倒れて狙いも外れます。
草を「つかむ」動作は、実は効率に直結します。草を軽く引っ張ってテンションをかけると、刃が入りやすくなり、必要な力が減ります。手刈りの手順を「草を握る→引っ張る→鎌を添えて引く」と整理している解説もあり、順番を守るだけで切れ味が体感で変わります。
現場での小ワザとして、草を一気に全部刈り払うより「幅を決めて帯状に」進める方が事故が減ります。草の下に石や枝が隠れていることが多く、刃を当てる前に“見える範囲”を増やすほど安全になります。草刈機が入りにくい際(きわ)や障害物の近くは、草刈機で無理をせず手刈りに切り替える、という安全マニュアルの考え方も合理的です。
参考:鎌の手刈り「引き切り」や、振り回しNGの根拠(除草作業② 手刈り)
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/houkoku/2010_03/3_manual_mowing_a.pdf
鎌は、刃先が左側にくるように柄の下方を持つ、という基本が安全マニュアル系の資料で示されています。そのうえで、刃先を「右前方から左後方へ」動かすように腕全体で振る(動かす)と説明され、横方向に振らない点も重要とされています。
ここで言う“振る”は、むやみにブンブン振り回す意味ではありません。刃先の軌道を一定にして、切れる角度で「引き成分」を作る、という意味合いで理解すると事故が減ります。
姿勢は「腰を落としすぎない」「前屈しすぎない」がポイントです。草刈機向けの安全マニュアルではありますが、リラックスした姿勢で刃が地面から数センチの高さで平行になるよう調整する、といった考え方が載っています。鎌でも同様に、刃が地面に当たり過ぎる姿勢は石を噛みやすく、刃こぼれや跳ね返りの原因になります。
作業者が複数いる場合、斜面の上下に並ばないことも基本です。斜面上側の人の鎌が下側に向かう、あるいは足を滑らせて刃が他人の方向へ向く、という事故の芽を最初から潰せます。安全資料では「斜面の上下に並ばない」「互いの距離は5m以上」と具体的に注意されているので、現場ルールとして数字で決めるのが確実です。
参考:鎌の持ち方(刃先が左)、動かし方(右前方→左後方)、複数人の距離(5m以上)
http://gvmie.web.fc2.com/forester/kama.html
鎌はエンジン工具ほど派手ではありませんが、接触事故は起きます。複数人作業では「鎌の刃が届く距離に近づかない」「5m以上離れて作業する」という安全資料の基準が、実務にそのまま使えます。5mという数字は、刃の軌道だけでなく、足場の崩れやよろけも含めた“事故の余白”として覚えるのがコツです。
もう一つの盲点が「草で視界が限られる場所」です。安全資料には、草が茂って視界が限られる場所で石などを切らないよう、切る場所を確認する、とあります。鎌は刃が薄く、石を噛むと刃先が欠けたり、刃が弾かれて手首を痛めたりします。作業を始める前に、刈る帯の中に石・番線・支柱の残骸がないか、目で見える範囲だけでも拾っておくと、効率が落ちるどころか結果的に早く終わります。
服装は「暑いから薄着」が事故要因になります。草刈り安全マニュアルでは、帽子かヘルメット、ゴーグルかお面、マスク、長袖、長ズボン、手袋、安全靴や長靴といった装備が並び、虫刺され事例も紹介されています。鎌作業でも、草まけ(かぶれ)・虫刺され・トゲ刺しは頻発するので、最低限「長袖・長ズボン・手袋」は作業効率(中断の少なさ)にも直結します。
意外と軽視されがちなのが、休憩の“間隔”です。草刈り安全マニュアルでは、30分作業につき5~10分休憩といった具体例も示されています。鎌は上半身の反復運動になりやすく、手首や肘が先に悲鳴を上げるため、短い休憩を挟んだ方が後半の切れ味(フォーム)が保てます。
参考:服装、虫刺され事例、休憩の目安(30分作業→5~10分休憩)
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/houkoku/2010_03/3_manual_mowing_a.pdf
鎌は「切れ味が落ちたら力で解決」しがちですが、これは疲労と事故の近道です。安全資料では、刃の取り付けが緩んでいないか確認する、刃をこまめに砥ぐ、といった手入れが明確に書かれています。刃が緩んだ鎌は、切れないだけでなく、引いたときに刃がブレて狙いが外れます。
もう一つ大事なのが、道具の“越境”をしないことです。安全資料では「鎌は硬い木を切る道具ではない」「硬いものは小斧やナタを使う」とはっきり述べられています。畦の雑木や硬い茎を無理に鎌でやると、刃こぼれだけでなく、刃先が止まって柄だけが動き、手首を捻るような負担が出ます。結果として翌日の作業量が落ちるので、現場では「鎌で切れる範囲」を最初に決めておくのが得策です。
草刈りの現場では、草刈機と鎌の併用も多いはずです。草刈り安全マニュアルでは、障害物のそばまで草刈機で無理をすると刃欠けや飛散が起きうるので、際は手刈りにする、という流れが示されています。つまり鎌は“面倒な場所を片付ける道具”ではなく、“事故を減らすための道具”として位置づけると、判断がブレません。
研ぎは、鎌の使い方そのものです。鎌の研ぎ方として、刃と砥石の角度は15~20度くらい、研ぐと裏に「カエリ」が出る、という具体的な説明が刃物店の解説にあります。カエリは「刃が立ったサイン」なので、出ないまま終えると、見た目は研いでも切れ味が戻りません。
研ぐときのポイントは3つに絞ると現場向きです。
・砥石を水で使えるタイプなら、適切に湿らせて滑りを安定させる(砥石の説明に従う)
・角度(15~20度)を固定し、刃元から刃先まで均一に当てる
・カエリが出たら、最後に裏側処理でカエリを落とす
ここからが“検索上位に埋もれやすい独自視点”ですが、研ぎ角は固定の正解が1つではありません。刃物一般の説明として「角度が大きいほど刃こぼれしにくい」「硬いものを切るときは角度を大きく、柔らかいものは角度を小さくすると切れ味が良い」という趣旨が示されています。つまり草刈りでも、硬いススキや茎が太い草が多い日は、15~20度の範囲内でも“少し角度を大きめ寄り”にすると刃持ちが良くなり、研ぎ直し回数が減ります。逆に柔らかい下草中心なら“少し小さめ寄り”が軽く切れて疲れにくい。現場の草質で研ぎを微調整できると、同じ鎌でも体感が別物になります。
もう一つの意外な効果は、研ぎを「作業の区切り」にすると事故が減ることです。切れない鎌は力任せになり、刃が滑った瞬間に自分の脚や手へ向きやすい。だから研ぎは“メンテ”ではなく“安全手順”として扱う方が合理的です。作業前に軽く当てる(タッチアップ)だけでも、午前中の効率が変わります。
参考:鎌の研ぎ角(15~20度)、カエリの説明
https://www.noguchi-kajiten.co.jp/site/togi