中古市場でほうれん草関連の機械を探す際、最も多くの人が陥る最初の罠が「収穫機」と「調整機」の混同です。特にオークションサイトや中古農機具リストでは、これらが混在して表示されることが多く、初心者が誤って購入してしまうケースが後を絶ちません。
収穫機と調整機の決定的な違い
中古市場において、単に「ほうれん草 機械」や「ほうれん草 中古」と検索すると、圧倒的に数が多いのは「調整機」の方です。これは、調整機の方が普及率が高く、手放す農家も多いためです。しかし、これから収穫の省力化を目指す方が本当に求めているのは「収穫機」のはずです。
商品画像だけを見て「安く買える!」と飛びつくと、届いた機械が全く用途の違う根切り機や調整機だったという悲劇が起こります。まずは、型式を必ず確認し、それが「フィールドで走る機械」なのか「小屋で回る機械」なのかを判別する知識を持つことが、正しい選び方の第一歩です。
製品カタログ:クボタの野菜関連機器一覧には、収穫機と調整機の正確な分類が掲載されています。
https://agriculture.kubota.co.jp/product/vegetable_equipment/
ほうれん草収穫機の中古相場は、季節や機械の状態によって大きく変動しますが、一般的なトラクターなどに比べると流通量が極端に少ないのが特徴です。そのため、適正価格を見極めるのが難しく、相場を知らないと高値掴みをする可能性があります。
市場価格の目安
| 機械の種類 | 新品価格の目安 | 中古相場の目安(整備済) | ヤフオク・現状渡し相場 |
|---|---|---|---|
| 乗用収穫機 | 150万〜300万円 | 80万〜150万円 | 50万〜100万円 |
| 歩行型収穫機 | 80万〜120万円 | 40万〜70万円 | 20万〜50万円 |
| 調整機(参考) | 30万〜50万円 | 10万〜20万円 | 2万〜10万円 |
オークション利用時の注意点
ヤフオクなどのオークションを利用する場合、最大のメリットは価格の安さですが、リスクも最大級です。出品者の多くは「離農品」として出品しており、専門的なメンテナンスが行われていない「現状渡し」が基本です。
特にほうれん草収穫機の場合、後述するシュウ酸による腐食が見えない部分で進行していることが多く、写真だけで判断するのは危険です。「エンジンかかります」「動きます」という説明文は、あくまで「アイドリングする」という意味であり、「負荷をかけて収穫作業ができる」ことを保証するものではありません。
オークションで狙う場合は、以下の質問を出品者に投げかけることを強くお勧めします。
これらに明確に答えられない出品物には、相場よりもかなり低い金額で入札するか、手を出さないのが賢明です。一方、農機具店が整備して販売している中古品は割高に見えますが、消耗部品の交換コストを考えれば、結果的に安くつくことが多いのです。
価格だけで判断せず、整備状況を含めたトータルコストで検討しましょう。
ヤフオク落札相場:「ほうれんそう」関連の機械の実際の落札価格履歴を確認できます。
https://auctions.yahoo.co.jp/closedsearch/closedsearch/%E3%81%BB%E3%81%86%E3%82%8C%E3%82%93%E3%81%9D%E3%81%86/2084252938/
中古市場でほうれん草収穫機を探すと、必ずと言っていいほど名前が挙がるのがクボタとヤンマーです。この2大メーカーは信頼性が高いですが、ほうれん草という特殊な作物に関しては、それぞれの機械に特徴があります。
クボタ SPH400の特徴
クボタのSPH400は、ほうれん草収穫機の代名詞とも言える存在です。この機械の最大の特徴は、「4条刈り」と「乗用・半乗用に近い操作性」です。
ヤンマーの野菜収穫機の特徴
ヤンマーは「ほうれん草専用」というよりも、汎用的な野菜収穫機や、管理機に取り付けるアタッチメント形式のものが多く見られます。
選び方の基準
クボタ公式動画:SPH400の実際の収穫動作や4条刈りの効率性を映像で確認できます。
https://www.youtube.com/watch?v=t4_30PoXCb8
中古のほうれん草収穫機を購入した後、最も頻繁に発生するトラブルが「搬送部の不具合」と「切れ味の低下」です。これらはエンジンなどの主要機関とは異なり、見落とされがちなポイントですが、作業精度に直結します。
搬送ベルトの劣化
ほうれん草収穫機は、土の中で根を切った直後、葉を傷つけないように柔らかいスポンジや特殊ゴムが付いた2本のベルトで茎を挟んで持ち上げます。このベルトこそが、中古機の命です。
刈刃(カッティングブレード)の消耗
根を切る刃は、常に土の中で高速振動または回転しています。
故障リスクを下げるチェック項目
これらの消耗品は、必ず交換が必要になるものとして予算に組み込んでおくことが、故障トラブルを避けるコツです。
アグリビジネスチャンネル:実際にベルト交換を行っている整備の様子が確認でき、難易度を把握できます。
https://www.youtube.com/watch?v=7Pv5TsZIzwc
最後に、他の農機具にはない、ほうれん草収穫機ならではの独自のリスクについて解説します。それは「シュウ酸による強烈なサビ」です。これが、中古機選びの成否を分ける隠れた重要ポイントです。
シュウ酸の恐怖
ほうれん草には「シュウ酸」という成分が多く含まれています。これは、いわゆる「アク」の成分ですが、金属にとっては強力な腐食剤として作用します。収穫作業中、機械は常にほうれん草の汁(切断面から出る液)を浴び続けています。
トマトやキュウリの収穫機とは比較にならないほど、ほうれん草収穫機はサビやすい環境にあるのです。
中古機で見極めるべき「隠れた腐食」
中古市場に出回っている機械の中には、前の持ち主が使用後の水洗いを怠っていたものが少なくありません。外装のカバーが綺麗に塗装されていても、中身がボロボロというケースが多いのがこの機械の特徴です。
購入後の整備とメンテナンス
もし中古機を購入したら、最初の作業は「徹底的な洗浄」と「防錆処理」です。
この「シュウ酸対策」が行われていたかどうかを販売店に聞くだけで、その機械の状態をある程度推測することができます。知られていない事実ですが、これがほうれん草収穫機を長く使うための最重要シークレットです。
農研機構マニュアル:機械収穫における体系や注意点、雑草対策などが学術的にまとめられています。
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/Spinach_mechanical_harvest_for_processing.pdf