学校保健安全法では、学校において予防すべき感染症を第1種、第2種、第3種に分類しています。これは、感染力の強さや病状の重篤度に基づいて分けられており、それぞれ出席停止の基準や期間が異なります。特に子供が集団生活を送る学校現場では、一人の感染がクラス全体や学年全体への流行につながる恐れがあるため、法律によって厳格に管理されています。保護者として、どの病気がどの区分に該当するのかを把握しておくことは、万が一の際の迅速な対応につながります。
第1種は、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)における一類・二類感染症に相当するもので、極めて感染力が高く、生命に関わる重篤な症状を引き起こす可能性があるものです。これらにかかった場合、完全に治癒するまで出席停止となります。
これらは発生自体が稀ですが、発生した場合は学校だけでなく地域社会全体での厳重な防疫体制が敷かれます。
第2種は、学校で日常的に流行しやすい飛沫感染する感染症です。これらは出席停止の期間が明確に定められており、保護者が最も頻繁に確認する必要があるカテゴリーです。
| 病名 | 出席停止期間の基準 |
|---|---|
| インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く) | 発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで |
| 百日咳 | 特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで |
| 麻疹(はしか) | 解熱した後3日を経過するまで |
| 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | 耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで |
| 風疹(三日はしか) | 発疹が消失するまで |
| 水痘(水ぼうそう) | すべての発疹が痂皮化(かさぶた)するまで |
| 咽頭結膜熱(プール熱) | 主要症状が消退した後2日を経過するまで |
| 新型コロナウイルス感染症 | 発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで |
| 結核 | 病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで |
| 髄膜炎菌性髄膜炎 | 病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで |
第3種は、主に接触感染や経口感染するもので、学校医や医師が「感染のおそれがない」と認めるまでが出席停止期間となります。
文部科学省:学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について(参考リンク:法改正による最新の出席停止期間の基準が詳細に記載されています)
多くの保護者が混乱しやすいのが、「出席停止期間の日数の数え方」です。学校保健安全法における期間の計算には明確なルールがあり、これを間違えると「まだ登校できないのに登校させてしまった」あるいは「もう登校できるのに休ませてしまった」という事態になりかねません。特にインフルエンザと新型コロナウイルスについては、計算式が少し複雑なため、具体例を挙げて解説します。
すべての基本となるのが、「発症した日(熱が出た日や症状が出た日)を0日目としてカウントする」というルールです。翌日が「1日目」となります。病院に行った日ではなく、実際に症状が出始めた日が基準になる点に注意が必要です。
インフルエンザの基準は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」です。これは「最低でも発症から5日間は休む必要がある」かつ「熱が下がってからも2日間は様子を見る必要がある」という2つの条件を両方満たす必要があります。
しかし、もし解熱が遅れて木曜日に下がった場合はどうなるでしょうか?
このように、発症からの日数と解熱からの日数の両方をクリアした翌日から登校が可能になります。
新型コロナウイルスの基準は「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」です。インフルエンザと似ていますが、「解熱後」ではなく「症状軽快後」であり、待機期間が「1日」である点が異なります。
国立感染症研究所:インフルエンザ(参考リンク:インフルエンザの疫学情報やウイルスの排出期間に関する専門的なデータが確認できます)
出席停止期間が明けて学校に戻る際、どのような手続きが必要になるかは、自治体や学校によって運用が異なります。以前は医師が記入する「治癒証明書」が必須であることが多かったのですが、近年は医療機関の負担軽減や保護者の経済的負担を減らすために、運用が見直されている地域が増えています。
学校への提出書類には、主に以下の2種類があります。
学校保健安全法に基づく出席停止は、個人の健康だけでなく「集団の安全」を守るための措置です。そのため、自己判断で早めに登校させることは絶対に避けなければなりません。一方で、必要以上に長く休ませる必要もないため、医師の判断と学校のルール(基準)を正しく照らし合わせることが重要です。
「出席停止」とよく似た言葉に「公欠(こうけつ)」があります。どちらも学校を休んでも欠席日数にカウントされないという点では同じですが、その法的根拠と扱いは異なります。この違いを理解しておくと、通知表や内申点への影響について正しく把握できます。
出席停止は、病気によるやむを得ない措置であるため、これによって成績が下がったり、内申点で不利になったりすることはありません。受験等の調査書(内申書)においても、欠席日数が多いと「健康状態に問題があるのでは?」と懸念されることがありますが、出席停止期間はその日数に含まれないため(分母から引かれる)、欠席日数が極端に増えることを防げます。
ただし、高校生などの場合、定期テスト期間中に出席停止がかぶってしまった場合の救済措置(追試や見込み点の付与)は学校によって異なります。「出席停止だから自動的に考慮される」と思い込まず、必ず学校に確認し、診断書などのエビデンスをしっかり提出することが、不利益を被らないためのポイントです。
実は、保護者の間で「学校を休まなければならない」と誤解されがちですが、学校保健安全法の出席停止一覧には明記されていない、あるいは「条件付き」である感染症も数多く存在します。これらは医師や学校医の判断によって対応が分かれるグレーゾーンとも言える病気です。独自視点として、これらの「リストに載っていない、あるいは第3種として扱われる微妙な感染症」について解説します。
これらは子供によく見られる感染症ですが、インフルエンザのように明確な「〇日間」という基準は法律上定められていません。
これらも「うつる」病気ですが、原則として出席停止の対象ではありません。
第3種感染症には「その他の感染症」という項目があり、ここに何が含まれるかは地域や学校、そして流行状況によって変わります。例えば、マイコプラズマ肺炎や感染性胃腸炎(ノロ・ロタ)などは、通常は症状が治まれば登校可能ですが、校内で爆発的に流行している場合は、学校医の判断で出席停止措置が取られることもあります。
「一覧に名前がないから登校させて良い」と自己判断するのではなく、感染力が強いと思われる症状(激しい嘔吐、下痢、高熱、広範囲の発疹)がある場合は、必ず受診に際して「学校に行ってよいか」を医師に確認し、その指示に従うことが、周囲へのマナーでありトラブル防止につながります。