今回の改正では、これまで原則として表示を免除されていた「栄養強化目的で使用した食品添加物」について、一般の添加物と同じように表示しなければならないとする方向へルールが切り替えられた。
従来は食品表示基準第3条に「栄養強化目的の場合は表示不要」とする特例があり、一部の特別な食品だけが別表で表示義務の対象になっていたが、この特例条文が削除され、原則すべての加工食品で栄養強化剤も表示対象になっている。
一方で、加工助剤やキャリーオーバーに当たる添加物については、栄養強化目的であっても引き続き表示を省略できると整理されており、「最終製品にほとんど残らないかどうか」が実務上の重要な判断ポイントになる。
| 項目 | 日付 | 概要 |
|---|---|---|
| 食品表示基準改正の公布・施行 | 2025年3月28日 | 栄養強化目的添加物の表示免除条文が削除され、ほぼすべての加工食品で栄養強化剤も表示が必要になった。 |
| 経過措置期間の終了予定 | 2030年3月31日 | 栄養強化目的添加物の表示については、経過措置としてこの日まで旧表示も認められるが、その後は新ルールでの表示が必須となる。 |
興味深いのは、改正前に行われた実態調査で、およそ9割以上の事業者が「栄養強化目的の添加物でも表示を省略していない」と回答しており、制度上は免除されていたにもかかわらず、現場では既に自主的な表示がかなり進んでいた点である。
また、改正と同時に栄養素等表示基準値や栄養成分の許容差も見直されており、「栄養成分表示そのもののルール変更」と「栄養強化剤の表示義務化」がセットで進んでいるため、ラベルを作り直す際は成分表の数値や単位も併せて確認する必要がある。
制度検討の背景には、栄養強化目的物質を食品添加物として扱わない国であっても、実際には使用した物質をすべて表示させているという国際的な動向があり、日本でも「栄養強化だから特別扱いする」考え方を見直すべきだとされたことがある。
改正内容を原典で確認したい場合に役立つ、消費者庁の食品表示基準改正資料へのリンク。
食品表示基準改正資料(消費者庁)
農産物直売所向けの加工品ハンドブックや、自治体作成の食品表示マニュアルでは、直売所に出荷する農家や小規模加工業者を想定し、原材料名や添加物表示の書き方を具体例付きで解説しており、その中で栄養強化目的添加物の扱いも注意点として取り上げられている。
これらの資料では、かつては「栄養強化目的・加工助剤・キャリーオーバーは表示免除」としつつ、一部22品目などについては栄養強化目的でも表示が必要とされていたが、改正により「免除されていたほう」が広く表示対象に切り替わるため、特に premix やビタミン添加飲料ベースを利用している小規模事業者は見直しが欠かせない。
ここで紛らわしいのが、農業者の現場で「栄養強化剤」と言うと肥料や飼料添加物を思い浮かべがちな点であり、食品表示基準でいう栄養強化目的添加物は、あくまで最終製品として販売する食品に加えられたビタミン類などを指すため、「肥料だから関係ない」とまとめて考えないことが重要になる。
農産物直売所向けの冊子には、「原材料表示の例」や「ラベルレイアウトのサンプル」が掲載されており、栄養強化目的添加物の扱いも脚注などで整理されているため、自分の地域の最新版を入手しておくと実務上の迷いを減らせる。
自治体によっては、小規模の事業所や直売所出荷者に対して食品表示制度の普及・啓発や巡回指導を重点的に行う計画を立てており、「知らなかった」では済まない雰囲気が強まりつつあるため、経過措置期間だからと放置せず早めにラベルを刷新しておくほうが安全だ。
直売所出荷者向けに食品表示の全体像を丁寧に解説している県の資料で、農産物加工品の実例が多く参考になる。
直売所向け食品表示のポイント(岡山県)
栄養強化剤の表示義務化は、あくまで「原材料・添加物として何を入れたか」を明らかにする規定であり、「栄養成分表示欄にどの数値を載せるか」や「栄養機能食品として機能をうたうか」といった別のルールと整理して考える必要がある。
栄養機能食品として販売する場合は、決められた栄養成分の含有量や機能表示文、注意喚起表示などを満たす必要があり、国への個別審査は不要だが、基準値や表示事項は詳細に決められていて、販売時点で基準を満たしているかどうかで判断される。
ビタミン強化飲料などで「○○を豊富に含む」「○○プラス」といった栄養強調表示を行う場合には、栄養成分の量が一定の基準を超えていなければならず、その基準値や許容差も近年見直しが行われているため、従来と同じレシピ・ラベルでも新基準下では条件を満たさなくなる可能性がある。
あまり知られていないポイントとして、食品表示基準Q&Aでは「栄養強化目的で添加物を使用した場合、栄養成分名そのものを大きく表示しない場合でも、その量を表示することが望ましい」といった趣旨の説明が追加されており、単に添加物名を載せるだけでなく、栄養成分の量情報もできるだけ示す方向が示されている。
このように、栄養強化剤の表示義務化は、原材料名欄だけの話ではなく、栄養成分表示や栄養機能食品、さらには健康増進法や景品表示法上の表示規制とも密接に関わってくるため、強化剤を使った「売り文句」を検討する際には、複数の制度を頭の中で同時に整理しておくことが望ましい。
食品表示制度の議論では、栄養成分表示義務化や添加物表示の厳格化が「小規模事業者に過大な負担にならないか」という観点からたびたび検討されてきたが、最終的には小規模だからといって表示義務そのものを免除するのではなく、啓発や支援を厚くする方向で整理されている。
各自治体の食の安全安心推進計画などでも、知識不足による不適正表示が小規模事業所で目立つことから、食品表示制度の普及・啓発や巡回指導を重点的に実施する必要があるとされており、「規模が小さいから見逃されるだろう」という期待は通用しにくくなっている。
経過措置期間中は直ちに違反とされない場合が多いものの、表示ミスによって回収や信用低下が生じれば、規模の小さい農家ほど打撃が大きいため、栄養強化剤を使う可能性のある製品だけでも早めに棚卸しし、表示方針を固めておくことがリスク管理として有効である。
食品に関するリスクコミュニケーションの資料でも、表示制度は消費者が適切に食品を選ぶための情報基盤であり、その信頼を確保するためには事業者側の理解と丁寧な情報提供が欠かせないとされているため、農家・小規模加工業者としても「最低限の義務をこなす」から一歩進んで、自分の製品の強みを正しく伝える表示を考えることが長期的な武器になる。
本記事では条文や資料の内容をそのままではなく、著作権に配慮して要点のみを平易な日本語で整理しているので、実際のラベルを作る際には、ここで挙げた公的資料や自治体マニュアルの最新版を必ず確認し、自分の品目に当てはめて具体的に検討してほしい。

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