足踏式製縄機は、椅子に座って左右の踏み板(ペダル)を交互に踏み、足の往復運動を歯車・クランク・シャフトの回転運動に変換して縄を綯う機械です。
作業の流れは、左手の藁束から2~3本程度を抜き、二つのラッパ管へ左右交互に連続投入し、2本の藁に撚りをかけて1本の縄にしていきます。
このときラッパ管で藁がよじられ、最終的に巻取り装置(ドラム/巻取胴)へ引っ張られて巻き取られます。
現場で「仕組み」を理解しておく利点は、詰まりや撚り不足の原因箇所を切り分けやすい点です。
参考)http://www.e-zabuton.net/image/yamazato-192.html
露出機構のため、噛み合う歯車や回転体の動きが目で追える一方、手袋・袖口・タオルが巻き込まれやすいので、作業姿勢と手元の動線は最初に固定しておくべきです。
また、足踏みと藁投入を一人で同時に行っていた記録もあり、慣れるまではテンポを落として「足→投入→確認」を繰り返す方が事故と不良品を減らせます。
足踏式製縄機は、機械側の調整以上に、材料の藁の状態が仕上がりを左右します。
材料となる藁は、事前に「すき取り」を行い、水で濡らし、棍棒などで叩いて柔らかくしておくのが望ましいとされています。
この下準備が不足すると、ラッパ管の入口で引っかかりやすくなり、撚りが乗る前に藁が裂けて短繊維が増え、毛羽立ちや切れの原因になります。
意外に見落とされがちなのが「濡らし方」です。びしょ濡れは一見スムーズでも、巻取胴に巻いた後の乾燥で締まりが変わり、玉の内外でテンション差が出やすくなります。
反対に乾きすぎは、撚りが入りにくく、同じ踏力でも太さムラになりやすいので、手で握って折れずに曲がる程度のしなやかさを目標にすると歩留まりが上がります。
地域の気温・湿度で最適が動くため、最初の10分は試し綯いにして、投入量(太さ)と踏みテンポを合わせ込むのが、結局いちばん早いです。jacom+1
基本操作は、左右の踏み板(ペダル)を交互に踏みながら、ラッパ管へ藁を左・右・左・右とリズムよく投入することです。
この「両手と両足の同時運動」は、子どもには難しかったという記述があるほどで、熟練の差が出ます。
ただし、熟練は才能よりも「一定テンポの維持」で決まるので、まずは速度より均一性を優先し、巻取胴の巻き姿が崩れないテンポを体に覚えさせます。
コツは、投入を急がないことです。ラッパ管への挿入はタイミングを外さない必要がある一方、焦って藁先を突っ込むと詰まりや逆撚りの原因になります。
また、出来上がる縄は手綯いより「少し太くて粗い」傾向があり、用途によっては細縄やきめ細かい縄は手作業が必要だった、という現場感も押さえておくと期待値がずれません。
参考)足踏式・電動式縄綯い機の導入【酒井惇一・昔の農村・今の世の中…
荷作り縄など一般用途では十分という評価もあり、用途を決めて「機械縄で足りる場面」を先に切るのが導入判断を楽にします。
古い足踏式製縄機は、壊れても部品が単純で、考え方としては「回転体の抵抗」「噛み合い」「テンション」の3点検が中心になります。
実際に、古い縄ない機を復元し、藁を置くためのシュート(藁を置く場所)を追加するなど、現代の作業性に寄せた改良例も報告されています。
この事例では、単管を加工して可動型のシュートを作ったが径が小さかった、もっと大きい方が藁が脱落しにくい、といった「現場の失敗ログ」が具体的で、改造の勘所になります。
修理の最優先は、踏みが重い・回転が渋いなどの症状を「注油不足」「錆」「軸ブレ」「ボルト緩み」に分解することです。
次に、ラッパ管先端の薄鉄板など、投入性に関わる部位の変形や欠けを確認し、藁先が引っかかるなら先端形状の補修(バリ取り)から手を入れるのが効きます。
「直す」だけでなく「作業者の癖に合わせて当て板やガイドを足す」と、同じ機械でも品質が急に安定するので、修理は調整まで含めて考えるのが得策です。
参考)これぞ農家の幸福と利益! 古い縄ない機を復元しました
足踏式製縄機は昭和20年代に普及したとも言われ、昭和初期から昭和40年代まで使用されたという記録があります。
この背景には、縄需要の増加と労力不足の中で、政府が年寄りや女性でも速く作業できる縄綯い機の導入を推奨したのではないか、という推測が語られています。
つまり、足踏式製縄機は「便利な道具」だけでなく、資材不足と労働力制約に対して、農家が副産物(稲わら)を現金化・資材化するための装置でもありました。
いまこの視点が効くのは、コスト高の時代に「買う資材」と「自家で作る資材」を切り分ける判断軸になるからです。
例えば、荷作りや仮設の結束、簡易な養生など“品質の上限より量と即応性が勝つ”場面では、足踏式製縄機の再評価余地があります。
さらに、人力駆動で電源不要という特性は、停電・災害時の作業継続性にも直結するため、BCP(事業継続)の道具として位置づけると導入の説明が通りやすくなります。
(仕組み・歴史背景の参考:踏み板、ラッパ管、歯車、ドラム巻取り、普及要因の説明が詳しい)
足踏式・電動式縄綯い機の導入【酒井惇一・昔の農村・今の世の中…
(作業前の藁準備、ラッパ管・歯車機構、普及時期の記述がまとまっている)
https://www.go-isesaki.com/nawanai.html
(復元・改良の具体例:シュート追加など、現場改造の発想に使える)
これぞ農家の幸福と利益! 古い縄ない機を復元しました