現代の農業現場において、情報のスピードは収益に直結する重要な要素です。カネコ種苗では、紙のカタログが手元に届くのを待つことなく、インターネット上で即座に最新情報を確認できるデジタルカタログシステムを導入しています。特に季節の変わり目である現在、2026年春作に向けた品種選定を急ぐ生産者にとって、このデジタル版の活用は必須のテクニックと言えるでしょう。
カネコ種苗が採用しているデジタルカタログシステム「ebook5」は、専用のアプリをインストールする必要がなく、ブラウザ上でサクサクと動作するのが最大の特徴です。畑やビニールハウスの中からでも、スマートフォンやタブレットを使って、その場ですぐに品種の特性や栽培のポイントを確認できます。
デジタルカタログの具体的な活用メリット:
紙のカタログでは、目次から目的の作物を探すのに時間がかかることがありますが、デジタル版では「検索窓」に「ダイコン」や「トマト」といった品目名、あるいは「耐病性」「早生」といったキーワードを入力するだけで、該当するページを瞬時にリストアップできます。これにより、自分の栽培環境に合った品種をピンポイントで見つけ出すことが可能です。
気になった品種や、後で比較検討したいページには、デジタル上で「付箋」を貼ることができます。紙のカタログを汚すことなく、自分だけの「検討リスト」を作成できるため、次期作付け計画の会議などでもスムーズに情報を共有できます。
カタログ全体を持ち歩くのは重労働ですが、デジタル版なら必要なページだけをPDFとしてダウンロードしたり、紙に印刷したりして現場に持ち込むことができます。特に、栽培暦や施肥設計のページだけをプリントアウトして作業場に貼っておくといった使い方が、多くのプロ農家で実践されています。
参考)2025秋の園芸カタログ
参考リンク:ebook5で公開されているカネコ種苗のデジタルカタログ(操作性や閲覧方法の確認に)
また、デジタル版では紙面には掲載しきれなかった高解像度の画像や、品種の紹介動画へのリンクが埋め込まれていることもあります。例えば、新品種「栗かぐや」のようなサツマイモの肉質や、ユーストマ(トルコギキョウ)の「ジュリアス」シリーズのような微妙な花色を確認するには、デジタル版の高画質な画像が非常に役立ちます。紙のカタログでは伝わりにくい「色味」や「質感」を、高精細なディスプレイで確認できるのは、品質にこだわる生産者にとって大きなアドバンテージです。
一般家庭向けのカタログとは異なり、プロの農家や農業法人が使用する「営利栽培用(業務用)」のカタログは、ウェブサイト上で誰でも簡単にボタン一つで請求できる形式になっていないことが多々あります。これは、地域ごとの気候特性や土壌条件に合わせたきめ細やかな品種選定が必要となるため、メーカー側も専門知識を持った担当者が直接対応することを重視しているからです。
カネコ種苗の場合も、営利生産者向けの専門的な資料やカタログ請求については、本社および各支店の担当部署へ直接電話で問い合わせることが推奨されています。ウェブサイトの「お問い合わせ」フォームを利用することも可能ですが、急ぎの場合や、具体的な栽培相談を兼ねて資料を請求したい場合は、電話でのコンタクトが圧倒的にスムーズです。
以下に、目的別の問い合わせ窓口を整理しました。間違い電話を防ぎ、適切な担当者に最短でつながるようにするため、自分の目的に合った部署を選んで連絡しましょう。
| 目的・カテゴリ | 担当部署 | 電話番号 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 野菜・花きの種苗 | 種苗部・バイオナーサリー部 | 027-251-1611 | 野菜種子、花の苗など全般 |
| 牧草・飼料作物 | 緑飼部 | 027-253-0561 | 酪農・畜産向け飼料作物 |
| ハウス・養液システム | 施設部 | 027-251-1145 | 養液栽培システム、温室資材 |
| 花きの営利栽培 | 花き園芸部 | 027-253-9321 | 切花生産者向け品種など |
| 農薬関連 | 農薬部 | 027-251-1616 | 農薬の適用や資料など |
参考)お問い合わせ
参考リンク:カネコ種苗公式サイトのお問い合わせ一覧(部署ごとの直通電話番号が掲載されています)
電話でカタログを請求する際は、単に「カタログをください」と伝えるだけでなく、以下の情報をあわせて伝えると、より適切な資料を送ってもらえる可能性が高まります。
このように、プロとしての具体的なニーズを伝えることで、総合カタログだけでなく、その地域限定の「品種特性表」や「栽培技術資料」といった、一般には出回らない貴重な資料を同封してもらえるケースもあります。電話というアナログな手段だからこそ、担当者との信頼関係を築き、より深い情報を引き出すきっかけにしてください。
プロ農家だけでなく、直売所出荷を目指す小規模生産者や、本格的な家庭菜園愛好家にとって非常に有用なのが、カネコ種苗が発行している情報誌『家庭園芸(J.garden)』や『園芸ニュース』です。これらの媒体は、単なる商品カタログの枠を超え、その時期に植えるべき旬の野菜や、話題の新品種の栽培ノウハウが凝縮された「読み物」としての価値が高い資料です。
『J.garden』などの情報は、カネコ種苗の公式サイト上で定期的に公開されており、PDF形式で閲覧したりダウンロードしたりすることが可能です。特に注目すべきは、春と秋の作付けシーズン前に公開される「特集記事」です。
ここから得られる情報のメリット:
近年人気が高まっている「プランターでも作りやすいミニ野菜」や「機能性成分を多く含む野菜」など、消費者のトレンドを反映した品種提案が行われています。直売所農家にとっては、売れる野菜のヒントを得る絶好のソースとなります。
品種ごとの播種(種まき)適期や収穫時期が分かりやすく図解されているほか、失敗しやすいポイント(水やりのタイミングや追肥の量など)について、専門家の視点からアドバイスが掲載されています。
完成形の野菜や花の写真が美しく掲載されており、栽培意欲を刺激されます。また、これらの写真は、直売所のPOP作成などにおいて、品種の魅力を消費者に伝えるための参考資料(※画像の無断転載は禁止ですが、レイアウトやキャッチコピーの参考にするなど)としても活用できます。
参考)NEWS
参考リンク:カネコ種苗ニュースリリース(J.gardenや園芸ニュースの最新号公開情報)
最新の2026年春号などの公開情報は、公式サイトの「NEWS(お知らせ)」欄でいち早く告知されます。RSSリーダーやブックマークを活用して、更新情報を逃さないようにしましょう。また、これらの家庭園芸向けカタログに掲載されている品種は、ホームセンターや地元の種苗店でも比較的入手しやすいため、「まずは試験的に少量栽培してみたい」というプロ農家のトライアル用としても最適です。大規模な営利栽培に導入する前に、まずは家庭園芸向けの小袋種子で特性を確認するというステップを踏むことで、品種選定のリスクを軽減することができます。
カネコ種苗は、種子だけでなく「養液栽培システム」の分野でも高い技術力と実績を持っています。特に「カネコ ロックファーム」などのシステムは、トマトやイチゴ、葉物野菜の安定生産を目指す施設園芸農家から高い評価を得ています。こうした設備やプラントに関するカタログは、種子のカタログとは入手経路が少し異なる場合があるため注意が必要です。
養液栽培システムや大規模な温室設備に関するカタログは、専門性が極めて高いため、製造業や建設業向けの製品情報サイト(例:IPROSなど)を通じてダウンロード提供されていることが多いです。これらはBtoB(企業間取引)を前提とした資料であり、導入事例や詳細なスペック図面などが含まれています。
養液栽培カタログを入手・活用するステップ:
まずはカネコ種苗公式サイト内の施設園芸や養液栽培のページをチェックし、概要を把握します。
より詳細なPDFカタログ(「養液栽培プラント 総合カタログ」など)は、外部の製品データベースサイトで公開されていることがあります。これらのサイトでは、簡単な会員登録(無料)を行うことで、カタログのPDFデータを一括ダウンロードできます。
ダウンロードしたカタログには、単なる製品仕様だけでなく、「どのような規模のハウスで」「どの作物を」「どの程度収穫できているか」といった具体的な導入事例が掲載されていることが多いです。自分の経営規模に近い事例を探し、投資対効果をシミュレーションするための基礎資料として活用しましょう。
参考)カネコ種苗のカタログ一覧
参考リンク:IPROSものづくり カネコ種苗企業ページ(養液栽培プラントなどのカタログダウンロードが可能)
養液栽培は初期投資が大きくなるため、カタログのスペック情報だけで導入を決定することはありませんが、メーカーの担当者と商談を行う前の「予習」として、カタログの数値を読み込んでおくことは非常に重要です。「他社のシステムと比べて、給液管理の精度はどうなのか?」「メンテナンスの頻度は?」といった具体的な質問を用意しておくことで、商談の主導権を握り、より有利な条件を引き出すことができるようになります。
インターネットや電話での請求以外に、意外と見落とされがちですが、実は最も「濃い」情報が得られるのが、地域の種苗店や展示会で直接カタログを入手する方法です。これには、ウェブ上の情報収集だけでは得られない、現場ならではのメリットがあります。
1. カネコ種苗の展示会「Garden & Agri Fair」等の活用
多くの種苗メーカー(タキイ種苗やサカタのタネなど)が開催する大規模な展示会は、完全招待制で一般の入場が制限されているケースが少なくありません。しかし、カネコ種苗が開催する見本市や展示会(例:Garden & Agri Fair)は、事前登録を行えば生産者や業界関係者だけでなく、比較的幅広く入場を受け入れている場合があります(※開催年や会場により規定が異なるため、必ず最新の開催要項を確認してください)。
展示会の会場では、以下のような特典があります。
参考)https://www.gpec.jp/pdf/2024_result_report.pdf
参考リンク:GPECや自社見本市などの展示会情報(過去の開催実績や来場登録の流れ)
2. 地元の「種苗店」との関係構築
地域の種苗店(タネ屋さん)は、メーカーから最新のカタログや、店頭配布用の簡易パンフレット(栽培レシピ付きなど)を大量に仕入れています。
種苗店でカタログをもらう際は、ただ黙って持ってくるのではなく、「カネコさんの新しい大根、この辺だとどうですかね?」と一言声をかけることで、カタログ以上の価値ある情報を引き出せます。ネットで完結させず、リアルな接点を活用することで、情報の質は何倍にも高まります。カタログは単なる商品リストではなく、コミュニケーションツールとして活用するのが、賢い農業経営者のやり方です。